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資料紹介

2026年10月24日

こんな本あります!ー久喜図書館の書棚からー

こんにちは。久喜図書館です。
このコーナーでは、所蔵する図書を図書館職員がご紹介します。

さて、今月は...

■No.1■

『童謡名曲事典』(長田暁二/著 全音楽譜出版社 2020)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:767.7/トウ>

童謡名曲事典.jpg

「ちいさい秋みつけた」「七つの子」など長く歌い継がれている唄から「鉄腕アトム」などのアニメ主題歌、「黒ネコのタンゴ」「だんご三兄弟」など大人にも受けて大ヒットしたものまで162曲の楽譜、歌詞と解説が掲載されている。

著者は音楽文化研究家。レコード会社のディレクターとして長年勤務した経歴を持つ。自身の経験と作詞者・作曲者等に尋ねた創作の動機・裏話等に基づく音楽評論を展開している。

「ちいさい秋みつけた」の誕生からレコード化に至るエピソードは、著者が初めて聴いた瞬間、「これはすごくいい唄だ」と背筋に電流が走ったという。しかし、作詞者サトウハチローは当時ライバル会社の専属だったところから、すぐにレコード化できなかった。他社にいつレコード化されるかと「ビクビクして」いたところ、7年後にチャンスが訪れる。

また、「七つの子」の作詞者野口雨情が、この唄に関して自著の中で述べている言葉が胸に響く。「童謡の境地は、いかなる場合にも愛の世界であり、人情の世界でなくてはならないのであります。」

創作者の唄に込めた想いに触れられ、童謡をしみじみと味わうことのできる一冊。

(関 信子)

■No.2■

『劇場建築とイス 客席から見た小宇宙1911-2018』(コトブキシーティング・アーカイブ/企画・監修 ブックエンド 2019)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:526.77/ケキ>


劇場建築とイス.jpg

本書は、客席椅子の製作を通じて劇場建築に関わってきた企業が、これまでの記録写真と資料を100周年事業の一環としてまとめたものである。日本全国各地約60の劇場について紹介しており、こうして一挙に見ると、それぞれの劇場が意匠をこらして造られていることがよく分かる。

写真を眺めるだけでも楽しいが、本書の前半にある各専門家たちによる小文もまた、劇場に関する様々な知識を広げることができて面白い。デザインがどう特殊なのか、何に拘って製作されたのか、それによってどんな効果があるのか。時代とともに求められるものが変わり、それに合わせてさらに創意工夫を凝らす姿には感服した。

本書が刊行されてから改装された劇場もある。ぜひ足を運んで、今の劇場を堪能していただきたい。

(M・S)

■No.3■

『教科書と近代文学 「羅生門」「山月記」「舞姫」「こころ」の世界』(日本近代文学館/編 秀明大学出版会 2021)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:910.26/キヨ>

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本書は日本近代文学館で開催された「教科書のなかの文学/教室のそとの文学」展を書籍化したものである。今も高校の国語の教科書に載る4つの定番教材『羅生門』『山月記』『舞姫』『こころ』について、作者の来歴や作品執筆の背景、世間の評価など、様々な視点から作品を読み解く。

例えば、幼少期を久喜市で過ごした作家、中島敦の『山月記』の章では、典拠の「人虎伝」と比較し、書いたもの、書かなかったものから中島の意図を探ったり、「李徴はなぜ虎になったのか?」などの授業でよく取り上げられる観点を整理して、作品がどのように読まれてきたかを解説したりしている。

国語の授業を思い出して懐かしい気持ちをおぼえつつ、授業よりも一歩踏み込んで作品を読むことができる。作品の新しい一面を知ったうえで、もう一度元の作品を読むと、また違った発見があるだろう。

(M・A)

それでは、次回もお楽しみに。

2026年9月25日

こんな本あります!ー久喜図書館の書棚からー

こんにちは。久喜図書館です。
このコーナーでは、所蔵する図書を図書館職員がご紹介します。

さて、今月は...

■No.1■

『民藝の歴史』(志賀直邦/著 筑摩書房 2016)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:B750.21/ミン>

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「民藝」とは「民衆の手で民衆のために作られる実用品」を意味し、この言葉と思想は1926年(大正15年)民藝運動の主唱者である柳宗悦らによって提唱された。

本書は雑誌『白樺』が関わる民藝運動のはじまりから現代までの歩みを、テーマ別かつ時系列で記述している。著者は志賀直哉の甥で、柳宗悦らとともに民藝運動に深く関わった人物。当事者だからこそ知り得る、民藝に関わった人々のエピソードが随所に織り込まれている。

表紙は染色家・柚木沙弥郎(ゆのき さみろう)によるもの。民藝のデザインに惹かれた人の入門書としても、体系的、横断的に学び直すための資料としても、おすすめしたい一冊である。

(K・U)

■No.2■

『図説ギターの歴史』(ぺーター・ペフゲン/著 現代ギター社 1997)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:763.55/スセ>


図説ギターの歴史.jpg

ギターは、クラシックやフォーク、ポップスやロックなど様々な音楽ジャンル、そしてレコーディングからライブまで多くの音楽シーンで活躍している楽器の一つ。本書は、そのギターの誕生から現代に至るまでの歩みを、豊富な図版とともに詳解した歴史書である。

古代の弦楽器からリュートやビウェラといった楽器を経て、今の姿へ進化を遂げたプロセスを解説。また、演奏の面では、王侯貴族の宮廷を彩った華やかな姿や、大道芸人による恋歌の伴奏楽器としての姿など、多彩な顔を持つ楽器として紹介。さらに、その進展を支えた名ギタリストたちの足跡についても、ギター史年表で網羅されており、視覚的にも理解しやすい構成となっている。

学術的な要素がありながらも読みやすく、ギターに親しまれている方はもちろん、興味のある方にも、お読みいただきたい一冊。

(T.S)

■No.3■

『地震学の歴史からみる地震防災』(上沼克伊/著 丸善出版 2024)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:453/シン>

地震学の歴史.jpg

近年、大きな地震が頻発している。この本は地震への備えとして、地震に遭遇しても犠牲者にならないようにすることを目的として書かれている。

私たちは、地震がいつ起こるかということに関心を持ってしまいがちだが、前半部分に書かれている過去の地震の状況や研究の歴史などを読み進めると、地震が起きる時期を予知することは現在でも困難であることがわかる。

そこで、自分の生活地域で過去にどのような地震が起こり、どのような被害があったのかを知っておき、地震に遭遇しても命を失わないようにする「抗震力」と被災後の避難所・食料・トイレ等の問題に対処するための「防災力」こそが大事であると著者は述べている。人間は、地震の発生を防ぐことはできないが、地震が起きても生き延びるための方策は、私たち一人一人の備えにあると、改めて考えさせてくれる。

(M・O)

それでは、次回もお楽しみに。

2026年7月31日

こんな本あります!ー久喜図書館の書棚からー

こんにちは。久喜図書館です。
このコーナーでは、所蔵する図書を図書館職員がご紹介します。

さて、今月は...

■No.1■

『貝の文化誌』(ファビオ・モレゾーン/著,伊藤はるみ/訳 原書房 2023)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:484/スセ>

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海の思い出に美しい貝殻を持ち帰った経験のある人は、きっと少なくないだろう。本書によると、人類最初の芸術作品は、約五十四万年前に作られたジグザグ線を刻んだイシガイの貝殻であるらしい。人類は先史時代から、その美味しさから食料として、あるいは美しさから貨幣や装身具として、貝の仲間を利用してきた。本書ではそんな人と貝の関わりの歴史を、カラー図版と共に概説する。また、生物の貝についても分かりやすく解説しており、人類より遥か昔から存在し続ける貝が、地球の新参者たる人類の活動によって大きな影響を受けていることも知ることができる。島国に住む日本人にとって身近な存在である貝に、改めて目を向けてみてはいかがだろうか。

(A・Y)

■No.2■

『歴史の中の植物 花と樹木のヨーロッパ史』(遠山 茂樹/著 八坂書房 2019)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:470.4/レキ>


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ヨーロッパに咲く花や樹木は植生が違う日本とは種類が異なる。洋画や欧州の小説で植物が出てくるとその形や意味などをなんとなく想像で補完しながら読み進めてしまうことがある。この本では、最初にヨーロッパ原産の植物にまつわる神話や逸話を紹介している。また、神話が描かれることの多い西洋絵画にも触れ、モチーフとして描きこまれる植物がどのような意味を持つのかを知ることができる。

中盤から後半では、ヨーロッパに持ち込まれた植物や持ち込んだプラントハンターたちが紹介されている。世界中を駆け巡ったプラントハンターたちの旅の様子と、持ち込まれた植物がヨーロッパ内の様々な場所で栽培され、愛された様子がわかる。本書を通じて、当時のヨーロッパの人々の新しいものに対する情熱を感じて欲しい。

(T.O)

プラントハンターとは食料・香料等に利用される有用植物や、観賞用植物の新種を求め世界中を探索する人のこと。

■No.3■

『完璧な赤 「欲望の色」をめぐる帝国と密偵と大航海の物語』(エイミー・B.グリーンフィールド/著,佐藤桂/訳 早川書房 2006)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:753.8/カン>

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なんとわくわくするタイトルだろう。彼らが求めた「完璧な赤」とは一体どのようなものなのか。

中世ヨーロッパでは、赤い布を纏うことは、富と権力の象徴であったという。当時の染色技術では、鮮やかな真紅を作り出すことは困難だったためである。そのような折、新大陸から衝撃とともに未知の「赤」がやってきた。

著者は赤色を求めて奔走する人々を、多くの資料に基づいて生き生きと描き出している。副題のとおり、本書には染色家以外にも多くの人間が登場する。皇帝、征服者(コンキスタドール)、海賊、化学者......これほどまでに多くの人々を駆り立てた赤は、まさしく「欲望の色」と呼ぶにふさわしい。ぜひ、本書でその正体を確かめていただきたい。

(R・M)

それでは、次回もお楽しみに。

2026年6月28日

こんな本あります!ー久喜図書館の書棚からー

こんにちは。久喜図書館です。
このコーナーでは、所蔵する図書を図書館職員がご紹介します。

さて、今月は...

■No.1■

『恐竜の教科書』(ダレン・ナイシュ/著 ポール・バレット/著 小林快次/監訳 久保田克博/監訳 千葉謙太郎/監訳 田中康平/監訳 吉田三知世/訳 創元社 2019)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:457.87/キヨ>

『恐竜の教科書』書影.jpg

「恐竜」と聞いて、みなさんが最初に思い浮かべる名前は何だろうか。 ティラノサウルス、ステゴサウルス、ブラキオサウルスなど挙げればキリがないはずだ。

本書は全6章で構成されており、恐竜の歴史や解剖学、生態と行動などを豊富な写真やイラストを交えて解説している。中でも興味深いのは、「鳥は恐竜そのものだということは、研究上重要な知見である」という記述である。鳥類に近縁な主竜類の化石が多数発見され、それらの化石には鳥類の祖先が持つと考えられていたあらゆる特徴がみられたという。このような鳥と恐竜の関わりについては、「第5章 鳥類の起源」で詳しく述べられている。

恐竜研究は日々進歩し、新たな発見が続いている。私たち人類が存在しなかった時代のことが、残された化石を研究することで明らかになってきている。本書を読んでこれまでの恐竜研究の歴史をたどり、恐竜たちの時代に思いを馳せてほしい。

(小柳 直士)

■No.2■

『最新の国際基準で見わける雲の図鑑』(岩槻秀明/著 日本文芸社 2021)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:451.61/サイ>


「雲の図鑑」書影.jpg

毎日、天気は刻々と変わり、時にはゲリラ豪雨や雷雨等、天気予報をチェックしていても急な悪天候に見舞われることがある。そこで、さまざまな雲を見て、天気を予測できたらどうだろうか。著者は「屋外活動をしていてすぐに気象情報をチェックできないようなときは、雲の表情の変化から危険をいち早く察知でき、身を守ることにつなげられる。」と述べている。

本書は様々な種類の雲の名前や写真をはじめ、解説から発生メカニズムについても知ることができる。 また、天気を予測する情報も掲載されている。空を見たときに、ぜひ手にしてほしい1冊。

(T.T)

■No.3■

『明治の地方ビール』(牛米努/著 吉川弘文館 2023)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:588.54/メイ>

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今でこそ地域の特産を活かした小さな醸造所が作るクラフトビールがブームであるが、明治時代にも各地で小規模な醸造所でビールが作られていた。それは勧業政策と税制優遇措置に理由がある。全国府県の勧業課により、製造方法が全国各地に広まって、「地方のビール」として発展していった。後の税制改革により、地方の小規模醸造所は廃業を余儀なくされ、結局大手会社に集約されていったのであるが、本書ではその原因を増税だけではなく、輸出奨励のための原材料の変更にも見出している。

また、全国の地方ビールが都道府県ごとに紹介されていて、膨大な一次資料(歴史的な史料)から情報が丁寧に拾い集められている。埼玉県では、赤沼村(春日部市)の「マルコビール」と八子新田(吉川市)の「中村ビール」が紹介されているが、これ以外にも売り出しが報じられているだけのビールもあるようだ。史料がなく詳細はわからないが、まだまだ何か新しい史料がないか、図書館員として探してみたくなる。

(Y)

それでは、次回もお楽しみに。

2026年6月10日

こんな本あります!ー久喜図書館の書棚からー

こんにちは。久喜図書館です。
このコーナーでは、所蔵する図書を図書館職員がご紹介します。

さて、今月は...

■No.1■

『少年時代』(ラビンドラナート・タゴール/著 めこん 2022)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:929.851/タコ501>

「少年時代」書影.jpg

タゴールはアジア人で初めてノーベル文学賞を受賞した、インドとバングラデシュを代表する詩人である。この本は、彼が子供時代を振り返った追想記となっている。

約百年以上前のインド、その暮らしは何もかもが遠くに感じられるが、丁寧な注釈が頼りになる。特に料理名などの固有名詞の訳註から想像する味は、80歳になってから思い出す子供時代ということを差し引いても美味しそうに綴られている。ベンガル語からの完訳をしてもなお詩的な文章や、序文の後に掲げられている「序詩:少年」からタゴール作品の雰囲気もつかみ取れるだろう。

後半に付されている解説は、主にタゴール家の歴史についてまとめられており、先にこちらを読んでタゴールが育った環境を念頭に置いておくのもいいだろう。というのも、私が最初から読んでみたところカタカナばかりの慣れない人名に首を傾げ、早々に解説を読み出したからだ。特に、兄弟がたくさんいるタゴールは、この追想記も家族の話が大半を占めているので予習にもなる。読書は何も一ページ目から一文字一文字丁寧に読むばかりではない、ということを思い出させてくれる一冊でもある。

(M.O)

■No.2■

『虫と日本人 幕末~昭和戦前期の昆虫文化史』(保科英人/著 三弥井書店 2025)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:486.04/ムシ>


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昔の日本人が虫とどのように付き合っていたかを解き明かす一冊である。町で売られる虫の価格は地方によってどうだったのか、戦前の蛍狩りはどのような様子であったのかなどを数多くの資料、特に地方新聞の記事から記述している。

戦前までの蛍狩りは蛍を捕まえて持って帰る文字通りの「蛍狩り」であったという。大衆にとっての一大娯楽でもあったため、蛍狩りがイベントとして実施された。事前に集められた何千何万もの蛍が会場に放たれ、それを捕えようと駆け回る参加者。あまりの熱狂ぶりに怪我人が出る、施設が破壊される、早々に蛍が捕り尽くされてしまい、後から来た客から蛍がいないとクレームが入るなど、現代における蛍狩りの優美なイメージとはかけ離れた騒動の数々が記されている。

このような昔の日本人と虫とのエピソードについては、筆者が戦前の地方新聞から見つけているのだが、このために全国の図書館や研究機関を訪問して、地方新聞を読み続けたそうだ。

ほかにも、いにしえのやんごとなき方々は、虫とどのように触れ合ったのか、戦前の満州や朝鮮に住む日本人に海を越えて届けられた虫たち、カブトムシとクワガタムシはいつから子供たちの憧れだったのか、など昔の日本人の虫に対する思いが伝わるエピソードが満載である。

(K.M)

■No.3■

『ハンチバック』(市川沙央/著 文芸春秋 2023)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:913.6/イチ038>

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「本を読むたび背骨は曲がり肺を潰し喉に孔を穿ち歩いては頭をぶつけ、私の身体は生きるために壊れてきた。」

読書は何時でも我々の障壁となり、その自由を、生命を破壊する。健常性を有している者たちはその特権に気が付かず、バリアを大量に生産し続ける。特権に気が付いた誰かが配慮とか多様性などと言い、私たちを自分たちとは違う特別な人にする。

読書を愛しているからこそ、その媒体を憎む主人公、釈華の声から、どうか目を逸さず読了いただきたい。

(S.O)

それでは、次回もお楽しみに。