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歴史と哲学の県立熊谷図書館

 (本資料展は終了しました)

所蔵資料展示目録(平成19年度 第1回) 2007  6月23日(土)〜9月24日(月)

見はてぬ夢を追って 徐福伝説と不老不死

 中国では紀元前2世紀の戦国時代末頃から、神仙術を操る方士と呼ばれる人々が、多く登場するようになりました。神仙思想とは、山東省近辺の神山信仰を基盤とし、種々の民間信仰を取り入れたものと言われ、その要諦は、神仙(仙人)の実在を信じ修行を積めば神仙になることが可能であり、神仙になれば現世で永遠に生き続けることが可能であるという思想です。
 神仙になるためには、実に様々な方法が試されました。具体的なものとしては仙薬の服用、内丹法、守一法、胎息法、房中術、導引法、行気法、辟穀等があげられ、硫化水銀を原材料とした仙薬による水銀中毒によって、唐の時代、6人の皇帝が亡くなったと言われています。不老不死という「見はてぬ夢」を追った結果がこのような皮肉な結末をもたらすこともありました。一方、仙薬の開発は中国医学(漢方)の発達に資すること大なるものがあり、現代人である我々もまた、その大きな恩恵をうけていることも事実です。
 神仙思想が道教に組み込まれ、宗教としてまとまってくると、技術面だけでなく、倫理・道徳面が重視されるようになり、積善、積徳、戒律の遵守、経典の読受も神仙となるための重要な手段と考えられるようになってきました。
 秦の始皇帝や漢の武帝は、方士を重用し不老不死の方法を探らせたことで有名な皇帝です。しかしながら、その野望は、巨額の財を浪費するばかりで、目的を果たせず虚しい結果に終わってしまいました。徐福は、始皇帝から仙薬探索の命を受け、東海に在るという蓬莱山をめざして出航し、日本に漂着したといわれる方士です。和歌山県の新宮をはじめとする全国各地には、徐福漂着の伝説が多く残されています。
 栄耀栄華を極めたかのように見える始皇帝や武帝であっても、権力や富とは無縁の世界、すなわち、すべての人間が避けては通ることのできない「死」という命題から逃れたいという誘惑には打ち勝つことができませんでした。いや、それだからこそ、不老不死の願望に抗しきれなかったのかも知れません。不老不死への願いは人間の心の奥底におもいとして存在し、それはいつの時代の人々にも変わることがないものなのでしょう。ちかごろ盛んにいわれるようになったアンチエイジングという言葉も、そのような人間のおもいから生れたもののように思われてなりません。

〈リストの見方〉
 [ 書名/副書名/巻号/著編者/発行所/刊行年/請求記号]の順に表記  
※請求記号の前の記号   B=文庫本 S=埼玉資料(書名の前) 久=久喜図書館蔵書
  

【徐福伝説】

【神仙道論・神仙道史等】

【神仙道批判】

【医薬(養生術・錬金術・錬丹術等)】

【神仙伝等(中国)】

【【日本の神仙道】

【神仙伝(日本)等】

【雑誌(論文等)】


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