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2015年3月20日
発達が気になる子のサポート入門 ~健康・医療情報講座を開催しました その1~

3月7日(土)、久喜図書館では、講座「発達が気になる子のサポート入門」を開催しました。

講師は特別支援教育のスペシャリストである阿部利彦先生。

児童・生徒、保護者や先生方の相談に20年間あたられ、星槎大学にお勤めの現在も週2-3回は学校を巡回されている現場のエキスパートです。先日、Eテレ「エデュカチオ」にも出演されました。

阿部先生のユーモアあふれる講演

パネル第一会場(親の会).jpg

(超満員の会場)

発達障害は、生まれつき脳の発達が通常と違っているために、日常生活や学習の面で苦手な部分があったり生きにくさを感じることがある障害です。

小・中学生の6.5%が該当するという調査結果もあります(2012年文部科学省調査)。

阿部先生の講演はまず、発達障害の3類型 LD(学習障害)、ADHD(注意・欠陥多動症)、ASD(自閉スペクトラム症)の基本的な知識から始まりました。

類型を学ぶといっても、決して子どもを診断したり、型にはめるためではありません。

一人一人の子どもを理解するための突破口として、基本知識が必要ということです。

それぞれのタイプの特徴と、周囲からどんなふうに誤解されやすいか、そして支援のポイントを学びました。

たとえば、聞く、話す、読む、書く などが生まれつき困難な LD(学習障害)のある子は、「怠けている」「要領が悪い」「意欲がない」と思われやすい。

本人は努力してるのに!

でも、見方を変えれば、LDのある子とは、「苦手なこと」に日々チャレンジしている子。

毎日学校へ行くために、"気合"と多大な"エネルギー"が必要なんです!

そんなLDの子を支援するポイントは「学ぶ楽しさ」を伝えること。

勉強することで新しい自分に変われる!世界が広がります。

その子にあった教え方を工夫して、モチベーションを引き出すことが大切です。

学習障害の支援の事例として、あのハリウッドの大スター トム・クルーズ さんを紹介。

クルーズさん、実は、子どもの頃 文字を読むのが非常に苦手で、ADHD(多動)気味だったとカミングアウトされています。学校では常に不安やストレスを感じ、周囲からいじめられていました。

しかし、読みが苦手でも見たり聞いたりした情報はすぐ頭に入るので、今でも脚本は音声で覚えているそうです。まさに「強み」を生かして、才能を開花させているのですね。

講演の中盤では、発達障害の子どもたちの気持ちを擬似体験する「チャレンジコーナー」。

こんな漢字も覚えられないの!?なぜすぐわからないの!ほらほら、頑張って!

頑張っているのに周囲の子と同じ結果を出せず、日々責められ続ける子どもたちの不安や焦りをちょっぴり味わいました。

そしてお話の後半は、「子どもの見方を変えて、味方になろう」

いいところ探しの方法、効果的なほめ方、叱り方、声のかけ方など、たくさんの事例をまじえながら具体的なアドバイスをいただきました。

参加者のご感想より

「あっという間に時間が過ぎてしまって、最後まで楽しく興味深く聞くことが出来ました」

「発達障害の子どもたちを理解していく為の具体的な事例を分かりやすく、ユーモアたっぷりに教えて頂けて、前向きになれるお話でした」

「障害があってもなくても、すべての人に役立つ内容です」

たしかに、

「苦手なことを克服する前に、まずいいところを伸ばそう

「ポジティブな未来をイメージしてモチベーションを上げよう

「叱るとほめるはワンセット」

...など、発達の気になる子のサポート方法は、家庭や職場での日常的なコミュニケーションにもそのまま役立ちそうです。

今回、発達障害について学んでみて、視野が広がるのを感じました。発達障害への理解が進めば、みんなが互いに相手の世界を尊重し助け合える、居心地のよい場所が増えていくのではないでしょうか。

残念ながら講座にご参加いただけなかった方には、阿部利彦先生の著書「新・発達が気になる子のサポート入門」(学研教育出版 20143月発行)をおすすめします。

パネル第一会場(親の会).jpg

今回資料展示や「調べ方案内」作成を担当した司書Sは、

「心の扉を開く本!はじめに読む1冊としておすすめします!」

かつては中学校のコワーイ生徒指導の先生だったという館長Wは、

「あの頃この本に出会いたかった!もっと違う対応ができただろうに...」

と、揃って大絶賛しております。

後半はお役立ち情報のご紹介

さて、講座の後半は、図書館司書と発達障害の親の会の皆さまから、講座に関連する情報を提供させていただきました。

が、長くなりますので続きは「その2」で。