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2016年12月1日
文化講座「枕草子『香炉峯の雪』章段をデザインする」

「秋は夕暮れ。夕日のさして山の端いと近うなりたるに、烏のねどころへ行くとて、三つ四つ、二つ三つなど飛び急ぐさへあわれなり。」

こちらは清少納言が書いた『枕草子』の第一段の後半部分です。千年以上前のものですが、今と変わらない季節の風景が思い浮かべられます。

みなさん、こんにちは。

久喜図書館の芸術・文学資料担当です。

さて、先日久喜図書館で開催しました文化講座のご報告です。

今年は11月19日(土)に、大東文化大学 准教授 浜口 俊裕(はまぐち としひろ)氏をお招きして「枕草子『香炉峯(こうろほう)の雪』章段をデザインする」と題した講演会を行いました。

当日の朝は雨が降っていたため、出足が鈍るのでは?という心配がありましたが、当日申込もあり、キャンセルも少なくうれしい誤算でした。

講師の写真.JPG

講座のテーマである『香炉峯の雪』章段には、大雪の日に中宮定子から「香炉峯の雪やいかならむ」と問われた清少納言が、御簾を掲げたエピソードが書かれています。他の女房たちが思いもつかなかった清少納言の行為を賞賛したというのが、一般的な学説だそうです。先生は女房たちが清少納言の行為によって、中宮御下問の真意を初めて理解し、御簾を上げて雪景色を楽しむように誘導した中宮定子を賛美しているという学説を紹介されました。

また『香炉峯の雪』の清少納言を題材にした絵が、時代によって描かれ方が違うことを具体的に絵画を紹介しながらお話してくださいました。外から見た図や室内から見た景色や背景など様々な構図で描かれていたことがわかります。

『香炉峯の雪』の絵.JPG

講演後の質疑応答はあちこちで挙手される方がいらっしゃり、時間が足りないようでした。参加してくださった方が熱心に講演をお聞きになり、先生が真摯にお答えくださったことが一番印象に残りました。

浜口先生、そしてご来場くださいました参加者の皆様、ありがとうございました。

講座に関連して、枕草子や王朝文学に関する資料展示を開催中です。

資料展「枕草子で知る王朝文学」

期間 11月16日(水)から12月11日(日)

場所 県立久喜図書館 2階公開図書室

また「枕草子」は「方丈記」「徒然草」とともに三大随筆の一つと言われています。随筆について調べものをする際に参考となる資料をご案内しておりますので是非ご利用ください。調べ方案内「随筆について調べる」