2015年10月
2015年10月31日
全国図書館大会で健康・医療情報サービスについて発表しました
10月16日(金)、東京代々木で開かれた
「第101回全国図書館大会 ~ 図書館は 地域の広場 生きる力 ~ 」
第20分科会(健康情報)で、久喜図書館の健康・医療情報サービスの実践について発表しました。
分科会テーマは、「健康情報サービスから探る地域との協働」
自治体の専門部署や専門機関、地域の団体と積極的に連携することにより、住民へ充実した医療・健康情報サービスを提供している図書館等から、5件の事例発表がありました。
久喜図書館の事例発表
「連携を通して見えてきた、公共図書館にしかできない健康・医療情報提供 ~ 埼玉県立久喜図書館 がん連携を中心に ~ 」
のタイトルで、昨年度まで健康・医療情報サービスの担当をしたS司書が、2年間の歩みをまとめてお話しました。
久喜図書館では、「困っている人にとって本当に必要な情報を提供する」ことを目的に、
図書やインターネット情報だけでなく、相談窓口や支援事業などできるだけ多くの情報を集め、それらをわかりやすく整理・編集して提供する
そのために行政の担当課、医療機関、支援機関、NP0、患者会、親の会、などたくさんの団体と連携する
ひとりでも多くの県民に情報が届くよう、図書館サービスの効果的な広報、見える化に努める
... といった取り組みをしてきました。
がん連携事業からスタートし、この2年間で7件のイベントを開催、合計40団体に協力していただき、皆様の心に寄り添うサービスを心掛けてきました。
連携先からは多くのことを学び、公共図書館だからこそできる健康・医療情報提供 が社会的にも評価をいただけることが見えてきたこと、
さらに、健康・医療情報の調べ方へのニーズに応えるため 「健康・医療情報リサーチガイド@埼玉」(小冊子) を発行し配布していることなどをお話しました。
他県の先進的な事例発表
滋賀県の 「公共図書館がん情報提供事業」
滋賀県では、滋賀県がん対策推進基金より補助を受け、滋賀県公共図書館協議会が行う 「公共図書館がん情報提供事業」 がスタートしています。
この事業について、がん対策を所管する行政側と、公共図書館側の2者の発表がありました。
滋賀県健康医療福祉部健康医療課の医師からは、正確な情報発信ができ、県民が気軽に相談できる場所として公共図書館に期待していることや、
がん対策政策の最新動向について解説していただきました。
がんサバイバーが増加し、がんと生活や仕事を両立することが課題となり、
「いのちとからだ」 から 「こころとくらし」へ 政策も大きくシフトしていくそうです。
また、滋賀県公共図書館協議会がん情報提供委員会を代表して、東近江市立八日市図書館司書の方がこの事業について説明されました。
県内公共図書館 と がん相談支援センターとの2回の交流会をきっかけに 事業実施されるに至ったこと、
そして フォーラム開催、研修事業、がん情報誌の発行 など具体的な事業案についてもお話がありました。
和歌山県立図書館 の 「がん」情報提供と連携
「がんコーナー」の開設に始まり、積極的な広報や県民からの声が後押しとなり、県庁担当課や医療機関との連携、館内で「がん患者サロン」を開設、利用者との連携など一歩ずつ着実にがん情報提供を充実させていったとのこと。
担当司書の方の温かく誠実な対応と地道な努力が実を結んだことが伺える実践報告でした。
「県内に網の目のような連携体制を」 鳥取県立図書館
ビジネス支援でも有名な同館ですが、健康・医療情報サービスにおいても多くの専門機関等と連携し、講座開催、出前図書館の実施、研修講師の相互派遣など多様な事業を実施しています。
最近では病院図書室のバックアップのために、病院図書室、市町村・県立図書館の連絡会議を開催。
抜群の行動力とフットワークの軽さで、県内図書館を支え全県にサービスを広げていっています。
発表後は、田村俊作氏(慶應義塾大学名誉教授)によるまとめと、報告者とのディスカッション、質疑応答がありました。
会場は80席が満席になるほどの盛況ぶり。
公共・病院・患者図書館など図書館員のみならず、自治体職員、医療関係者、議員、一般市民とさまざまな立場の方が参加され、図書館の健康・医療情報提供へ高い関心が集まっているようです。
発表の詳細はこちらから
日本図書館協会健康情報委員会のページ (当日パワーポイント資料あり)
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