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2026年6月10日
こんな本あります!ー久喜図書館の書棚からー

こんにちは。久喜図書館です。
このコーナーでは、所蔵する図書を図書館職員がご紹介します。

さて、今月は...

■No.1■

『少年時代』(ラビンドラナート・タゴール/著 めこん 2022)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:929.851/タコ501>

「少年時代」書影.jpg

タゴールはアジア人で初めてノーベル文学賞を受賞した、インドとバングラデシュを代表する詩人である。この本は、彼が子供時代を振り返った追想記となっている。

約百年以上前のインド、その暮らしは何もかもが遠くに感じられるが、丁寧な注釈が頼りになる。特に料理名などの固有名詞の訳註から想像する味は、80歳になってから思い出す子供時代ということを差し引いても美味しそうに綴られている。ベンガル語からの完訳をしてもなお詩的な文章や、序文の後に掲げられている「序詩:少年」からタゴール作品の雰囲気もつかみ取れるだろう。

後半に付されている解説は、主にタゴール家の歴史についてまとめられており、先にこちらを読んでタゴールが育った環境を念頭に置いておくのもいいだろう。というのも、私が最初から読んでみたところカタカナばかりの慣れない人名に首を傾げ、早々に解説を読み出したからだ。特に、兄弟がたくさんいるタゴールは、この追想記も家族の話が大半を占めているので予習にもなる。読書は何も一ページ目から一文字一文字丁寧に読むばかりではない、ということを思い出させてくれる一冊でもある。

(M.O)

■No.2■

虫と日本人 幕末~昭和戦前期の昆虫文化史(保科英人/著 三弥井書店 2025)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:486.04/ムシ>


「虫と日本人」書影.jpg

昔の日本人が虫とどのように付き合っていたかを解き明かす一冊である。町で売られる虫の価格は地方によってどうだったのか、戦前の蛍狩りはどのような様子であったのかなどを数多くの資料、特に地方新聞の記事から記述している。

戦前までの蛍狩りは蛍を捕まえて持って帰る文字通りの「蛍狩り」であったという。大衆にとっての一大娯楽でもあったため、蛍狩りがイベントとして実施された。事前に集められた何千何万もの蛍が会場に放たれ、それを捕えようと駆け回る参加者。あまりの熱狂ぶりに怪我人が出る、施設が破壊される、早々に蛍が捕り尽くされてしまい、後から来た客から蛍がいないとクレームが入るなど、現代における蛍狩りの優美なイメージとはかけ離れた騒動の数々が記されている。

このような昔の日本人と虫とのエピソードについては、筆者が戦前の地方新聞から見つけているのだが、このために全国の図書館や研究機関を訪問して、地方新聞を読み続けたそうだ。

ほかにも、いにしえのやんごとなき方々は、虫とどのように触れ合ったのか、戦前の満州や朝鮮に住む日本人に海を越えて届けられた虫たち、カブトムシとクワガタムシはいつから子供たちの憧れだったのか、など昔の日本人の虫に対する思いが伝わるエピソードが満載である。

(K.M)

■No.3■

ハンチバック』(市川沙央/著 文芸春秋 2023)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:913.6/イチ038>

「ハンチバック」書影.jpg

「本を読むたび背骨は曲がり肺を潰し喉に孔を穿ち歩いては頭をぶつけ、私の身体は生きるために壊れてきた。」

読書は何時でも我々の障壁となり、その自由を、生命を破壊する。健常性を有している者たちはその特権に気が付かず、バリアを大量に生産し続ける。特権に気が付いた誰かが配慮とか多様性などと言い、私たちを自分たちとは違う特別な人にする。

読書を愛しているからこそ、その媒体を憎む主人公、釈華の声から、どうか目を逸さず読了いただきたい。

(S.O)

それでは、次回もお楽しみに。