小学校5,6年生むけ 令和5年度紹介
令和6年冬紹介(しょうかい)
カタリン・カリコ mRNAワクチンを生んだ科学者
増田ユリヤ/著 ポプラ社 2023年
新型コロナウイルスのワクチンを開発し、ノーベル賞(しょう)を受(じゅ)賞(しょう)したカタリン・カリコ。彼女(か
のじょ)の歩みは困難(こんなん)の連続でした。働いていた研究所を急にやめさせられたり、研究を続けるために移住(い
じゅう)したアメリカの大学でいじめられ、仕事を失ったりしました。けれども彼女の心が折れることはありません。
「私(わたし)たちの科学をあそこにいる患者(かんじゃ)さんたちに届(とど)けなければならない」
これは決してくじけず、自分の思うままにつき進んだ科学者のおはなしです。
図書館がくれた宝物
ケイト・アルバス/作,櫛田理絵/訳 徳間書店 2023年
戦時下のロンドンでくらすウィリアム、エドマンド、アンナの三兄弟は、たった一人のおばあちゃんがなくなり、いな
かへ学童(がくどう)疎開(そかい)することになった。3人は、受け入れ先の家で、いじめやひどいあつかいを受ける。3人
の心のささえは、町にある図書館とその図書館につとめる司書だった。
図書館で、本を読んではあたたかな「家」や「家族」を思いえがいていた3人におきた出来事とは。
ラーゲリ犬クロの奇跡
祓川学/作,田地川じゅん/絵 ハート出版 2023年
第二次世界大戦後、ソ連兵の捕虜(ほりょ)になった日本兵や日本人。ダモイ(帰国)と言われ、乗せられた列車の行き
先は日本へ帰る港ではなく、氷点下二十度以下の地、シベリアだった。ここからラーゲリ強制(きょうせい)収容所(しゅ
うようじょ)での過酷(かこく)な生活が始まる。
食事は一日350グラムの黒パンと少量のスープのみ。お風呂(ふろ)は1か月に1回。先の見えない生活の中、希望となっ
たのは、子犬のクロだった。
クロといっしょに日本に帰国することはかなうのか。
令和5年夏紹介(しょうかい)
絵で旅する国境
クドル/文 ヘラン/絵 なかやまよしゆき/訳 文研出版 2022
国と国とをわける線、ひとつの国をぐるりと取りかこむ線のことを国境(こっきょう)という。きみは、この線をこえてどこかへいったことがあるだろうか?
国境線は食卓(しょくたく)の下に通っていることもあれば、うっそうとしげる森や巨大な滝(たき)を通っていることもある。道路に引かれた線が国境をあらわしていることもあれば、長くて高い壁(かべ)が国境として立ちはだかっていることもある。
これは、国境を旅する本だ。
黄金の村のゆず物語
麻井みよこ/著 ポプラ社 2022
1960年4月、さすらいの農業技術(ぎじゅつ)指導(しどう)技師(ぎし)臼木弘(うすきひろし)が山奥の徳島県木頭村(きとうそん)にやってきた。
木頭ならではの作物はないかさがしはじめたところ、ある日、一本の大きなゆずの木を発見した。これに目をつけた臼木は、日本で初めてのゆず栽培(さいばい)を試みる。当時は実るまでに18年もかかると言われたゆず。栽培を成功させ、村人のくらしをゆたかにすることはできるだろうか。
目で見ることばで話をさせて
アン・クレア・レゾット/作 横山和江/訳 岩波書店 2022
物語を作ることが好きな11才のメアリーは、生まれつき耳が聞こえない。けれど、メアリーがくらす島では、耳が聞こえる人も聞こえない人も手話で話をするので、特に不自由は感じなかった。
ある日、メアリーをかばって兄さんが馬車にひかれて死んでしまう。
そんな時、耳が聞こえない人が多いこの島の原因(げんいん)を調べるため、科学者がやってきた。メアリーは、その科学者あてにとどいた手紙を読んでしまい...。