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2023年10月7日
こんな本あります!―久喜図書館の書棚から―

こんにちは。久喜図書館です。
このコーナーでは、所蔵する図書を図書館職員がご紹介します。

書架

さて、今月は...

■No.1■

『虫から死亡推定時刻はわかるのか? 法昆虫学の話

(三枝聖著 築地書館 2018)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:498.9/ムシ>

虫から死亡推定時刻はわかるのか?

本書は、不幸にして人間より先に昆虫に発見された死者(孤独死や遺棄された殺人事件の被害者)について、死体に定住する昆虫(主にハエの幼虫)からいつ亡くなったかを推定する自称「法昆虫学者」によるお仕事解説書である。
最後の生存確認情報や解剖所見では判別できない場合にお呼びがかかり、第一発見者である昆虫から証言を聞き取るのが「法昆虫学者」の仕事らしい。法医解剖室で昆虫を採集し、標本を作り、死体発見現場の環境や天候、解剖室への移動時間を鑑みつつ種類を特定、成長段階や個体数から死後経過時間を推定していく。生命活動を終えてから土に還るまでの観察実験も興味深い。

虫のことを見るのも考えるのも嫌という方にはおすすめはしないが、人間も他の生物と同じように自然の循環のなかにいる、という当然のことに思いいたる。
一般人とていつなんどき法昆虫学にお世話になるかわからない。このニッチな世界をのぞいてみてほしい。

(紹介者:神原陽子)

■No.2■

『ささやく恋人、りきむレポーター 口の中の文化(もっと知りたい!日本語)

(定延利之著 岩波書店 2005)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:811.1/ササ>

ささやく恋人、りきむレポーター

美味しい料理に、つい唸る。誰かにお願いメールをする時に、土下座の絵文字を使う。そんな日本語話者にとってはごく普通の光景に、他言語文化の視点からスポットライトを当てて、新たな側面を見せてくれる一冊。
本書では、言語学者である著者が、私たちが会話をする上で日常的に・無意識のうちに行っている事象をつぶさに観察し、音声コミュニケーションにおける気持ちと音声の結びつきを分析している。
「えっと」「あの」といったつなぎ言葉(フィラー)や、つっかえ、イントネーションとアクセントの変化、りきみ、空気すすりといった行為には、存在理由と意味があった。
豊富な事例紹介と軽快な語り口に、つい読む姿勢が前のめりになる。

(紹介者:S・O)

■No.3■

『呼べばくる亀 亀、心理学に出会う

(中村陽吉著 誠信書房 1991)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:487.9/ヨ>

呼べばくる亀

飼い犬は名前を呼ばれると駆け寄ってくるが、亀の場合はどうだろうか。本書は、ある心理学者と「カメちゃん」ことペットの亀の交流や心理学的実験の記録である。
カメちゃんは飼い主を探して部屋を移動する。餌付けしたわけではないのにただ甘えたくて飼い主に歩み寄り、握手するように手を差し出すこともある。
なぜ亀とこのような信頼関係を築くことができたのか?本書を読むと、その秘訣は心理学者ならではの観察力にあることがわかる。時に客観的に、時に愛情たっぷりに、亀の心理や行動を分析したユーモラスな一冊。

(紹介者:M・M)


それでは、次回もお楽しみに。