埼玉の文学について調べる(調べものに役立つ資料案内)
埼玉県は東西に広く、県西部の秩父山地から県央にかけての台地、県東部の平地と、地域ごとに異なる景観を楽しむことができます。
各時代・ジャンルにおいて数多くの文学者が作品の舞台として埼玉を描いてきました。
県内出身者が郷土の風景に親しみを込めて描いた作品もあれば、遠くから訪れてこの地に魅力を感じて描いた作品もあります。
今回は埼玉を舞台にした文学作品と、埼玉にゆかりのある文学者について調べられる資料を紹介します。
(本稿は『県立浦和図書館広報紙 調(しらべ)』第16号を全面改訂したものです)
(2024年1月10日作成)
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1 埼玉にゆかりのある作品・文学者を総合的に調べる
S280.3/サイ『埼玉県人物・人材情報リスト2023 第1巻』(日外アソシエーツ株式会社編 日外アソシエーツ(製作) 2023)
2022年時点で活躍中の県内の人物(一部物故者を含む)を中心とした辞典。
分野ごとにまとめられており、文学は「文芸・評論・著述」のグループに掲載されている 。
S903/サイ『埼玉現代文学事典 増補改訂版』(埼玉県高等学校国語科教育研究会埼玉現代文学事典編集委員会編 埼玉県高等学校国語科教育研究会 1999)
埼玉にゆかりのある文学者、団体をまとめた事典。秩父事件など、文学作品の題材にもなった歴史的事項も収録している。巻末に「県内主要文芸誌一覧」、「埼玉現代文学年表」、「文学賞受賞者一覧」(埼玉文芸賞、埼玉文学賞)あり。
S902/サイ『埼玉の文学散歩』(望月印刷株式会社編集・印刷 さいたま文学館 2017)
さいたま文学館開館20周年記念誌。埼玉にゆかりのある文学者・作品について、県内を4エリアに分けて紹介している。
S902/モリ『さいたまの近代文学』(森川晃治著 パレード 2010)
雑誌『ぶぎんレポート』の連載記事全28回をまとめた本。埼玉にゆかりのある文学者や作品について、現地を取材した上で紹介している。
SS902/サイ『埼玉文芸風土記』(埼玉文芸家集団刊行委員会編 さきたま出版会 2011)
埼玉にゆかりのある文学者・作品について、地域ごとにまとめられている。地域の文芸団体の掲載あり。
S902/サイ『さいたま文学紀行作家たちの描いた風景』(朝日新聞さいたま総局編 さきたま出版会 2009)
朝日新聞の連載記事全106回をまとめた本。文学者と作品にまつわる県内ゆかりの地も詳しく紹介している。
S902/サ『さいたま文学案内』(埼玉県高等学校国語科教育研究会編 さきたま出版会 1996)
「埼玉に縁のある文学者が埼玉を描いた作品」を中心に、古典から現代作品までジャンル別に紹介している。作家ごとに作品を一部抜粋して紹介している。
S201/サ『新編埼玉県史 通史編』(埼玉県編 埼玉県 1987-1989)
第1~6巻に各時代の県内(近代までは現在の県域に該当する地域)における、文芸活動について記載あり。
「埼玉ゆかりの偉人データベース 埼玉ゆかりの偉人(文学)」(埼玉県)
「埼玉ゆかりの偉人データベース」に採録されている約300人の中で、文学に関連する人物約60人を抽出・掲載したページ。
「さいたま文学館」(さいたま文学館)
桶川市にある施設で、埼玉にゆかりのある作品や文学者の関連資料の収集・研究・展示を行っている。
ウェブサイトでは県内ゆかりの文学者の紹介や、文学図書室で所蔵している図書・雑誌の資料検索ができる。
2 ジャンルを絞って調べる
特定のジャンルを詳しく知りたい時は、以下の各分類記号の棚を探すと見つけやすいです。
「90」(文学全般)「911」(詩歌)「912」(戯曲)「913」(小説)「914」(評論・エッセイ・随筆)「915」(日記・書簡・紀行)「916」(記録・手記・ルポタージュ)「917」(箴言・アフォリズム・寸言)
また、各資料館の展示図録も参考になります。
S915/タヒ『旅する文学 紀行文学で巡る埼玉』(さいたま文学館 2021)
さいたま文学館展示図録。近代(明治~昭和初期)の紀行文学、吟行の紀行文で埼玉がどのように描かれたかを、7人の文学者と作品を例に解説。
*吟行...詩歌・俳句をつくるために名所・旧跡などに出かけること
S902/フン『文学に描かれた埼玉の「城」』(さいたま文学館編 さいたま文学館 2020)
さいたま文学館展示図録。連歌や軍記物から現代小説まで、様々な作品で描かれる城の姿と、関係の深い歴史上の人物について解説している。
S726/エホ『絵本❝彩❞発見! 埼玉の絵本作家と「こどものとも」』(さいたま文学館〔編〕 さいたま文学館 2009)
さいたま文学館展示図録。絵本雑誌『こどものとも』を軸に、埼玉にゆかりのある絵本作家6人について、掲載作品を交えて紹介している。
S909/サイ『埼玉の児童文学「中学生文学」の作家たち』(さいたま文学館編 さいたま文学館 2000)
さいたま文学館展示図録。埼玉発の中学生向け教養文芸誌『中学生文学』の歴史を振り返る。。
編集者、作家陣の紹介や、全号の総目次の掲載の他、2000年時点で県内で発行されている児童文学雑誌を写真付きで掲載している。
S911.3/ウチ『埼玉俳諧人名辞典』(内野勝裕編著 さきたま出版会 2003)
近世の武蔵国出身者を中心に、県内の俳壇に影響を与えた人物を掲載している人名辞典。
S911.3/ハイ『俳諧結社 多少庵』 (宮代町郷土資料館 〔2021〕)
宮代町立郷土資料館展示図録。江戸時代における県内の俳諧活動と、主に県域内で活動していた4つの俳諧結社について、収蔵資料とともに解説している。県内に設置されている松尾芭蕉の句碑一覧あり。
S911.1/サイ『埼玉短歌事典』(埼玉県歌人会「埼玉短歌事典刊行委員会」編 加藤克巳[ほか]監修 埼玉短歌事典刊行委員会事務局 2017)
埼玉県歌人会に所属あるいはかつて所属していた人物、団体を中心に掲載している事典。資料編に「埼玉の文学碑」「埼玉現代短歌史年表」「受賞者一覧」あり。
S911.1/ムサ『武蔵国の万葉を歩く 万葉故地・歌碑と寺社・史跡めぐり』上・下巻(二川曉美著 埼玉新聞社 2023)
万葉集にうたわれた首都圏の土地と歌碑について、鉄道路線別に、筆者おすすめのモデルコースに沿って紹介している。巻末に掲載歌碑の一覧、碑文の内容解説もあり。
S902/セ『埼玉の文学碑』(関田史郎著 さきたま出版会 1996)
埼玉新聞連載記事の加筆修正版。県内にある文学碑約40か所を収録。碑文の内容解説のほか、地域との関連、碑本体の素材や彫刻についても言及している。「埼玉の文学碑一覧」あり。
3 地域の文芸活動について調べる
SA918/サイ『埼玉の文学2021』(埼玉県文化団体連合会文学部会編 2022)
「一般社団法人 埼玉県文化団体連合会」(埼玉県文化団体連合会)
埼玉県文化団体連合会文学部会の作品を掲載している。所属団体の一覧あり。最新の活動状況や団体名簿は上記のウェブサイトで確認もできる。
雑誌『文芸埼玉』(埼玉県教育委員会[編] 埼玉県教育委員会 1968-)
県内における文芸活動の普及向上を図るため、埼玉県教育委員会が昭和43年から発行している文芸誌。年2回刊。
県民から作品を募集し、入選した作品や、埼玉文芸賞の受賞作品を掲載している。
近代以前の各地域での活動については、各自治体誌に記載されていることがあります。
S211/ウ『浦和市史 通史編 第2巻』(浦和市総務部市史編さん室編 浦和市 1988) S261/キヨ『行田の歴史』(行田市史編さん委員会編 行田市教育委員会編 行田市 2016) S214/コウ『鴻巣市史 通史編 第3巻』(鴻巣市市史編さん調査会編 鴻巣市 2006) S222/トコ『ところざわ歴史物語 増補改訂版』(所沢市教育委員会編 所沢市教育委員会 2020) S229.4/シン『新毛呂山町史』(毛呂山町歴史民俗資料館編 毛呂山町 2010)
『文芸桶川』(桶川市教育委員会 1980-) 『文芸かわじま』(川島町教育委員会 1992-) 『水明』(水明俳句会 1930-) 『はんの木』(むさしの児童文化の会 1983-2023) 『鮒』(鮒短歌会 1986-) 『ふれあい 文芸草加』(草加市 1986-) |
館内の資料検索機や、県立図書館ウェブサイトの資料検索で探す際は、「一般件名」欄に地域名、「分類:参照選択」欄で「9:文学」を選択して検索してください。
※件数が多すぎる場合は、項目2で紹介した、3桁の分類記号を選択してください。
4 特定の文学者について調べる
県内にゆかりのある文学者の作品、関連書籍は埼玉資料室にありますが、県内出身・在住でも全国的に有名な文学者は、一般の棚に並んでいることがあります。(文学・児童文学に関する一般書は、主に埼玉県立久喜図書館所蔵になります。)
上記で紹介した資料のほか、資料検索で人物名をキーワード検索すると見つけることができます。
また、ウェブサイト上で、ゆかりのある文学者の特集ページを作成・公開している自治体もあります。
検索例
- 大西民子(歌人)
S911.1/オオ『全円の歌人大西民子論』(沖ななも著 角川文化振興財団 2020)
S911.1/オオ『定本・大西民子のうたと絵画』(石川朗著 石川朗 2007)
SA911.1/オ『大西民子全歌集』(大西民子著 沖積舎 1981)
「おおみやデジタル文学館―歌人・大西民子―」(さいたま市立大宮図書館)
大西民子に関係するデジタル史料を公開している。著作目録や直筆原稿が検索・閲覧できるデータベースのほか、本人の音声データを聴くことができる。
・・・ほか関連資料多数あり
- 石井桃子(児童文学作家・翻訳家)
氏が携わった作品、及び関連書籍は、子ども読書室(熊谷図書館)や、子ども図書室(久喜図書館、児童書研究資料(分類記号が「J」から始まる資料)を含む)にも多くあります。
S909/イシ『石井桃子の日本昔話』(杉山きく子編著 「がんばれ!東京子ども図書館」の会 東京子ども図書館 2021)
S902.1/イシ『ひみつの王国 評伝石井桃子』(尾崎真理子著 新潮社 2014)
S909/イシ『石井桃子の世界 子どもの本にささげた百一年の生涯』(小倉健一著 〔小倉健一〕 2010)
S211/イシ『石井桃子in浦和』(石井桃子の会 2019)
J019.5/コト『子どもが本をひらくとき 石井桃子講演録』(石井桃子著 ブックグローブ社 2017)
SA902/イシ『『幼ものがたり』探査 浦和・中仙道の端で』(並木せつ子著 ライブラリー・アド・サービス 2015)
J909.04/イシ007『子どもに歯ごたえのある本を 石井桃子談話集』(石井桃子著 河出書房新社 2015)
S909/イシ『資料でみる石井桃子の世界』(小寺啓章編著 小寺啓章 2007)
S902/イ『幼ものがたり』(石井桃子 福音館書店 1981)
・・・ほか関連資料多数あり
市町村ウェブサイト例
- さいたま市
「さいたまの文学」(さいたま市図書館)
- 久喜市
「中島敦ゆかりの地」(久喜市)
- 本庄市
「石川三四郎資料室(本庄市立図書館 2階)」(本庄市立図書館)
- 和光市
「和光市ゆかりの文化人」(和光市)
- 皆野町
「秩父音頭と俳句の町 みなの」(皆野町教育委員会)
県内の記事・市町村史誌を探したいときは -データベースのご案内-
埼玉新聞(1943年4月1日から2009年12月31日まで)や、県内の主要郷土研究雑誌等に収録された記事見出し、県内市町村史の目次を検索できます。 |
5 PDF版(2024年1月10日発行)
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