2025年1月
2025年1月30日
「図書館と県民のつどい埼玉2024」を開催しました!
こんにちは。埼玉県図書館協会事務局です。
埼玉県図書館協会は、県内の公共図書館の振興を図るとともに、県内の公共図書館、学校図書館、大学図書館、その他図書館及び読書施設並びにこの会に賛同するものの連携のもとに、図書館事業の伸展を図り、教育文化の向上に寄与することを目的とする組織で、事務局は県立熊谷図書館の中にあります。
11月14日(木)、12月8日(日)に、「図書館と県民のつどい埼玉2024」を開催しました。今年は企画のひとつである「中学生のビブリオバトル」が県庁オープンデーに出張!またこども読書活動交流集会では複数の出版社をお招きして新しい企画を行うなど、例年とは一味違ったイベントとなりました。
どんなイベントとなったのか、開催の様子をお届けします!
作家 万城目学さん記念講演「読書ときどき執筆の日々」
『八月の御所グラウンド』(2023 文藝春秋)で直木賞を受賞された、作家の万城目学さんをお招きしてご講演いただきました。執筆の裏話や直木賞受賞の瞬間などユーモアたっぷりにお話しいただき、会場では度々笑いが起こっていました。終了後実施した来場者アンケートでは、「万城目さんの人柄が伝わった」「面白かった」という声が多数寄せられました。
中学生のビブリオバトル
ビブリオバトルとは、おすすめの本を持ち寄って5分間で本を紹介し、一番読みたくなった本「チャンプ本」を参加者の投票で決定するという、スポーツのような書評ゲームです。
今年は「埼玉県民の日」である11月14日に開催し、県庁オープンデーに出展しました。5グループに分かれて予選を行い、各グループで「チャンプ本」を紹介した5名が埼玉県庁で決勝に臨みました。様々なジャンルの本が決勝に進んだ中、草加市立両新田中学校の内田千寛さんが紹介した、『おかあさんはね』(エイミー・クラウス・ローゼンタール/ぶん トム・リヒテンヘルド/え 高橋久美子/やく マイクロマガジン社刊)が最多票を集めて「チャンプ本」に選ばれました。
こども読書活動交流集会「出版社が紹介!おすすめの児童書2024」
岩崎書店、岩波書店、Gakken、小峰書店、さ・え・ら書房、少年写真新聞社、童心社、フレーベル館、ポプラ社の9社の皆様に、2024年出版の児童書の中から自社イチオシ本の紹介をしていただきました。こだわりのポイントや出版に至るまでの過程、作者の方のエピソードなど、イチオシの理由もジャンルも様々。子ども読書に携わる方だけではなく、読者である子どもたちも参加していました。
図書館展示
公共図書館、高校図書館、大学図書館などの図書館が、それぞれの活動やコレクションを紹介する展示を行いました。ポップアップカードの作成、資料補修体験、ボードゲーム体験など、体験ブースは特に人気で、多くの人が参加していました。
また、展示方法などに刺激を受け、自分の職場で生かしたいと思った人もいた様子。図書館関係者も、図書館に関係のなかった人も、それぞれに楽しむことのできる展示でした。
新企画やお馴染みの企画の出張など、また新たな顔を見せる開催となった「図書館と県民のつどい2024」でしたが、多くの参加者にご来場いただき無事に終了することができました。
ご参加いただいた皆様、ご協力いただいた皆様、ありがとうございました!
2025年1月28日
こんな本あります!―久喜図書館の書棚から―
こんにちは。久喜図書館です。
このコーナーでは、所蔵する図書を図書館職員がご紹介します。
さて、今月は...
■No.1■
『スズメはなぜ人里が好きなのか』 (大田眞也著 弦書房 2010)
<所蔵館:久喜図書館 請求記号:488.99/スス >
近年、スズメを目にすることがめっきり少なくなった。この本は、子供の頃からスズメに関心を持ち続けてきた著者が、学校に勤務しながら実際に観察し続けたスズメの生態を写真とともにまとめたものである。スズメの目線を通して野生動物が生きていくことの厳しさが伝わってくる。内容は、スズメの民俗学的な考察にまで及び、著者のスズメ愛が強く感じられる。タイトルに対する答えは、読者それぞれがこの本を通して考えてみたい。
(紹介者:O・M)
■No.2■
『壊れても仏像 文化財修復のはなし』(飯泉太子宗著 白水社 2009)
<所蔵館:久喜図書館 請求記号:718.3/コワ >
仏像は面白い。素材の違い、現わされた仏のエピソード、持ち物や装飾、知れば知るほど仏像鑑賞の楽しみは倍増する。この本は仏像修復を生業とする著者が修復家ならではの視点で、仏像のあれこれや実際の修復についてわかりやすく語ってくれている。「造り方はガンプラと同じ」「ネズミと虫の仏像マンション」「乾燥しすぎはお肌の大敵」など、各文章に添えられたタイトル、自作のイラストも楽しい。類書のない必見の本である。
(紹介者:N・Y)
■No.3■
『石が書く』 (ロジェ・カイヨワ著 創元社 2022)
<所蔵館:久喜図書館 請求記号:755.3/イシ>
「嵐のなかの稲妻と叢雲」「氷結したサバト」「生まれつつある鳥」――これらは全て、著者が石の中に現れた風景を評した言葉だ。本書では、その断面に様々な画像を示す石を紹介している。ただし、単なる珍しい石の紹介には留まらない。著者は石に現れる「美」への感応から、普遍的な美の存在に論を展開する――と、このように書くと難解な本と思われるかもしれない。まずは、美麗な石の写真と詩的で豊かな文章を楽しめる本として、気軽に手に取ってみていただきたい。
(紹介者:A・Y)
それでは、次回もお楽しみに。