2020年1月
2020年1月30日
こんな本あります!―久喜図書館の書棚から―
このコーナーでは、毎月、図書館職員が所蔵する図書をご紹介します。
律令国家の成立以来、我が国の歴史は、干ばつや長雨が引き起こす凶作や飢饉、疫病とどのように対峙するかという、気候変動との格闘の歩みでもあった。本書は、古気候研究のデータと、歴史資料・古文書の記載とをリンクさせながら、先人たちが生きた社会と気候変動との関係を明らかにし、源平の争乱や戦国大名による抗争といった、日本史上の大事件の背後にあるものをくっきりと浮かび上がらせる。地球温暖化に起因する異常気象の脅威にさらされる現代の私たちにとって、日々の生活基盤をどう守るのかについて考えるきっかけとなる一冊である。(紹介者 館長・高橋)
本書を読むと古典文学は当時の人々の声を聞くことができるものであることに気づかされる。著者の日本文学に対する情熱は相当である。「色々な古典を読みなさい。さすれば自分が何を表現したいのかがわかりますよ。」と言ってくれているように感じた。文学作品をただ読むのではなく、作品がつくられた時代背景を知りたい人におすすめである。(紹介者 T.K)
1917年理化学研究所は、欧米の模倣から自らの独創性を持ち、大規模な科学技術の研究所を造ろうという高い理念から設立された。以後100年にわたり、湯川秀樹、野依良治など多くの研究者たちが、最先端の科学技術を支えてきた。基礎科学を含めた研究の更なる必要性が叫ばれている中、本書は最先端研究の「いま」を浮き彫りにする。現場で働く研究者へのインタビューを交え、山根一眞が難しい科学を易しく伝えてくれる。(自然科学・技術資料担当 池谷)
『日本書蹟大鑑』は歴史上著名な人物の主要な現存遺墨を網羅する書跡基礎資料集である。第十一巻付録の月報に、昭和天皇の侍従長を長く務めた入江相政はこう記す。「とにかく書は、それを見ていれば、書いたのはどういう人か、どれぐらいの速さで、どんな気持で書いたかが、手にとるようにわかる」。同巻には織田信長から始まり、森蘭丸、明智光秀、千利休と戦乱を生きた人物たちの書状が収録される。2020年の大河ドラマを、書跡から眺めてみるのも面白いかもしれない。(情報・地域協力担当 森)
それでは、次回もお楽しみに。
2020年1月11日
「図書館と県民のつどい埼玉2019」を開催しました。
令和元年度の「図書館と県民のつどい埼玉」は、12月15日(日)に桶川市民ホール・さいたま文学館で開催しました。
今年の記念講演は、作家の須賀しのぶさんにお越しいただきました。
「本と埼玉と私」と題し、埼玉愛や御自身の本に関する経験、作品についてのお話しなど、貴重なお話しをたっぷり語ってくださいました。
講演後には、会場からたくさんの質問があがり、そのひとつひとつに丁寧にお答えくださいました。
中学生ビブリオバトルでは、予選会を勝ち抜いた6名によるバトルが繰り広げられました。
生徒のみなさんの堂々たる発表に、来場者の方々からも称賛する感想が多く聞かれました。
「ビブリオバトルを見ました!! 本当に同じ中学生!?と疑うほどすごい演説でした!!」
「ただただすごい。全て読みたいなと思いました。」
来場者による投票により見事チャンプ本を獲得したのは、熊谷市立熊谷東中学校の瀬山 雄太さんです。チャンプ本は『我が名は秀秋』(矢野 隆 著/講談社)でした。
この他、子供の読書振興をテーマとした、こども読書交流集会の2つの講座、こどもの本のひろば、大学・高校・公共図書館の展示も行われました。
展示会場では、各図書館の多彩な取り組みの紹介、本の修理体験やしおり作り体験などの参加型の展示など、趣向を凝らした内容で参加された皆さんに楽しんでいただきました。
また、会場をめぐるスタンプラリーも行い、スタンプを全て集めた方には協賛企業から提供いただいた景品とオリジナル缶バッジをお渡ししました。
おかげさまで盛況のうちに今年の「図書館と県民のつどい」を終えることができました。
ご来場いただいた方は延べ3,457名と、「図書館と県民のつどい」が始まって以来最多を記録しました。
ご参加いただいた皆様、また、御協力いただいた関係者の皆様、大変ありがとうございました。