資料保存の基礎
基本的な考え方
図書館では、保存と利用を対立するものと捉えるのではなく、利用をより長期にわたり保障する保存活動と捉えます。
「長期」をどう捉えるかは各図書館の性格により違ってきます。
収集・保存方針
何を収集し、どのようにいつまで残すのか、図書館の特性に応じて、方針を明確化します。
修理するかどうか判断する際の指標となります。
保存(修理)計画
個別に修理するのではなく、資料群(刊行年別・郷土資料など)で優先度をつけ段階的・計画的に修理します。
予防と手当
「治療」よりも「予防」が大切です。
壊れた本に対処するだけでなく、劣化の原因を取り除くことこそ重要です。できることから始めることが大切です。
劣化の原因
原因 | 予防対策 | |
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保存環境 | 温度・湿度・紫外線・ホコリ・虫・カビ・災害 | 空調・環境測定・調湿紙・こまめな消灯・紫外線防止蛍光灯・ブラインド・紫外線防止フィルム・清掃・点検・防虫剤・害虫駆除・災害対策マニュアル |
内的な要因 | 酸性紙・紙の寿命・針金綴じ・構造上の問題(無線綴・横目・大きさ) | 脱酸(少量・大量)・中性紙の利用・綴じ直し(糸・ステンレス針) |
外的な要因 | 製本・複写・棚からの出し入れ・頻繁な移動 ・乱暴な利用等取扱い ・不適切な修理 |
複写機の改善・複写の制限・書架整理 ・利用者・職員への教育 |
資料保存の5つの方法
- 防ぐ
- 点検する
- 取り替える
- 治す
- 捨てる