図書館ブログ
2025年8月28日
就農に役立つ情報が目白押し!「高校版 農業電子図書館 情報の探しかた講座」を開催しました。
こんにちは! 埼玉県立熊谷図書館 人文・社会科学資料担当です。
7月15日(火)に埼玉県立熊谷農業高等学校にて、「高校版 農業電子図書館 情報の探しかた講座」を開催しました。
◯ 情報の探しかた講座とは? ◯
情報があふれていて、探したい情報がすぐに見つからないことはありませんか。埼玉県立図書館では、所蔵資料の探しかたや、データベースを使った情報の集めかたを紹介する「情報の探しかた講座」を毎年開催しています。
今回は、埼玉県立熊谷農業高等学校にて講座を行いました。前半に農山漁村文化協会の農業データベース「ルーラル電子図書館」、その高校版である「高校版 農業電子図書館」の使い方、後半では県立図書館でできる農業情報の調べ方について紹介しました。
講座の様子(オンライン配信で行いました)
(1)農山漁村文化協会による「高校版 農業電子図書館」の紹介
日本最大の農業データベースとされ、農業雑誌のバックナンバーや農業辞典を読んだり、害虫や雑草の情報を検索したりすることができるデータベース「ルーラル電子図書館」。
今回の講座では、この「ルーラル電子図書館」の高校生向けオンラインデータベースである「高校版 農業電子図書館」について、農山漁村文化協会の講師が活用方法をご紹介しました。
農業用語を検索し画像とともに閲覧できる機能、栽培や加工などの農業関連分野の基礎を学べる機能、作物の病気や害虫などについて写真や動画で調べられる機能などがあります。「農業鑑定競技」(高校生による農業知識を競う大会)のための勉強にも役立ちます。
例えば近年懸念されている「クビアカツヤカミキリ」などをキーワード検索すると、「現代農業」で掲載された防虫に関する記事などが数多くヒットし、読むことができます。
また、動画も充実しています。「農機・農具の使い方」の項では、荷物や作物を固定する「南京縛り」の実際を視聴することができます。正しい方法だけでなく、間違った縛り方も紹介しているので、とても分かりやすいです。ちなみにこれらは、「ルーラル電子図書館」でも調べられます。
【講座の配布資料】高校版農業電子図書館について (PDF:1.8 MB)
(2)県立図書館でできる農業情報の調べ方の紹介
県立図書館では、県立図書館ウェブサイトで公開している調べ方案内や、県立図書館で使えるデータベース、そしてビジネス支援サービスについて紹介しました。
・調べ方案内
県立図書館ウェブサイトでは、以下のような案内を公開しています。
「パスファインダー(調べ方案内)の一覧はこちら」をクリックすると、
埼玉県の「うどんについて」「食について」「銘菓について」など、 分野ごとに様々な資料・調べ方について説明しています。
何か調べたいことがあるときは、これらのページを見てみてください。 知りたいことと全く同じ内容でなくても、似ているものがきっとあります。「こういう資料がある」「こういう調べ方がある」という参考にしてみてください。
・データベース
県立熊谷図書館でも「ルーラル電子図書館」を使うことができますが、その他にも様々な分野のデータベースを使うことができます。例えば新聞記事を調べるなら「朝日新聞クロスサーチ」、経済・経営情報を探すなら「市場情報評価ナビMieNa」など、およそ20種類ものデータベースがあります。
・ビジネス支援室
熊谷図書館内には「ビジネス支援室」があります。
ご紹介したデータベースを使えるPCのほか、働くことに関する図書・雑誌やチラシもたくさんあります。就職活動やその準備をしたい人、現在働いている人、これから会社を立ち上げたい人に役立つ資料を揃えています。
以上が、今回の講座でご紹介したことです。準備にご協力くださった教職員の皆様、ありがとうございました。
熊谷図書館は、調査・相談をいつでもお待ちしています。調べたいことがあればお手伝いしますので、お気軽に熊谷図書館へお越しください。
2025年8月26日
県立がんセンター50周年イベントに参加しました!
こんにちは。自然科学・技術資料担当です。
7月19日(土)県立がんセンター50周年イベントの「オープンホスピタル2025夏~地域とともに、笑顔あふれる未来へ~」に参加し、当館の健康・医療情報サービスを紹介しました。
会場内には救命講習会や健康チェック等のコーナーがあり、当館はがんセンターの入口付近のコーナーで、来場者をお迎えしました。
こちらは、県立図書館について、健康・医療情報コーナーについてそれぞれまとめたパネルです。
ブースでは、『健康・医療情報サービスのご案内』、『がん情報リサーチガイド』『健康・医療情報リサーチガイド@埼玉 改訂3版』等の調べ方案内の配布のほか、がん情報を中心とした所蔵資料の展示を行い、イベントに参加された方に健康・医療情報をお伝えしました。
AYA世代のがんに関する調べ方をまとめた資料(ナンバー64:AYA世代のがんについて知る)は、じっくり眺める方もいらっしゃいました。
なかには、『健康・医療情報リサーチガイド@埼玉 改訂3版』のPDF版を見たとお話しされる方もいて、当館のサービスが県民の方に届いていることが実感でき、嬉しく思いました。
呼び込みも兼ねて、丸シールを貼ってもらうアンケート調査を行いました。
健康・医療情報を医療機関以外でどのようにして集めていますかという調査では、インターネットを利用して情報を集めている方が圧倒的に多い結果となりました。
また、当館で作成した、がんの治療薬のニセ広告を使った調査では、広告の怪しいと感じる部分に丸シールを貼ってもらいました。「どんなガンにも効く」「ほぼ全ての人が」というような万能感のある言葉に反応する方が多い結果となりました。
皆様が信頼できる情報を探し出し、選択できるよう、今回の調査結果を今後の講座や配布資料の作成の際に役立てていきたいと思います。これからも良質な健康・医療情報サービスを皆様に届けるため、頑張ってまいります!
埼玉県立図書館 健康・医療情報サービス
2025年8月10日
~久喜図書館雑誌書架ツアー~
皆さんこんにちは。久喜図書館 新聞・雑誌担当です。
突然ですが、久喜図書館の雑誌コーナーをご覧になったことはありますか?
実は雑誌コーナー以外にも、たくさんの雑誌があることをご存じでしょうか。
今回は、当館の所蔵雑誌とその利用方法をご紹介します。
どのくらい雑誌があるの?
久喜図書館では、雑誌を「購入・寄贈・移管」の3つの方法で収集しています。
その数は、購入・寄贈雑誌だけで686タイトルあります。(令和7年3月末時点)
(「埼玉県立久喜図書館 継続購入雑誌一覧」 のページで、購入している雑誌のタイトルをご覧いただけます。)
書架はどんな感じ?
それでは、書架を見てみましょう。
2階公開図書室雑誌コーナー
まずは、久喜図書館2階公開図書室にある雑誌コーナーをご紹介します。
購入・寄贈された雑誌332タイトルが、「自然科学」「技術・工業」「芸術」「言語」「文学」「健康・医療」といった分野ごとに並んでいます。
各業界の専門誌からスポーツ誌、ファッション誌まで、幅広く収集しています。
書庫
では、雑誌コーナーにない購入・寄贈雑誌やバックナンバー、移管雑誌は、どこにあるかというと、、、図書館のバックヤードにあります。
今回は特別に、普段は職員しか入ることができない書庫の様子をご紹介します。
企業や大学・団体等から寄贈いただいた紀要や学会誌、館報等を所蔵しています。
埼玉県内の市町村立図書館が所蔵後、保存期限を迎えて県立図書館へ移管された雑誌も数多くあります。
創刊号から所蔵している雑誌も複数あります。
(皆さんが発売当時ご覧になったことがある、懐かしい雑誌があるかもしれません。)
所蔵雑誌の利用方法
次に、所蔵雑誌の利用方法をご紹介します。
雑誌を読んでみる
読みたい雑誌は、図書館の蔵書検索画面で検索することができます。
(検索方法は、「資料を検索したい(雑誌)」 をご覧ください。)
該当の雑誌が書庫にある場合や、希望する雑誌が見つからない場合は、お気軽にカウンターにお声掛けください。
職員がお探しします。
発行から約2年分のバックナンバーについては、お借りいただくことができます。
それより前に刊行された雑誌や最新号は、館内で閲覧いただけます。(例えば、2025年は2023年以降に刊行された雑誌が貸出可です。)
記事をコピーしてみる
貸出しできない雑誌のバックナンバーに、お家でゆっくり読みたい記事があった、、、
そんな時は、案内・相談カウンターにお声掛けください。「複写(コピー)サービス」 をご案内いたします。
ご来館が難しい県民の方には、以下のサービスもございます。
(複写・複製できる資料やその範囲にはルールがあります。詳しくは各ご案内ページをご覧ください。)
雑誌を予約してみる
雑誌の最新号や、借りたかった雑誌が貸出し中の場合は、予約サービスをご利用ください。
カウンターのほかに、図書館ウェブサイトやお電話からもご予約いただけます。
(図書館ウェブサイトからのご予約方法は、「検索から予約まで(全体の流れ)」のページをご覧ください。なお、発行から2年が経過して館内利用となった雑誌は予約できません。県立熊谷図書館に取り寄せてご利用になる場合は、お電話でご予約ください。)
今回は、所蔵雑誌とその利用方法をご紹介しました。
県民の財産として永く保存しております当館の所蔵雑誌を、ぜひご活用ください。
2025年8月2日
こんな本あります!ー久喜図書館の書棚からー
こんにちは。久喜図書館です。
このコーナーでは、所蔵する図書を図書館職員がご紹介します。
さて、今月は...
■No.1■
『体と家庭を守る家事法50 環境問題先進国ドイツに学ぶ』 (カトリーヌ・ベーレント[ほか]/著 今泉みね子/訳 主婦の友社 1992)
<所蔵館:久喜図書館 請求記号:590/B32>
この本は身の回りで解決できる環境問題をトピックとして扱っている。解決策はどれも生活にメリハリを付ける程度で出来ることで、ちょっと工夫してみようと思えるものが多い。見開きのコンパクトな解説を通じて、著者らは「無理のない方法で有害な事を避けて暮らそう」と穏やかに問いかけてくる。もちろん、この本は1991年に原著が出版されたので、現在でも科学的に内容が正しいかは別。古い科学情報は鵜呑みにしてはいけないが、一方でその当時のドイツや日本の状況、環境問題に対する考え方を「歴史」として知る面白味がある。最新の情報と比較して何が変わったかを見比べるのも面白いかも。(紹介者:橋の下のトロル)
■No.2■
『夏が来なかった時代』(桜井邦朋/著 吉川弘文館 2003)
<所蔵館:久喜図書館 請求記号:451.85/ナツ>
連日猛暑が続くと、誰もが一度はこう思うのではないだろうか。そう、夏なんて来なければいいのに...と。ただ、歴史を振り返ると、本当に夏がなかった時代があったという。
本書は、物理学者である著者が、冷夏が繰り返し襲った18~19世紀のヨーロッパを舞台に、気候の寒冷化は歴史に何をもたらしたのか、火山の噴火や太陽活動の変化といった科学史上の出来事と、博物誌や文学作品、絵画に書かれた当時の記録とを合わせて考察している。
夏が涼しいということはどういうことだろうか。気温が低く雨がちの気候であれば、作物の生育に大いに影響する。食糧不足やそれに伴う価格高騰は、社会情勢を不安定化させるということは想像に難くない。
現在、私たちは空調をつけるなど科学の力で気候の変化に対応し、快適に生活できるようになった。しかし、気候を無視して生きていくことはできないことを歴史は教えてくれている。(紹介者:C・K)
■No.3■
『極北の動物誌』(ウィリアム・プルーイット/著 岩本正恵/訳 新潮社 2002 ※版元品切れ)
<所蔵館:久喜図書館 請求記号:482.5394/キヨ>
本書は、動物学者であるウィリアム・プルーイットが極北アラスカの大自然と生命の営みを綴った1冊。1967年にアメリカで出版された。
ただの学術書ではない。ページを開けばそこにはアラスカの美しく広大な大地が広がる。ハタネズミやアカリス、ノウサギなどの小さな動物から、カリブー、ムース、オオカミなどの大きな動物まで。極北の澄んだ空気を感じさせるような静謐な文章で、多種多様な生物たちが関わり合い、バランスを保ちながら厳しい自然の中で懸命に生きる様子が描かれる。まるで動物たちの息遣いが聞こえてくるようだ。自然写真家星野道夫の愛読書としても知られる本書。星野道夫の著作や写真集と併せて読むのもおすすめである。
極北では太陽エネルギーが極端に少ないため、限られた生物種しか生きられないそうだ。それゆえ、極北の生態系はわずかな乱れで容易に崩壊してしまう。本書は人間による自然破壊に警鐘をならす。環境問題についても深く考えさせられる1冊である。(紹介者:福士明日香)
それでは、次回もお楽しみに。
2025年7月16日
よくわかる!音声デイジーの作り方
皆さんこんにちは。久喜図書館バリアフリー読書推進担当です。
突然ですが、皆さんは「録音図書」というものをご存知ですか?
録音図書は、耳で聴く図書のことで、視覚に障害があるなど、一般の図書がそのまま読めない方でも利用しやすいのが特徴です。しかし、販売されているものはわずかで、ほとんどは公共図書館や点字図書館が製作し、提供しているのです。
埼玉県立図書館では、研修でスキルを身につけた音訳者、デイジー編集者が、読みづらさを抱えている全国の方々に利用してもらえるよう、日々製作に取り組んでいます。
そこで今回は、録音図書の内、もっとも一般的な音声デイジーの製作方法をご紹介します。
※音声デイジーを含む障害者サービス用資料の紹介はこちらをご覧ください。
(動画あり)障害者サービスのための資料とバリアフリーの施設設備 - 埼玉県立図書館
音声デイジーは大まかに、音訳→音訳校正→音訳訂正→デイジー編集→デイジー編集校正の流れで製作されています。
音訳、の前に
思い込みや曖昧なままの音訳は禁物です。利用者に間違った情報を提供することのないよう、まずはきちんと下読みし、人名や地名、その他漢字や外国語の読み方を調べます。
さらに、本文中の図や写真はもちろんのこと、表紙や裏表紙も言葉で説明するため、原稿を作成します。
音訳
これらを経て、やっとマイクの前に座り、録音を開始します。誤読だけではなく、文章中の間や声のトーンにも気をつけながら、聞きやすい音訳を心がけます。
録音時間は数時間から数十時間ですが、それ以上に時間と労力がかかるのが音訳なのです。
音訳校正と音訳訂正
1冊分の音訳が終了したら、別の音訳者が校正を行います。誤読やアクセント違い、校正者が聴いて分かりにくい箇所をチェックします。
校正が終わったら、音訳者は指摘のあった箇所を読み直し、訂正します。
デイジー編集と校正
これで音訳作業は終わり、続いて、デイジー編集という工程に入ります。
専用のソフトウェアで、音訳者が録音した音声に章や節などの見出しやページを付けていきます。この作業をすることで、ただの音声データからデイジー図書になるのです。
ここでも編集が正しくできているかどうか、他のデイジー編集者が校正・修正し、ついに音声デイジーは完成です。
以上、簡単に音声デイジーの製作の流れを紹介しました。
読みやすい・分かりやすいバリアフリーな図書を、少しでも身近に感じていただけると嬉しいです。