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「群書類従」を使って調べる(調べものに役立つ資料案内)

 郷土の偉人として尊敬される塙保己一が編纂したことで知られる群書類従は、665冊と目録1冊にも及び、その中には1,276種もの書物が収められています。
 群書類従に収められることにより、日本の古代から近世中期までの様々な書物が散逸せずに現在まで伝えられていますが、今回は、その群書類従がどのような調査で役立つかを御紹介いたします。(2018年9月11日作成)

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群書類従 塙保己一

群書類従について

1 群書類従について

 群書類従は江戸時代後期に塙保己一が編纂した叢書で、日本の古代より近世中期にいたる1,276種もの書物を収めています。それぞれ神祇(じんぎ)・帝王(ていおう)・補任(ぶにん)・系譜(けいふ)・伝(でん)・官職(かんしょく)・律令(りつりょう)・公事(くじ)・装束(しょうぞく)・文筆(ぶんぴつ)・消息(しょうそく)・和歌(わか)・連歌(れんが)・物語(ものがたり)・日記(にっき)・紀行(きこう)・管弦(かんげん)・蹴鞠(けまり)・鷹(たか)・遊戯(ゆうぎ)・飲食(いんしょく)・合戦(かっせん)・武家(ぶけ)・釈家(しゃっけ)・雑(ざつ)の25部に分類されています。
 「群書類従」という名前は、中国の歴史書『三国史』所収の『魏志』応劭伝に見える「五経群書、以類相従」に由来するものとされており、「様々な典籍が混乱した状態にあるものを、類を以ってそれぞれ位置付ける」という意に解釈できます。

2 群書類従に収録されている書物

 群書類従に収録されている書物の中で代表的なものや、埼玉県の郷土に関連するものを紹介します。

『喫茶養生記』
  臨済宗の開祖栄西が著述した、喫茶の効能から功徳について記した書物。平安時代には上流貴族や僧侶の間で薬の一種と考えられており、本書も喫茶による療法・養生法などを挙げている。

『廻国雑記(かいこくざっき)』
  京都・聖護院の門跡である道興准后(どうこうじゅごう)(1430-1501)の、文明18(1486)年から翌年に及ぶ北陸、関東、奥州諸国の旅を記した紀行文。武蔵国内には計3回ほど足を踏み入れており、鎌倉街道上道(かみつみち)や川越街道の沿道の様子が克明に描かれている。

『深谷記』
  武蔵国深谷城をめぐる攻防とその家臣団の動静を記した戦記物。慶長3(1598)年以降の成立とされ、作者は未詳だが、深谷城主上杉憲盛・同氏憲の家臣の手によるものではないかと考えられている。戦国大名の拠点としての深谷の発展を垣間見ることが出来る貴重な資料である。

3 続群書類従について

 塙保己一は、群書類従の続編として、より大規模な「続群書類従」の編纂も行いました。塙保己一の生前に完成することはありませんでしたが、塙保己一の死後はその子供や弟子たちが引き継ぎ、明治末に完成しました。

4 群書類従を見るには

 群書類従及び続群書類従は、県立図書館に所蔵がありますが、その他にも国立国会図書館デジタルコレクションで閲覧することも可能です。著作権保護期間が満了した資料はインターネット公開されており自宅からでも見ることが出来ますが、比較的新しい版の場合は国会図書館及び一部の公共図書館でのみ閲覧することができます。

5 群書類従を回答に用いた調査事例

 過去に図書館で調査した質問の中で、群書類従・続群書類従を回答の一部として挙げた事例を紹介します。
 ※質問については、わかりやすくするために一部アレンジしているものもあります。

(1)熊谷次郎直実の家紋〈寓生(ホヤ)に対い鳩〉の由来が書かれた資料を探している。

  『続群書類従 6 上 系図部』(塙保己一編 続群書類従完成会 1977)
    p243-250「熊谷系図」収載あり。また、p246-247に寓生と鳩の逸話あり。

(2)江戸時代の手紙について、手紙の宛名に書き添えて敬意を表す語である「脇付」の種類
 (「人人御中」「申し給え」)と、それぞれの脇付がどのような相手に対しての敬意であるのか、詳しく知りたい。

  『群書類従 9 文筆部』(塙保己一編纂 続群書類従完成会 1987)
   p645-670「大館常興書札抄」
   p666-668「書札のあて所の書様の事」に、名宛人による文言の使い分けあり。
   ただし、「脇付」の語句は見あたらず。
  『群書類従 27 雑部』(塙保己一編纂 続群書類従完成会 1987)
   p36-43「弘安礼節」
   p36-39「書札禮之事」に、13種の位別に使用すべき文字の規定あり。「脇付」の語句はないが、大納言の条に「人々御中」の文言が見える。

(3)四条流包丁道について知りたい

  『群書類従 19 管絃部』(塙保己一編纂 続群書類従完成会 1987)
   p764-779「四條流包丁書」あり

(4)「門跡寺院」の一覧が掲載されている資料を探している。
 門跡寺院とは天皇、皇族、貴族の子孫が住職をしている寺のこと。

  『群書類従 5 系譜部』(塙保己一編纂 続群書類従完成会 1987)
   p135-190「諸門跡譜」あり。29の門跡寺院について詳しく記述されている。

(5)秀吉時代のスペイン国籍船「サン・フェリペ号」の事件が載っている資料が見たい。

  『続群書類従 23 上 訂正3版』(塙保己一編 続群書類従完成会 1978)
   p38-100「元親記 上・中・下」あり。
  『続群書類従 30 上 訂正3版』(塙保己一編、太田藤四郎補 続群書類従完成会 1981)
   p120-137に「天正事録」あり。

参考文献

 『塙保己一と「群書類従」』(さいたま文学館 1999)

 『塙保己一の生涯 眼聴耳視』(花井泰子著 ポルケ 1996)

 『塙保己一(人物叢書)』(太田善麿著 吉川弘文館 1988)

 『塙保己一物語』(埼玉県福祉部障害者社会参加推進室 2007)

 『塙保己一展 (本庄市立図書館企画展)平成19年度』(本庄市立図書館 2007)

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