メニューにジャンプこのページの本文へジャンプ
埼玉県立図書館 あなたの調べるを応援します

ホーム催し物・イベント資料展・ミニ展示WEB資料展> 【Web資料展】「100年前の資料で見る 埼玉と昭和100年」(令和7年度)

【Web資料展】「100年前の資料で見る 埼玉と昭和100年」(令和7年度)

バナー.jpg

    はじめに

    • 000000001_1535x936.jpg

      巨大な飛行船を格納した所沢飛行場(大正年間)

    • 000000001_1494x682.jpg

      木橋時代の戸田橋(昭和初期)

    • 000000001_1512x1074.jpg

      大規模設備を誇る日本煉瓦工場(深谷市 昭和初期)

    令和8年(2026)に、日本は昭和元年(1926)から数えて100年を迎えます。

    「『100年前』の埼玉県はどのような県だったのか」と聞かれた時、
    あなたは何を思い浮かべますか?

    関東大震災や熊谷の大火、続く水害の爪痕が残る景色でしょうか。
    鉄道を中心とした交通網の発達や、東京近郊の都市化が進んだことにより発展の兆しを見せる社会の様子でしょうか。
    それとも、雄大な山林の風景でしょうか。

    今回のウェブ資料展では、この「昭和100年」にちなみ、当館所蔵の出版・発行から100年が経過した地域資料をご紹介します。
    金融恐慌や不況、進む首都近郊化。激動の時代となった昭和という時代。その「始まり」。
    多岐に渡り収集された100年前の資料は、断片的ではありますが、当時の埼玉県の様子を現代に生きる私たちの前に鮮やかに示してくれます。
    古いからこそ、新しい発見に繋がる。まさしく「温故知新」の出会いをお楽しみください。

    展示資料のサムネイル画像をクリックすると、『埼玉県立図書館デジタルライブラリー』掲載の大きな画像をご覧いただけます。
    画像の利用に関しては、埼玉県立図書館のデジタル化資料の利用規約はこちらをご確認ください。

    インデックス(リンクをクリックすると該当記事にジャンプします)

    県政の様子

    100年前の県政の断片が見える資料をご紹介します。
    特に統計資料では、100年前に重要視されていた物事が項目立てから見えてきます。

    S310/サ『自治資料 第4輯』(埼玉縣内務部 1925)

    スクリーンショット 2025年10月19日 224432.png


    1925年に発行された資料です。
    「生活改善」「相互扶助」「教育振興」「生産増加」「保健衛生」「納税励行」など、様々な項目で県の内情を総合的に知ることができます。各項目には統計も含まれており、数字で状況を実感することも可能です。
    当時の県政を包括的に知ることのできる、貴重な資料です。
    関東大震災の被災状況の記録も雑録として含まれています。
    また、一部町村ですが町村紋章の掲載があるのも必見です。

    S343/サイ『埼玉県財務関係諸規程』(埼玉県庶務課 1926 )

    スクリーンショット 2025年10月19日 224318.png


    「賦課の部」「徴収の部」「県税検査の部」「雑の部」4つの大きな項目に分けて、当時の財務に関わる規則・規程等をまとめたものです。県だけでなく、「市町村会計規程準則」等、市町村に関わる内容も収録されています。
    また31コマ目からは当時県が交付していた、船、自動車、犬などの「鑑札」が掲載されています。デジタルライブラリーでは拡大が容易なため、細部まで図を確認することが可能です。

    • 関連資料:S342/サイ『埼玉県の財務諸表』※リンク先は平成20年度
      近年の県の財務諸表はデジタル行政資料として収集されています。
      現在平成20年度から令和2年度版まで、デジタルライブラリーに収録済みです。

    S498/サ『郡市町村別乳幼児(五歳以下・一歳以下)死亡率表』(埼玉縣保健調査會 1926)

    スクリーンショット 2025年10月19日 224508.png


    大正11年(1922)から大正13年(1924)までの県内のデータを大正14年(1925)の国勢調査のデータと合わせ、各郡市別にまとめたものです。
    冒頭の凡例の記述に、「乳幼児保護の対策に資せんとするものなり」とあり、当時の人口に対する乳幼児の死亡率が問題視されていたことが伺えます。群市町村別の統計データも含まれており、当時の人口規模等を総合的に知ることができます。

    • 関連資料:雑誌『関東之衛生』(関東之衛生社)※リンク先は96
      関東之衛生社が発行していた保険・衛生に関わる雑誌です。
      当時県内に存在していた医院の紹介などが掲載されています。
      デジタルライブラリーには96号から106号まで収録されています(一部欠号あり)。

    古写真『立図書館印の押してある開館当初の蔵書』(大正後期)

    000000001_1509x1017.jpg

    県立図書館の源流は明治初期まで遡ります。
    県は教育文化の向上を目的に、明治9年(1876)に浦和図書館を設けて図書の活用を図りましたが、普及には至らず、同42年(1909)に県学務課が巡回文庫を設けたことにより図書館活動はようやく波に乗り始めました。
    こうして県内各地に公立図書館に設置が促進される中、私立埼玉県教育委員会は大正11年(1922)に埼玉図書館を浦和町に開設。これが後の13年(1924)に県立に移管されたことから、現在の県立図書館に繋がります。

    写真に写っている資料には県立図書館として成立してからの蔵書印が押され、県の取り組みの成果のひとつを実感することができます。

    市町村の様子

    地図や絵図、町村市、要覧。市町村の様子を知ることのできる資料は様々です。
    100年前の各市町村はどのような状況だったのか。デジタルライブラリーに収録されているものから、一部をご紹介します。

    S294.9/ア『長瀞鳥瞰図』(青木 清一 1925)

    スクリーンショット 2025年10月19日 224640.png


    鮮やかな色彩で描かれた当時の長瀞の鳥観図です。
    「ながとろ清遊案内」とも表記があり、鳥観図内に土産物店や旅館等が多く掲載されています。
    鳥観図の裏は主に商店や旅館、写真館、歯科など商工業者の紹介になっています。裏面「鳥瞰図に沿えて」にはこの資料が作られた経緯が語られており、そこから、長瀞が天然記念物に指定されたことによる観光への影響が伺えます。

    S297.9/ヒ『日勝村誌』(日勝村 1925)

    スクリーンショット 2025年10月19日 224906.png


    南埼玉郡日勝村成立30周年を記念して編纂されたもので、巻頭に歴代村長の肖像や小学校の外観等の写真が収録されています。
    日勝村は後に合併し、白岡町となります。
    役場の記録や学校や寺院の記録といった幅広い資料を参考に地誌として編纂されており、この一冊で村の基礎的な情報を知ることができます。

    S318.23/サイ『埼玉縣比企郡勢要覽 大正13年』( 埼玉縣比企郡 1925)

    スクリーンショット 2025年10月19日 225252.png


    当時の比企郡2町26ヶ村についての統計などがまとめられています。戸数や人口に始まり、気候や寺社及び教会に関わる数値など、多岐に渡る統計が収録され、当時の各町村について詳細に知ることが可能です。
    また付録として、著名な寺社及び名勝史跡の一覧や2万5千分の1の規模の地図、各町村間の里程が収録されています。

    • 関連資料:S293.9/タマ『玉川村全図』(玉川村 1958(調製))
      高度成長期に入った昭和30年頃の比企郡玉川村(現在のときがわ町の一部)の全図です。
      学校や役場などの主要施設も地図記号と共に記載されています。埼玉県の略図も収録されており、県内の比企郡の位置や比企郡の中の玉川村の位置をそれぞれ知ることができます。

    S343/サイ『埼玉県北足立郡大正震災誌』(北足立郡 1925)

    スクリーンショット 2025年10月19日 225358.png


    関東大震災から3年後に記録としてまとめられた資料です。
    足立郡役所の執務日誌や町村長が提出した震災に関わる資料から編纂されています。また、全体の被害状況と足立郡の被害状況を比較するために、一府六県の罹災世帯及び人口表も収録されています。
    巻頭には被災直後や復興途中の写真も収録され、数字や記述以外でも震災の様子を知ることができます。

    • 関連資料:古写真『傾いた浦和刑務所の建物』(1923)
      瓦礫の山の後ろに一目見て傾いていると分かる建物が写っている、関東大震災当時の古写真です。
      デジタルライブラリーには他にも震災当時や復興の様子を写した古写真が収録されています。

    暮らしの様子

    100年前の神社、町や学校等、身近なコミュニティの様子が垣間見える資料をご紹介します。
    当館デジタルライブラリーには古写真も含まれており、当時の様子を視覚的に確認できます。

    S175/ミ『三峯神社写真帖』(三峰神社社務所 1925)

    スクリーンショット 2025年10月19日 225451.png


    三峯神社は秩父多摩甲斐国立公園の南東に位置する三峰山の一角にあります。
    本資料では、現在も全国から参拝客の訪れる神社の100年前の貴重な姿が写真に収められています。
    鳥居から参道の並木道、神楽殿や絵馬など、白黒ながら鮮明な写真を見ることができます。巻末には各写真の解説が付いており、内容も充実しています。

    • 関連資料:S175/ウ『三峰山御開扉参詣群衆之図』(歌川豊国/画 〔18--〕)
      歌川豊国による3枚続きの浮世絵です。デジタルライブラリーでは高解像度のまま拡大をして、細部まで閲覧が可能です。
      三峯神社の由緒を感じさせるとともに、色鮮やかに描かれた人々の様子から当時の参詣のあり方を伺えます。

    S385.2/カ『川越郷土簓獅子舞由来記』(川越郷土簓獅子舞後援会 1925)

    スクリーンショット 2025年10月19日 230920.png


    日本青年会館の開館式に川越市石原町簓獅子舞が出演したことを記念して発行された資料です。
    獅子舞の由来だけでなく、舞の歌詞やその解説、実際の舞の様子を写した写真などが掲載されています。また、市内の商店等の広告が多数掲載されており、発行にあたり協力を得ていたことが伺えます。
    また、川越商業会議所蔵版の川越市外園図が収録されており、町の様子も合わせて伺うことができます。

    • 関連資料:古写真『郷里の秋祭を楽しむ翁』(1926)
      埼玉の3偉人のひとり、渋沢栄一氏が八基村(現在の深谷市の一部)の秋祭の獅子舞を楽しんでいる様子を写した古写真です。
      中央に写っている渋沢氏はもちろん、周囲の村民の様子からも楽し気な様子が伝わってきます。

    S376.7/ウ『瑶沙原誌 〔第1編〕』(浦和高等学校学友会 1925)

    スクリーンショット 2025年10月19日 231126.png


    官立浦和高校創立3周年を迎えて出版された資料です。官立浦和高校は旧制浦和高校とも呼称されます。
    旧制浦和高校は後に、埼玉師範学校、埼玉青年師範学校と統合され、昭和24年(1949)に埼玉大学へとなります。
    本資料には各学友会誌や各倶楽部誌、校歌、寮歌等が収録されており、100年前の学生生活の様子を鮮やかに思い起こさせます。
    巻末には建物配置図が細かく掲載されており、学校全体の様子を伺い知ることができます。

    埼玉県立図書館ではデジタルライブラリーを含め、県内学校の記念誌や会報が多く所蔵されており、学校史の編纂や研究等に活用されています。

    • 関連資料:S376.6/カ『會報 第21号』(川越中學校學友會 1925)
      『瑶沙原誌 〔第1編〕』とほぼ同時期に発行された川越中学校学友会の会報です。表紙や目次から開校15周年記念誌であることが伺えます。
      寄稿文等多数の記述の他、校舎や歴代校長の肖像写真も収録されています。
    • 関連資料:雑誌『埼玉教育』※リンク先は第222号
      埼玉県教育会が発行していた雑誌で、改題前は『埼玉縣教育會雜誌』という題でした。1906年頃から存在し、教育学に関わる論文などが掲載されています。
      デジタルライブラリーには改題前のものから昭和10年5月号まで収録されています(一部欠号あり)。

    雑誌『埼玉正論』(埼玉正論社 1925創刊)

    seiron.jpg

    1925年11月に創刊された雑誌です。
    創刊記念として、当時の県知事、警察部長、海軍少佐等が執筆した記事が掲載されています。内容も「思想及び論説」「時事問題」「研究と指導」「経済時事」「文芸」「各種報道」と幅が広く、合間に挿入された小記事を含めてバラエティに富んでいます。
    短編小説などの投稿の募集もあり、文学や芸術の側面からも人々の流行や社会のなど垣間見ることも可能です。創刊号である本号には北原白秋の作品が掲載されています。

    デジタルライブラリーには創刊号から昭和4年8月号まで収録されています(一部欠号あり)。

    • 関連資料:雑誌『鴛鴦文學』(鴛鴦文學会)※リンク先は2号。
      北埼玉郡忍町の鴛鴦文學会により発行されていた文学雑誌です。
      明治33年(1900)頃の雑誌のため、埼玉正論と見比べると文学・芸術分野の変遷が伺えます。
      デジタルライブラリーには2号から4号まで収録されています。

    古写真『梅の名所越生の梅林』(大正末期)

    000000001_1540x888.jpg


    大正末期の越生の梅林を写した古写真です。越生の梅林が100年以上前から人々に親しまれ、賑わいを見せていたことがよく分かります。
    本展示のバナー写真にも使用しています。

    • 関連資料:【WEB資料展】「埼玉の自慢したい風景」

      埼玉県立浦和図書館(閉館)で実施した「自慢したい風景」の展示 (2012年度に開催)をWEB資料展として再現したものです。
      風景30か所の選定は、平成12年に埼玉新聞社より刊行された「埼玉ふるさと自慢100選-県民投票で選ばれた21世紀に残したい埼玉県の風景-」で上位になった風景を中心に、当館所蔵古写真の中から紹介できる風景を選びました。越生の梅林も含まれています。

    古写真『川越市営職業紹介所』(昭和初年)

    000000001_679x951.jpg 昭和初年頃に撮影された川越市営職業紹介所の古写真です。
    当時の県の社会福祉事業は発展の最中でした。その事業の中のひとつとして、県内には13ヶ所の職業紹介所が設置されました。
    本写真の営業所もその内のひとつに当たります。

    • 関連資料:資料展「川越百歳 ~川越市市制100周年記念展示~」

      大正11年(1922)121日、川越町は仙波村と合併するとともに、県内初の市制を施行し「川越市」となりました。川越の百寿を記念して2022年4月に開催された資料展です。
      絵葉書や川越を舞台としたアニメとコラボをした観光マップ、川越の情景模型等様々な資料を展示しました。

    農林業の様子

    100年前の埼玉でも、農林業を支えるためにさまざまな団体が組織され、活動していました。
    統計や古写真など、当時の様子を知ることのできる資料をご紹介します。

    S294/サイ『埼玉縣山林會報 第9号』(埼玉縣山林會 1926)

    スクリーンショット 2025年11月25日 164846.png

    埼玉県山林会が発行した会報の第9号です。
    風景や森林の保存についてなど、林業に関わる講演の資料が掲載されています。
    また、埼玉県山林会員が一堂に会し、奥秩父の三峰を視察した記録も掲載されています。視察の様子は親しみのある文体で綴られ、会員たちがいかに奥秩父の自然に触れたのかが伺い知れます。
    冒頭に収録されている写真も併せてご覧ください。

    • 関連資料:『大秩父山嶽図』(JCC調査部 1933)
      奥秩父・奥多摩・大菩薩を含んだ7万5千分の1の縮尺の地図資料です。
      林道を含んだ小径や里道の表記はもちろん、山小屋などが記号で記されています。高度尺が色分けで表されており、視覚的に分かりやすい資料です。

    S611.5/ノ『農家保険組合奨励概況 農務要報 第1号』(埼玉縣内務部 1925)

    スクリーンショット 2025年10月19日 231231.png


    当時の農家保険組合の概況等をまとめた資料です。
    沿革から、小作料の減免等を契機に交渉の場面が増えたことから、大正12年度に組合の設置を奨励されたことが分かります。組合数は奨励から2年後の大正14年度には68組に到達しており、その活動の活発さが伺えます。
    組合の成立や要項、各種帳簿や財産目録の様式、郡毎の農家保険組合の一覧が収録されています。
    組合内の規模や収支についての統計も収録されており、数字からも当時の状況を詳細に把握することができます。

    • 関連資料:雑誌『更生埼玉』(埼玉県農村更生協会)※リンク先は創刊号
      埼玉県農村更生協会の機関誌です。主に農村の経済更生にスポットを当てた内容になっています。
      デジタルライブラリーには創刊号から第48号まで集録されています(一部欠号あり)。

    S612/サイ『埼玉縣之農業 農務要報 第3号』(埼玉縣内務部 1926)

    スクリーンショット 2025年10月19日 233204.png


    地勢や交通及び戸口、気候などといった県全体の様子はもちろん、当時の農業生産の状況について統計資料等様々な資料が収録されています。
    統計だけでなく各解説も詳細に記載されています。
    特に産業奨励施設の要項の項目は充実しており、施設の種類ごとに現状や当時の成績等がまとめられています。巻末には県内の名勝の一覧もあり、見所の多い資料です。

    • 関連資料:SA37/シン『新編農業教科書 1巻』『新編農業教科書 2巻』(埼玉県師範学校同窓会/編 杉本光文館 1913)
      当時の高等小学校児童用の農業教科書として編纂された資料です。1巻と2巻でそれぞれ対象学年が異なります。
      農業・農学の基礎的な知識に加え、2巻では農事試験場や農会についても触れられており、児童用ながら専門的な内容になっています。

    S615/サイ『採種圃の経営 農務要報 第4号』(埼玉縣内務部 1926)

    スクリーンショット 2025年10月19日 233336.png


    県内の採種園、特に品種改良に焦点を当てた資料です。巻頭には採種園に関わる組織図も記載されています。
    冒頭に「最も的確にして効果大なるは採種園の設置に依る優良品種の普及である」と記述され、埼玉県としても品種改良による農作物の増産に力を入れていたことが伺えます。
    品種改良の要旨の説明だけでなく、その方法や効果、採種園の管理上の地注意に関しても記述があります。
    米や大豆等の基本的な作物の原種の特徴表も収録があり、現在流通している品種との差を比較することにも役立ちます。

    商工業の様子

    商工業には様々な種類がありますが、今回は足袋と蚕糸業、一部の商工会についての資料をご紹介します。
    100年前の商工業の断片をご覧ください。

    S589/デ『足袋の話 足袋から見た経済生活』(出井 盛之 1925)

    スクリーンショット 2025年10月19日 233424.png


    埼玉の足袋について、経済生活と絡めてアプローチしている資料です。
    雑誌『我等』大正13年6月号に掲載された「足袋雑話」に挿絵と注を加えた内容になっており、産業革命の波が人々の生活にどのように影響したかを伝える内容になっています。
    足袋についてだけではなく、時代の中の生活の様子が伺える、特徴的な資料です。
    本文中の挿絵はタッチがやわらかで温かみがあり、挿絵だけでも十分に楽しめます。

    • 関連資料:古写真『たびの街行田の風景』(大正元年)
      荷車の往来や働く人々の様子が垣間見える古写真です。
      行田たびは明治期には機械の導入や同業組合の設立等の発展があり、その発展が続いていることが伺えます。

    S630/サ『埼玉県之蚕糸業』(埼玉県蚕業試験場 1925)

    スクリーンショット 2025年10月19日 233523.png


    県内の蚕糸業の沿革と情勢を、業者向けの参考とするために収録した資料です。
    熊谷町の明治30年(1955)から大正9年(1920)までの月別平均気象や、20年間の養蚕期別の気温と湿度の関係についての数値も記載があります。
    蚕糸業の基礎的な内容だけでなく、蚕糸業に影響のあるデータも収録されているのが特徴的です。

    • 関連資料:S630/サイ『最新蠶絲要綱』(埼玉縣蠶業試験場 1931)
      時代の流れに伴い、経営、技術の両方面での改善・進展を目指すため基礎的資料として編纂された資料です。
      巻末附録として、当時の養蚕に関わる統計や生糸等の相場が含まれています。

    S670.3/『本庄商工写真名鑑』(田村伊勢松 1926)

    スクリーンショット 2025年10月19日 233644.png


    当時の本庄町(現本庄市)の思い出を未来に残すために発行された写真名鑑です。
    商店や町工場、寺社や産婆会、役場や郵便局、学校等、100年前の町の生活風景が目に浮かびます。
    写真だけでなく店の広告等も収録されており、デザインの面からも当時の様子をうかがい知ることができます。

    • 関連資料:古写真『県庁落成を祝う浦和市商店街』(1951)
      昭和20年代の浦和市(現さいたま市)の商店街の様子です。看板には「高砂共栄会商店街」の文字が確認できます。
      県庁落成記念の大売り出しが行われており、賑わいを見せています。

    S670.3/フ『豊岡商工案内』(豊岡商工会 1925)

    スクリーンショット 2025年10月19日 233725.png


    豊岡町の当時の商工業についてまとめられた資料です。
    豊岡町は現在の入間市の一部です。
    写真帖ではありませんが、様々な店の広告込みの写真が多く収録されています。
    商業・工業の名物については勿論ですが、町の観光案内として名勝にも触れられており、豊岡町の街並み全体について思いを馳せることができます。
    また、巻末には豊岡町の地図があり、交通網と店舗の分布の関係を一目で知ることができます。

    • 関連資料:S670/カ『川越商工案内』(川越商業会議所 1911)
      こちらも商工案内の資料です。
      巻頭には写真と川越全図が収録され、豊岡商工案内と同様に町全体の様子を伺えます。
      例言から、川越特設電話の第三回加入者工事の完成や、川越織物市場及び織物品評会開会を記念して発行されたことが分かります。

    おわりに

    『埼玉県立図書館デジタルライブラリー』では今回ご紹介した資料以外にも、貴重な資料が多く収録され、随時更新されています。まるで地層のように積み重なる時と記録を、いつでも、どこでもお楽しみいただけます。

    資料詳細に記載されている条件に従っていただければ、自由に利用可能です。

    各種雑誌への掲載や地域に関する授業の資料としても、ぜひ、ご活用ください。

    参考文献

    ミニ展示「比べて発見! 昭和100年と埼玉の現在」

    Web資料展との関連展示です。
    100年前の資料を集めたWeb資料展とは一転し、現在の埼玉県の姿が分かる資料を展示しています。
    Web資料展の資料と様々な視点から見比べられるよう、統計資料や雑誌、旅行ガイド等、幅の広い分野の資料を集めました。

    展示スペースにはWeb資料展のページへアクセスできる二次元コードも掲示中です。
    お手持ちのスマートフォンを使って、100年前と現在をぜひ比較してみてください。

    ミニ展示「比べて発見! 昭和 100 年と埼玉の現在」(埼玉資料)

    開催期間

    【埼玉資料室】令和71025(土曜日)12月3日(水曜日)まで
    【浦和分室】令和7年12月9日(火曜日)~令和8年1月31日(土曜日)まで
    (休館日を除く)

    開催場所

    埼玉県立熊谷図書館 3階埼玉資料室
    埼玉県立熊谷図書館 浦和分室