令和4年度から令和6年度 重点取組達成状況(令和6年度評価)
埼玉県立図書館では、運営の基本方針に基づき重点目標・重点取組を設定し、県民の皆様の期待にこたえられるよう利用者サービスの推進に取り組んでいます。
令和4年度から令和6年度までの3年間は、それぞれの目標について、数値目標を定めて評価するほか、数値で成果を表せない困難な課題に取組み、その進捗状況についても評価対象としています。
令和6年度重点取組達成状況 評価の詳細
5つの重点取組の中の「数値目標」「困難な取組における進捗状況」の達成状況を、以下の基準で評価しています。
評価 | 数値目標の達成水準 | 困難な取組における進捗状況 |
S | 目標に達している | 予定どおりの進捗が見られる |
A | 目標の8割以上に達している | 8割程度の進捗が見られる |
B | 目標の5割以上に達している | 5割程度の進捗が見られる |
C | 目標の5割未満である | 取組に着手している |
D | 成果・進捗がほとんど見られない | 取組に着手していない(要努力) |
各取組の評価は、図書館協議会委員で構成される「サービス評価小委員会」の御意見をいただきながら、総合的にまとめています。
重点目標1 専門的な資料・情報や地域資料等の収集・保存の充実
重点取組1-1 多様な媒体の資料・情報の収集・保存
重点取組1-2 資料保存環境の改善
重点取組1-3 地域資料等のデジタル化の推進
数値目標 |
多様な資料の新規収蔵冊数 |
目標値 | 31,630点 | 評価 |
実績値 | 33,507点 | S | ||
達成率 | 106% | |||
デジタルライブラリーのアクセス件数 |
目標値 | 46,000件 | 評価 | |
実績値 | 78,101件 | S | ||
達成率 | 170% | |||
県立図書館資料の満足度(役に立つ度) |
目標値 | 4.2以上 | 評価 | |
実績値 | 4.5 | S | ||
達成率 | 107% | |||
困難な取組 における 進捗状況 |
資料保存環境の改善(重点取組1-2)として、大きく分けて3つの取組を実施した。 1つ目は、収蔵スペース創出に向けた取組である。複数所蔵している資料の除籍による単冊化を進め、スペースの確保を行った。 2つ目は、資料保存環境の整備である。外部書庫資料運用検討委員会において、外部書庫内の空きスペースの環境測定を実施し、除湿機を新たに導入した。また、特別整理期間を活用し、令和4年度及び5年度に創出した各館の空きスペースへ資料を移動した。 3つ目は、資料保存に関する人材育成の取組である。資料保存の知識と技術を習得するための職員研修を実施し、基礎知識の習得だけではなく、より実践的な研修を修了した司書職員は約半数となった。さらに、埼玉県立文書館が開催した「文書資料取扱講習会」に職員を派遣した。 |
評価 | ||
S | ||||
総括 |
上記1-2の取組のほか、多様な媒体の資料・情報の収集・保存(重点取組1-1)については、令和4年度から始め、5年度に対象を拡大した県内のデジタル行政資料の収集を継続し、様々なデジタル行政資料を公開することができた。 地域資料等のデジタル化(重点取組1-3)の推進では、新たに233点のデジタル化資料を作成し、デジタルライブラリーで381点を公開した。なお、デジタルライブラリーのアクセス件数の目標値は、指標策定時はトップページ等のアクセス件数を指標として計上していたが、図書館システムの更新により、資料詳細ページのアクセス件数を正確に算出することが可能になった。そのため、令和5年度以降の目標値は修正されている。 |
重点目標 |
||
S |
重点目標2 ICTを活用した図書館サービスの推進
重点取組2-1 「デジタル地域資料アーカイブ」の検討
重点取組2-2 カウンターワークのデジタル化の推進
重点取組2-3 ICTによる非来館型レファレンスの充実
重点取組2-4 複写物の電子送信サービスの実施
数値目標 |
カウンターワークのデジタル化取組件数 |
目標値 | 5件 | 評価 |
実績値 | 6件 | S | ||
達成率 | 120% | |||
ICTによる非来館型レファレンス受付件数 | 目標値 | 310件 | 評価 | |
実績値 | 228件 | B | ||
達成率 | 74% | |||
ICTによる非来館型レファレンスサービス利用のしやすさ満足度 |
目標値 | 4.5以上 | 評価 | |
実績値 | 3.9 | A | ||
達成率 | 87% | |||
困難な取組 における 進捗状況 |
重点取組2-2では、ウェブサイトへの誘導や動画案内など、カウンター業務の効率化と利用者の利便性向上につながる取組を継続的に強化した。 重点取組2-3では、図書館ウェブサイトのトップページからレファレンスページへの導線を改善し、申込フォームに案内を追加することで、利用しやすさを向上させた。また、県内図書館向けのレファレンス申込用掲示板を、よりアクセスしやすい図書館協力ウェブサイトに移設した。さらに、各種会議やイベントで非来館型レファレンスの利用方法などを説明したり、XやLINEなどのツールを活用した広報活動を行うなど、積極的に情報発信を行った。調査・相談サービスのチラシも改訂した。 重点取組2-4では、補償金支払手続等を調整し、3月に特定図書館の登録を申請した。 |
評価 | ||
A | ||||
総括 |
数値目標の非来館型レファレンス受付件数については、県民向け及び県内図書館向け双方で受付方法の普及が十分ではなかった。重点取組2-2、2-3を実施したものの、効果が数字に現れていない。県民向けのレファレンスフォームでは、2月以降、受付件数が昨年度比で上回っており、引き続き使いやすさの改善や、レファレンスサービス全体の周知強化に取り組んでいく。 複写物の電子送信サービスの実施(重点取組2-4)では、補償金支払いの仕組みは整いつつあるが、実施には至らなかった。特定図書館登録が完了次第、速やかにサービスを開始する予定である。 |
重点目標 |
||
A |
重点目標3 資料・情報提供機能の強化・推進
重点取組3-1 情報提供ツールの作成
重点取組3-2 レファレンス協同データベースへのデータ提供
重点取組3-3 「埼玉サーチ」の拡充・展開 *ジャパンサーチ上の「埼玉県」のページ
重点取組3-4 電子書籍導入方法の検討
数値目標 |
レファレンス協同データベース事例公開件数 | 目標値 | 210件 | 評価 |
実績値 | 221件 | S | ||
達成率 | 105% | |||
情報提供ツールの活用件数 |
目標値 | 430件 | 評価 | |
実績値 | 493件 | S | ||
達成率 | 115% | |||
「埼玉サーチ」満足度 |
目標値 | 4.0以上 | 評価 | |
実績値 | 3.3 | A | ||
達成率 | 83% | |||
困難な取組 における 進捗状況 |
重点取組3-1では、パスファインダー8点、展示資料リスト15点、高校生向けの外国語資料・多文化理解のためのテーマ別ブックリストを新たに作成した。また、ダウンロード数が数値目標となっている2つのリサーチガイドの改訂版を作成した。 重点取組3-3では、県図書館協会が中心となり、国立国会図書館と県内市町村立図書館との情報交換会を開催した。さらに、ジャパンサーチ上の「埼玉県」ページの活用に関する教員向けの研修動画を作成した。また、同ページに参加する博物館が1館増えた。 重点取組3-4では、新県立図書館の整備の方向性を踏まえ、電子書籍・音声配信サービスの導入時期を見据えながら、プラットフォームや他県の導入状況に関する情報収集を継続的に行った。 |
評価 | ||
A | ||||
総括 |
上記3-1、3-2、3-4の取組のほか、情報提供ツールの作成(重点取組3-1)では、県庁オープンデーなどの大規模イベントにおける広報や、他の課所館・外部機関が実施するイベントでの積極的な広報により、大幅にアクセス数を増加させることができた。 国立国会図書館レファレンス協同データベースへのデータ提供(重点取組3-2)では、令和6年の年間データ被参照(アクセス)件数が全国1位となり、17年連続で国立国会図書館から御礼状を授与された。これは、量的充実だけでなく、質的な充実も果たせていることを示している。 一方、ジャパンサーチ上の「埼玉県」ページの拡充・展開(重点取組3-3)では、満足度が下落した。また、一般利用者向けの講座開催や広報用チラシの配布が十分できなかった。 |
重点目標 |
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A |
重点目標4 県民の自発的・主体的な活動支援及び交流機会の創出を通じた県民の価値創造への活動支援の充実
重点取組4-1 県民の自発的・主体的な活動の支援
重点取組4-2 オンラインを活用した事業の推進
重点取組4-3 集合型事業による交流機会の創出・提供
重点取組4-4 県民の新たな価値創造に向けた機会創出方策の検討
数値目標 達成状況 |
県民向け主催事業数 |
目標値 | (1)24回 (2)12回 |
評価 |
実績値 | (1)38回 (2)30回 |
S | ||
達成率 | (1)158% (2)250% |
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県民向け主催事業参加者数 (1)オンライン活用 (2)ワークショップ導入 |
目標値 | (1)1,980人 (2)1,940人 |
評価 | |
実績値 | (1)1,034人 (2)3,679人 |
A | ||
達成率 | (1)52% (2)190% |
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県民向け主催事業参加者満足度 (1)オンライン活用 (2)ワークショップ導入 *参加者満足度:5段階評価 (参加者対象のアンケートにより算出) |
目標値 | (1)4.5以上 (2)4.5以上 |
評価 | |
実績値 | (1)4.6 (2)4.6 |
S | ||
達成率 | (1)102% (2)102% |
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困難な取組 における 進捗状況 |
県民の自発的・主体的な活動の支援(重点取組4-1)の場として、2館合同の「県立図書館ボランティア交流集会」を開催した。この集会では、各種ボランティアの活動報告に基づく意見交換を行い、活動の活性化を図った。 また、県民の新たな価値創造に向けた機会創出方策(重点取組4-4)として、交流集会において参加者のグループによる「ヒトハコ本棚」の製作を企画・実施した。「ヒトハコ本棚」とは、特定のテーマで選んだ資料を、箱型のスペースに並べて作る展示のことである。「ヒトハコ本棚」の閲覧室内での展示やブログでの公開を通じて、参加者の「発見・気づき」を発信することができた。 |
評価 | ||
S | ||||
総括 |
上記4-1、4-4の取組のほか、オンラインを活用した事業の推進(重点取組4-2)では、音訳者養成講座参加者の復習のための記録動画配信、情報の探しかた講座の後日配信、2つの会場と参加者をつなぐボランティア交流集会など、目的や内容に合わせてオンラインを事業に取り入れた。 コロナ禍の収束により、大規模イベントの開催方法を見直したことから、参加人数の目標値は達成には至らなかったものの、事業数・満足度は達成した。集合型事業による交流機会の創出・提供(重点取組4-3)は、女性のための起業入門セミナーや親子ふれあい講座など、参加者同士の対話が生まれるワークショップを取り入れた事業を継続的に実施し、すべての数値目標を達成した。 |
重点目標 |
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A |
重点目標5 図書館ネットワークの中核機能の充実
重点取組5-1 県内市町村立図書館・学校図書館、関係機関等への運営支援と連携の充実
重点取組5-2 司書等専門職員の人材育成(研修)の強化
重点取組5-3 先進的な事業の実施・普及
重点取組5-4 横断検索機能の拡充
数値目標 |
図書館等職員向け研修・講座の開催回数 |
目標値 | 30回 | 評価 |
実績値 | 42回 | S | ||
達成率 | 140% | |||
先進的な事業・業務の相談件数 | 目標値 | 430件 | 評価 | |
実績値 | 1,019件 | S | ||
達成率 | 237% | |||
県立図書館職員が講師を務めた研修・講座等 |
目標値 | 4.5以上 | 評価 | |
実績値 | 4.7 | S | ||
達成率 | 104% | |||
困難な取組 における 進捗状況 |
横断検索機能の拡充(重点取組5-4)については、検索画面や図書館ウェブサイトの案内などを修正した。また、大学図書館9館からの参加申請手続きを進め、横断検索システムで大学図書館の蔵書を検索できるようになった。 県内所蔵資料の活用を促進するため、横断検索の参加有無にかかわらず、県内大学図書館へ横断検索のバナー・リンク設置を依頼した。これをきっかけに、さらに大学図書館1館が横断検索に参加し、大学図書館の検索対象館は合計10館となった。 |
評価 | ||
S | ||||
総括 |
県内市町村立図書館等への運営支援(重点取組5-1)として、情報交換掲示板の設置、市町村立図書館への訪問相談を新たに開始した。訪問相談から個別の職員研修(重点取組5-2)へと発展したものもあった。また、研修資料や動画は図書館協力ウェブサイトで全市町村立図書館へ共有した。 そのほか、学校図書館講座や参考調査研修会など各種研修を実施し、図書館関係職員の人材育成に努めた。先進的な事業の実施・普及(重点取組5-3)では、県庁オープンデーなどの外部イベントに出展し、事業の広報を行った。 困難な取組を含め、各取組とも十分に成果をあげることができ、数値目標も大きく超えることができた。 |
重点目標 |
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S |