2019年7月11日
16ミリフィルム講習会
しっとりとした空気のなかに緑の薫りが漂う季節。ときおりのぞく雲の切れ間からは、確かな夏の到来を感じます。
こんにちは。
県立熊谷図書館 視聴覚資料・図書館振興担当です。
熊谷図書館では去る6月4日、6月7日に「16ミリフィルム映写機講習会」を開催しました。
突然ですが、皆さんは16ミリ映画フィルムをご存じですか?
最近では映画館でも、フィルムを目にする機会が少なくなり、イメージを持ちにくくなってきているのかなと思います。
ちなみに私も映画フィルムと聞いて真っ先に思い浮かべたのが、某テレビ番組のオープニングに登場する、シルクハットをかぶったおじさんがフィルムを回すというシーンでした。
いまではフィルムを上映する機会はあまりないかと思いますが、かつては家庭用の映像記録媒体として8ミリフィルムがあり、家族の行事を記録して、それを上映して見るということが一部の家庭では行われていました。
しかし時代が下り、ビデオやDVDがそうした役割にとって代わるようになりました。現在では映画を撮影する場合にも、デジタル形式が採用されることが多く、映画館でもフィルムを使った作品数は減少し続けています。
そんな普段の生活ではあまりお目にかからななくなった16ミリ映画フィルム。でも、図書館では現役で頑張っているんです。
しかし、なぜ図書館ではいまでも16ミリ映画フィルムを使っているのでしょう。
その理由としては、大きく2つあります。
まず1つ目として、図書館が所蔵している映像資料のなかには、16ミリフィルムでしか見ることのできない貴重なものが多く存在していることがあげられます。
県立図書館が所蔵する16ミリフィルムのなかには、埼玉県に関する作品や、過去の記録映像など、現在では手に入らなくなってしまった資料も多く含まれています。
これらは地域の歴史を伝える資料であり、図書館はこうした映像を保存し、次の時代につなげるという役割も担っています。
そして2つ目としては、16ミリフィルムが上映することを主目的としているために、著作権上の様々な制限をクリアしていることです。
実は図書館で貸出可能のDVDやビデオテープでも、資料によって館内で上映できるもの、できないものがあり映画会の度に確認をしなければなりません。
しかし16ミリフィルムは心配ご無用。すべての資料を上映することができます。まさに上映会のための資料といっても過言ではないですね。
前置きが長くなりましたが、なぜ今でも16ミリフィルムが使われているのか、ご理解いただけたでしょうか。
それでは今年度の講習会についてご紹介していきたいと思います。
毎年恒例となった講習会ですが、今年度は25人の受講者が集まってくれました。
講師は北辰映像株式会社の樋口一雄先生。樋口先生は元映写技師で、この道何十年のプロフェッショナルです
ご存じの方もいらっしゃると思いますが、県立図書館では講習会を受けた人の所属する団体に16ミリフィルムを貸し出しています。
逆に言えば、講習を受けないと16ミリを使った映画会は開けないということ......。受講者の皆さまにはどうしても取らなければならない理由があるということですね。
開講式の後、まず最初に映写機の構造と操作についての講義を受けました。
スプロケット、パーフォレーション、送りツメ...などの聞きなれない言葉と格闘しながら、なぜ映像が投影されるのかについての知識を学んでいきます。
▲知らない言葉が多いですね......
次に午後からの実技テストに向けての映写機操作実習。はじめてさわる人ばかりなので、自然におよび腰に......。
▲映像が映っても、少し不安なご様子
お昼休みを挟んで、午後からも実習の続きです。操作に自信がない方は昼休みの時間を使って練習をしていました。
実技テストは100点満点中、90点以上を取らないといけないので、わずかなミスが命取りになります。
皆さん取りこぼしのないように細心の注意を払って練習していました。
▲受講者のまなざしは真剣そのもの!
最後の休憩を終えて、いよいよ実技テストです。
グループごとになって、相手の点数をチェックするという方式。
緊張が高まります......。
▲一つ一つ確認しながら、映写機を回します
そして、試験の結果は.........
全員合格でした!!
講習会の最後に、樋口先生から講習会修了証をもらいます。
これで映写機を使った映画会が開催できるようになりました。
これからそれぞれの地域で、素晴らしい映画会を開催してくれるでしょう。
最後になりますが、16ミリフィルムを借りる際には、団体登録が必要です。県立図書館のHPに用紙がありますので、ダウンロードしてご利用ください。(https://www.lib.pref.saitama.jp/collection/docs/yousiki1.pdf)
それでは、また次の映画会でお会いしましょう。