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2025年7月

2025年7月16日

よくわかる!音声デイジーの作り方

皆さんこんにちは。久喜図書館バリアフリー読書推進担当です。

突然ですが、皆さんは「録音図書」というものをご存知ですか?

録音図書は、耳で聴く図書のことで、視覚に障害があるなど、一般の図書がそのまま読めない方でも利用しやすいのが特徴です。しかし、販売されているものはわずかで、ほとんどは公共図書館や点字図書館が製作し、提供しているのです。

埼玉県立図書館では、研修でスキルを身につけた音訳者、デイジー編集者が、読みづらさを抱えている全国の方々に利用してもらえるよう、日々製作に取り組んでいます。

そこで今回は、録音図書の内、もっとも一般的な音声デイジーの製作方法をご紹介します。

※音声デイジーを含む障害者サービス用資料の紹介はこちらをご覧ください。

(動画あり)障害者サービスのための資料とバリアフリーの施設設備 - 埼玉県立図書館

音声デイジーは大まかに、音訳→音訳校正→音訳訂正→デイジー編集→デイジー編集校正の流れで製作されています。

音訳、の前に

思い込みや曖昧なままの音訳は禁物です。利用者に間違った情報を提供することのないよう、まずはきちんと下読みし、人名や地名、その他漢字や外国語の読み方を調べます。

さらに、本文中の図や写真はもちろんのこと、表紙や裏表紙も言葉で説明するため、原稿を作成します。

tyosayoshi.jpg

音訳

これらを経て、やっとマイクの前に座り、録音を開始します。誤読だけではなく、文章中の間や声のトーンにも気をつけながら、聞きやすい音訳を心がけます。

録音時間は数時間から数十時間ですが、それ以上に時間と労力がかかるのが音訳なのです。

DSC_0623.JPG

音訳校正と音訳訂正

1冊分の音訳が終了したら、別の音訳者が校正を行います。誤読やアクセント違い、校正者が聴いて分かりにくい箇所をチェックします。

校正が終わったら、音訳者は指摘のあった箇所を読み直し、訂正します。

デイジー編集と校正

これで音訳作業は終わり、続いて、デイジー編集という工程に入ります。

専用のソフトウェアで、音訳者が録音した音声に章や節などの見出しやページを付けていきます。この作業をすることで、ただの音声データからデイジー図書になるのです。

MyStudioPC.png

ここでも編集が正しくできているかどうか、他のデイジー編集者が校正・修正し、ついに音声デイジーは完成です。

DAISY.jpg

以上、簡単に音声デイジーの製作の流れを紹介しました。

読みやすい・分かりやすいバリアフリーな図書を、少しでも身近に感じていただけると嬉しいです。

2025年7月15日

【久喜図書館】ミニ展示「久喜図書館の資料展」開催中!~展示とイベントで令和6年度の久喜図書館を振り返る~

こんにちは。久喜図書館の自然科学・技術資料担当です。
早速ですが、皆さまは図書館で「イベント」に参加したり、「展示」をご覧になったことはありますか?

図書館は本を読んだり、借りるだけの場所ではありません。
実は図書館では、本や情報と人(そして時には人と人)とを結びつけるため様々なイベントや展示を開催しており、気軽に参加・閲覧していただくことができます。

今回のブログでは、県立久喜図書館で開催中のミニ展示「久喜図書館の資料展」をご紹介するとともに、令和6年度に行ったイベントと展示を振り返ります。

ミニ展示「久喜図書館の資料展」

県立図書館では、テーマに合わせて所蔵資料を紹介する資料展を熊谷・久喜両館で定期的に開催しています。

久喜図書館で昨年度(令和6年度)開催した資料展は、全部で9つ。
様々な切り口で沢山の資料をご紹介し、ご好評をいただきました。

現在開催中のミニ展示「久喜図書館」の資料展では、昨年度開催した9つの資料展から展示資料を抜粋してご紹介しています。
※展示期間は7月17日(木)までです。

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それぞれの資料展の際には、展示された資料をまとめた資料リストも作成していますので、新たな本との出会いの一助にこちらもぜひご活用ください。

令和6年度に久喜図書館で実施した資料展の一覧および資料リスト
熊谷図書館・久喜図書館の過去の資料展の資料リスト(2015~)

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ミニ展示「久喜図書館の資料展」
開催期間:令和7年7月1日(火曜日)~令和7年7月17日(木曜日)(図書館休館日を除く)
開催場所:埼玉県立久喜図書館 2階公開図書室
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講演会など

続いて、令和6年度に久喜図書館で開催した講演会を振り返ります。
昨年度、久喜図書館では、「スパイス」「災害」「デザイン」等多様なテーマの講演会を開催しました。

講演会には、テーマを変えて毎年行っているものや、オンラインで参加できるものなどもございますので、気になるものがあれば、今年度の参加をぜひご検討ください。
イベントに関する最新情報は、こちらからご確認いただけます。

子どもや親子向けのイベント

久喜図書館では、子どもや親子向けのイベントなども開催しています。
ここでは令和6年度に開催したイベントをご紹介します。
子どもや親子向けのイベントは、「親子ふれあい講座」や「おはなし会」など毎月開催されているものもあります。
ぜひご参加ください。

  • 令和6年度「子ども読書の日記念 おおきなおはなし会」
    おはなしのじかんでは、絵本の読み聞かせや紙芝居などのおはなし会、おんがくのじかんでは音楽ユニット「たまごさんど」による楽器の演奏会をおこないました。
  • ちいさい子むき おはなし会
    0歳から4歳のお子さんと保護者の方が対象の、親子で参加して、絵本・わらべうた・てあそびを楽しむ会です。
    毎月第4土曜日午後2時から2時20分まで開催しています。
  • おはなし会
    ひとりでお話しがきけるお子さん対象の、むかしばなしや絵本、かみしばいを楽しむ会です。
    第1、2、3(5)土曜日の午後2時から午後2時30分まで開催しています。
  • 令和6年度「オカリナ・ミニ・コンサート」
    映画会の前に音楽ユニット「たまごさんど」によるオカリナの演奏会を開催しました。
  • 親子ふれあい講座
    家庭教育アドバイザーによる子育てアドバイスや、てあそび、わらべうたを楽しむ講座です。
    月に1回水曜日に開催しています。
  • げすいどう教室
    埼玉県下水道公社と連携し、映画「みんな知ってる?~下水道の世界~」の上映や、微生物の観察、水質実験などを行いました。
  • こども読書活動交流集会「出版社が紹介!おすすめの児童書 2024」
    岩崎書店、岩波書店、Gakken、小峰書店、さ・え・ら書房、少年写真新聞社、童心社、フレーベル館、ポプラ社の9社に、2024年出版の児童書の中から自社イチオシ本の紹介をしていただきました。

子どもや親子向けのイベントに関する最新情報は、こちらからご確認いただけます。

その他事業

  • 映画会
    埼玉県立図書館では、各図書館で定期的に映画会を開催しております。
    令和6年度も様々なテーマの映画を上映しました。
  • 新規音訳者養成講座
    視覚障害者等のための録音資料の製作と対面朗読を行う音訳者を養成する講座を8年ぶりに行いました。
    受講者は初級(全25回)・中級(全28回)の2年にわたる講座で、専門的な技術を身につけました。
  • 令和6年度「特別支援学校 学校図書館講座」
    埼玉県内公立特別支援学校・分校および小・中学校の特別支援学級の教諭、学校司書等を対象に現役の教諭お二人を講師としてお招きして、特別支援学校での実践についてお話しいただきました。
  • 深沢七郎生誕110年記念イベント 朗読『楢山節考』
    深沢七郎文学記念館と連携し、生誕110年を迎えた深沢七郎の小説『楢山節考』の一部を、朗読でお届けしました。

このように、久喜図書館では昨年度、様々な方を対象とした多様なイベントを開催いたしました。
令和7年度も皆様に楽しんでいただけるような、イベントや展示をたくさん開催する予定です。
ぜひ、ご参加ください。

2025年7月4日

こんな本あります!ー久喜図書館の書棚からー

こんにちは。久喜図書館です。
このコーナーでは、所蔵する図書を図書館職員がご紹介します。

書評展示棚

さて、今月は...

■No.1■

『わがまま老後のすすめ』 (和田秀樹/著 筑摩書房 1999)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:493.185/ワカ>

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著者は、その豊富な臨床経験から老いについての常識に一石を投じ、高齢者には一般の医学常識は通用しない、健康を気にして神経質になるより、積極的に心によいことを楽しむ方が脳の老化(特に感情)を防ぎ、健康長寿になるという。

そして、精神分析学者コフートによる「自己心理学」の理論「自己愛(自分を受け入れること)」に着目し、「わがままな自分」「贅沢な自分」「人に依存してしまう自分」を受け入れることを提案する。

ギブアンドテイクの相互依存関係を築くことは、老後の生きる知恵であり、また、欧米のように高齢者がもっとお金を使って老後の人生を楽しめば、経済がより発展し、将来、日本も老後に夢の持てる社会に変わるだろうとエールを送る。

25年前の著作であるが全く色あせる事なく、「人生100年時代」を迎えた今こそ多くの人に読んでほしい一書である。

(紹介者:H・T)

■No.2■

『祈りの彫刻 リーメンシュナイダーを歩く 続(福田 緑/著 丸善プラネット 2013)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:712.34/イノ >

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リーメンシュナイダーは中世後期ゴシックの彫刻家である。15世紀末から16世紀前半に南ドイツの古都ヴュルツブルグで活躍し、多くの祭壇彫刻を残した。

本書は、小学校教員を早期退職した著者が各国の教会や美術館の作品を訪ね歩き、まとめた写真集であり、計5冊のシリーズのうち2冊目に当たる。

頁を繰ってみる。聖人たちは少し硬い表情で、何かこらえているように見える。手や指の動きは優美でしなやかだ。眼差しは鑑賞者と交わることはないが、見ているうちに、鑑賞者が自ら語り出すのを待っているように感じられてくる。本来こうした彫刻は、現地を訪れ、その光や空気を感じながら見るべきなのだろう。が、彫刻家の優れた精神性は、本書の各頁から力強く伝わってくる。

ティルマン・リーメンシュナイダー、マイスター。参事や市長も務めたが、後の農民戦争の際に農民側に立って投獄され、出所の6年後に亡くなった。澄んだ目をした人だったと思う。

(紹介者:蓮見 博)

■No.3■

『影裏』(沼田真佑/著 文藝春秋 2017)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:913.6/ヌマ>

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出向先の岩手で過ごす今野。釣り好きな彼が心を許す職場の同僚、日浅との釣りが心を癒す何よりの時間だった。

その後日浅は退職し疎遠になった頃、東日本大震災に見舞われた。彼の安否が取れず、手がかりを求め実家を訪れた。

しかしそこで聞かされた話は、日浅の知らない一面を知る結果となった。

友情という甘い記憶と脆くも崩れてしまう悲しさを微妙に描き分けた作品。 第157回芥川賞受賞作

(紹介者:H・I)


それでは、次回もお楽しみに。

2025年7月3日

高等学校初任者研修 教科別研修(商業)が実施されました。

こんにちは。熊谷図書館 ビジネス・産業支援担当です。

ビジネス・産業支援担当では、「図書館でビジネス!」を世に知ってもらうべく、ビジネス情報を取り扱った事業を実施しています。

今回は、611日(水曜日)に行われた「高等学校初任者研修 教科別研修(商業)」をご紹介します。

この研修は、新しく商業科高校に赴任した先生向けに埼玉県立総合教育センターが主催する研修で、その中の一コマを図書館が受け持っています。

午前中は埼玉県立図書館が提供するサービスとその使い方の紹介、そして情報の探しかたに関する講義を行いました。

ビジネス科目を専門として扱う商業科の先生たちに、ビジネス情報が得られる図書や商用データベースなど専門科目で活用できる資料を知ってもらい、また、埼玉関係データベースなどの探究学習に便利な図書館提供データベースの使い方を学んでいただきました。

そして、普段から調査・相談(レファレンス)サービスを行う私たち司書は、情報探しのプロです。そんな私たちから、紙資料・インターネット情報それぞれの情報の探しかたのコツを先生たちに伝授しました。

講義の様子

その後、熊谷図書館の施設案内を行いました。先生方は、ビジネス関連の資料が取り揃っているビジネス支援室や外国語の教科書が並んでいる外国語資料コーナーなど、学校教育に利用できる資料が並んでいるコーナーを特に熱心にご覧になっていました。

施設見学の様子

午後は総合教育センター指導主事によるプレゼンに関する講義の後、図書館資料を活用したプレゼン資料作成とその発表の演習を行いました。

午前中に学んだ業界・会社調査の基本図書や商用データベースをしっかり活用し、皆さん短い時間の中でもしっかりとしたプレゼン資料を作成していました。発表は、どの先生も話が上手で、私たち司書も楽しく聴かせてもらいました。普段から授業を行っている先生方、流石のプレゼン力でした。

演習の様子

研修終了後、受講した先生たちから「図書館にはネットでは得られない豊富なビジネス情報があることがわかりました。」や「就職を希望している生徒にも、県立図書館のビジネス支援サービスを薦めたい。」という言葉をいただきました。

今度は先生たちから生徒たちへ、今回得た県立図書館の活用方法や情報の探しかたの知識を伝えていってほしいですね。

今回は先生向けの事業でしたが、県民の皆様が参加できるビジネスイベントも実施しています。

詳しくは、埼玉県立図書館ホームページの「ビジネス支援サービス」をご覧ください。