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2025年8月

2025年8月2日

こんな本あります!ー久喜図書館の書棚からー

こんにちは。久喜図書館です。
このコーナーでは、所蔵する図書を図書館職員がご紹介します。

展示の様子

さて、今月は...

■No.1■

体と家庭を守る家事法50 環境問題先進国ドイツに学ぶ (カトリーヌ・ベーレント[ほか]/著 今泉みね子/訳 主婦の友社 1992)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:590/B32>

書影「体と家庭を守る家事法50」

この本は身の回りで解決できる環境問題をトピックとして扱っている。解決策はどれも生活にメリハリを付ける程度で出来ることで、ちょっと工夫してみようと思えるものが多い。見開きのコンパクトな解説を通じて、著者らは「無理のない方法で有害な事を避けて暮らそう」と穏やかに問いかけてくる。もちろん、この本は1991年に原著が出版されたので、現在でも科学的に内容が正しいかは別。古い科学情報は鵜呑みにしてはいけないが、一方でその当時のドイツや日本の状況、環境問題に対する考え方を「歴史」として知る面白味がある。最新の情報と比較して何が変わったかを見比べるのも面白いかも。(紹介者:橋の下のトロル)

■No.2■

『夏が来なかった時代(桜井邦朋/著 吉川弘文館 2003)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:451.85/ナツ>

書影「夏が来なかった時代」

連日猛暑が続くと、誰もが一度はこう思うのではないだろうか。そう、夏なんて来なければいいのに...と。ただ、歴史を振り返ると、本当に夏がなかった時代があったという。

本書は、物理学者である著者が、冷夏が繰り返し襲った1819世紀のヨーロッパを舞台に、気候の寒冷化は歴史に何をもたらしたのか、火山の噴火や太陽活動の変化といった科学史上の出来事と、博物誌や文学作品、絵画に書かれた当時の記録とを合わせて考察している。

夏が涼しいということはどういうことだろうか。気温が低く雨がちの気候であれば、作物の生育に大いに影響する。食糧不足やそれに伴う価格高騰は、社会情勢を不安定化させるということは想像に難くない。

現在、私たちは空調をつけるなど科学の力で気候の変化に対応し、快適に生活できるようになった。しかし、気候を無視して生きていくことはできないことを歴史は教えてくれている。(紹介者:C・K)

■No.3■

極北の動物誌』(ウィリアム・プルーイット/著 岩本正恵/訳 新潮社 2002 ※版元品切れ)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:482.5394/キヨ>

書影「極北の動物誌」

本書は、動物学者であるウィリアム・プルーイットが極北アラスカの大自然と生命の営みを綴った1冊。1967年にアメリカで出版された。

ただの学術書ではない。ページを開けばそこにはアラスカの美しく広大な大地が広がる。ハタネズミやアカリス、ノウサギなどの小さな動物から、カリブー、ムース、オオカミなどの大きな動物まで。極北の澄んだ空気を感じさせるような静謐な文章で、多種多様な生物たちが関わり合い、バランスを保ちながら厳しい自然の中で懸命に生きる様子が描かれる。まるで動物たちの息遣いが聞こえてくるようだ。自然写真家星野道夫の愛読書としても知られる本書。星野道夫の著作や写真集と併せて読むのもおすすめである。

極北では太陽エネルギーが極端に少ないため、限られた生物種しか生きられないそうだ。それゆえ、極北の生態系はわずかな乱れで容易に崩壊してしまう。本書は人間による自然破壊に警鐘をならす。環境問題についても深く考えさせられる1冊である。(紹介者:福士明日香)

それでは、次回もお楽しみに。