展示
2022年6月17日
資料展「鎌倉幕府黎明期の動乱~頼朝と義時の歩んだ道~」開催中!
こんにちは。
熊谷図書館の人文・社会科学資料担当です。
現在、熊谷図書館2階ロビーでは資料展「鎌倉幕府黎明期の動乱~頼朝と義時の歩んだ道~」を開催中です。
2022年大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を観て、ドラマの舞台である平安末期から鎌倉前期の歴史や、北条義時をはじめとした歴史上の人物たちに興味を持たれた方も多いのではないでしょうか。
この資料展では源平合戦から鎌倉幕府成立、承久の乱までの鎌倉幕府黎明期の歴史が分かる資料や、源頼朝と北条義時を中心に、彼らをとりまく人々について知ることのできる資料を集めました。
時代の流れに沿いながら、大きく3つのテーマに分けて資料を展示しています。
1 源頼朝と鎌倉幕府
(1)源頼朝
(2)鎌倉幕府の成立
源頼朝の生涯と、彼が鎌倉幕府を築き武家社会が確立していくまでの歴史を追っていきます。
2 鎌倉殿をとりまく人々~頼朝の挙兵から源平合戦の終結まで~
(1)源氏一族
(2)東国の武士たち
源頼朝のとりまく人々のうち、源平合戦が終結し鎌倉幕府が成立するまで、彼を支え、時に対立した源氏一族と東国の武士たちについて分かる資料を集めました。
特に深谷市畠山出身といわれる畠山重忠をはじめとした、埼玉にゆかりのある人物も多い武蔵武士の資料が充実しています。
また、比企氏ゆかりの地・比企地域など、県内の鎌倉殿ゆかりの地について解説されたパンフレット類を東松山市役所政策財務課政策推進課様、埼玉県産業労働部観光課様よりご提供いただきました!館内で配布しておりますので、ご自由にお取りください♪(無くなり次第終了です)
3 頼朝の死去から承久の乱まで
(1)御家人の争いと鎌倉将軍
(2)争いの覇者、北条氏
(3)後鳥羽上皇と承久の乱
頼朝の死去から幕府の政権をかけて御家人たちの争いが激化します。13人の合議衆をはじめとした御家人たちと鎌倉将軍、争いの敗者たちの生涯はどのようなものだったのでしょうか。
さらに、御家人同士の争いに勝利した北条氏と、その後の承久の乱について分かる資料をあつめました。
動乱の時代と、その時代を生き抜いた人物たちの生涯に、資料を通して触れてみませんか。
展示している資料は展示期間中でも貸出できますので(一部を除く)、ご希望の資料がございましたら職員にお声がけください。
期間:令和4年5月28日(土)~7月31日(日)
場所:埼玉県立熊谷図書館 2階ロビー
みなさまのご来館をお待ちしています!
2022年4月26日
資料展「川越百歳 ~川越市市制100周年記念展示~」開催中!
こんにちは!
埼玉県立熊谷図書館、地域・行政資料担当です。
突然ですが問題です!
埼玉県で最初に「〇〇市」と呼ばれるようになったのは、何市でしょう?
正解は......川越市!
大正11年(1922年)12月1日、川越町は仙波村と合併すると共に、県内初の市制を施行し「川越市」となりました。
そして、今年川越市は生誕100周年を迎えます!
そこで埼玉県立熊谷図書館では、川越の百寿を記念して、資料展「川越百歳 ~川越市市制100周年記念展示~」を開催中です。
今回はその見どころを少しだけ紹介していきますよ!
本だけじゃない! 多種多様な川越の資料たち
今回は、川越に関する「郷土資料」を紹介しています。郷土資料は本以外にも、様々な種類があります。例えば......。
▲こちらは、ちょうど100年前に市制が施工されたことを記念して発行された絵葉書です。読み物ではありませんが、当時の川越の様子を伝える貴重な資料として、図書館で収集・保存しています。
▲こちらは、川越を舞台としたアニメ「神様はじめました」とコラボをした観光マップです。これももちろん、図書館で所蔵している大切な郷土資料です。
圧巻のクオリティ! 美麗なイラスト & 精巧な模型
今回は出版社仙波書房様にご協力いただき、書籍『川越の建物 近代建築編』で使用されたイラスト原画と、川越の情景模型も展示しています。これらは去年の夏に川越マインで開催された「出版記念、複製原画展&模型展」で実際に展示されていたものです。
▲埼玉りそな銀行が美しいイラストに! チラシにも使わせていただいています。他にもたくさんの建物のイラストが展示されていますよ!
▲細部まで綿密に再現された模型。ずっと見ていられますね!
このクオリティは、写真で見るだけじゃもったいない!
ぜひ熊谷図書館にお越しいただき、その目で直接ご覧ください。
今回の展示は様々な工夫を凝らし、見て楽しい展示となっています。
熊谷図書館で川越の歴史と魅力を感じてみませんか?
資料展「川越百歳 ~川越市市制100周年記念展示~」
場所: 埼玉県立熊谷図書館 2階ロビー |
皆様のご来館をお待ちしております!
※埼玉資料室の資料はすべて館内利用(貸出不可)です。館内で複写サービスをご利用いただけます。同一資料が県立久喜図書館または外部書庫にある場合は、取り寄せのうえ貸出ができます。お気軽にカウンターまでお尋ねください。
2021年11月30日
資料展「想いを放送にのせて~図書館資料に見るテレビ・ラジオ~」開催中です!
こんにちは。
熊谷図書館の人文・社会科学資料担当です。
現在熊谷図書館2階ロビーでは資料展「想いを放送にのせて~図書館資料に見るテレビ・ラジオ~」を開催中です。
文化講座「今こそ、ラジオ!~レトロで最先端~」の連携展示として、「放送」をテーマに資料を集めています。
11月6日(土曜日)の文化講座終了後にFMクマガヤ「くまドキッ!SUPER」番組内でも資料展を少しご紹介させていただきましたが、お聴きになっていた方もいらっしゃるでしょうか。
生放送ってとっても緊張しますね...
今回の展示では「放送の歴史」「メディアと災害・防災」「地域のテレビ」「地域のラジオ」の4つのコーナーを作りました。
1 放送の歴史
1925年のラジオ放送開始から最新の放送事情まで、日本における放送の歴史を振り返ります。
2 メディアと防災
これまでの災害報道や各放送局の防災・減災への取り組みに関する資料をご紹介しています。
3 地域のテレビ
埼玉で地域のテレビと言えば...?ということで、テレビ埼玉発行の資料もあります。
4 地域のラジオ
埼玉県内のコミュニティFMを地図に表してみました。
文化講座で講師の高井様もおっしゃっていましたが、県北に放送局が増えたのはFMクマガヤが開局した2019年以降だそうです。
FMクマガヤ発行の『cluBクマガヤ』には文化講座講師の高井様のコメントも載っています(矢印にご注目ください!)。
展示している資料は展示期間中でも貸出できますので(一部を除く)、ご希望の資料がございましたら職員にお声がけください。
展示期間も後半に入り、少し展示資料も変更しています。
まだご覧になっていない方も、既にご覧いただいた方も、ぜひご覧いただけると嬉しいです。
資料展「想いを放送にのせて~図書館資料に見るテレビ・ラジオ~」
期間 10月16日(土)~12月19日(日)※休館日を除く
場所 埼玉県立熊谷図書館 2階ロビー
みなさまのご来館をお待ちしています!
2021年9月29日
資料展ができるまで~「君に社史あれ!」を例にして~
こんにちは。ビジネス・産業支援担当です。
埼玉県立図書館で定期的に開催されている資料展。
みなさんが図書館で目にするのは資料やキャプション(説明文)等がすべて展示された状態ですが、そこに至るまでにはいくつかの過程があります。そこで今回は、現在開催中の資料展「君に社史あれ!」を例にして、資料展が開催されるまでを簡単にご紹介したいと思います。
1 テーマの決定
まずは展示のテーマを決めます。展示の方向性を決める重要な作業です。たくさんある図書館資料の中からどういったテーマを選ぶのか。なぜそのテーマなのか。テーマの決め方は人によって様々です。
今回は、社史をテーマにしました。厚くて重い社史も、開いてみればおもしろいんだよということをみなさんに伝えたかったからです。社史を一箇所に集めて展示してみたいという思いもありました。
2 展示計画・資料リスト・ポスターやちらしの作成
テーマが決まったら、展示計画や資料リスト、ポスターやちらしなどの広報物を作ります。熊谷図書館の場合は展示ケースが5つあるので、4~5個の小テーマを決め、どういう資料を並べるかを考えます。資料展のタイトルや日程、目的、テーマをまとめ、展示計画を作成します。蔵書検索を繰り返しながら展示に使う資料を絞り込んでいき、資料リストも作ります。
今回の展示では、以下の5つのテーマにしました。
テーマ1 社史について知る
テーマ2 社史あれこれ
テーマ3 渋沢栄一が設立に関わった会社の社史
テーマ4 埼玉県に本社がある会社の社史
テーマ5 会社について調べる
テーマ2の社史あれこれでは全国の社史を展示しました。テーマ3と4は埼玉県の図書館で社史を展示する意味を考えた結果、辿り着いたテーマです。渋沢栄一ブームに乗ったというのもあります。テーマ5は社史にちなんだテーマです。会社情報を調べられる参考図書やデータベースを紹介しています。
資料展のタイトルはとても悩みました。短くて、社史の展示ということが分かるタイトルを考えた結果、「君に社史あれ!」となりました。社史と幸(さち)を掛け、展示を見た人が幸せになれますようにという想いも込めたタイトルです。タイトルを決めた後、大津美子さんの「ここに幸あり」という歌があることを教えてもらいました。
社史を蔵書検索するときは、タイトルに〈年史〉や〈あゆみ〉、著者名に〈社史〉や〈編纂〉などのキーワードを入力して検索しました。資料リストには、140冊の社史を掲載しています。請求記号順に並べているので、出版社や自動車メーカーなどの社史をまとめて見ることができます。
あれ?「ご自由にお持ち帰りください」と書いてある隣に何か生き物がいますね。何の生き物でしょうか。資料展のタイトルにヒントがあるかもしれません。君に社史あれ、社史あれ、シャシ、シャt...。もうわかりましたね。
ポスターやちらしなどの広報物も、展示をPRするためには欠かせないものです。構成や配色、フォントなど考えることは多いです。
今回は、長い歴史が積み重ねられた末に出版される社史ということでレトロな原稿用紙をメインにしました。また社史は会社の方向性(針路)を決めるものになるという思いから中央に羅針盤を配置しました。コバトンは「社長コバトン」です。貫禄がありますね。
3 資料集め
展示に使いたい資料たちが自分で歩いて集まってきてくれるかといえば、そうはいきません。自分で棚から持ってきたり久喜図書館や外部書庫から取り寄せたりして、展示で使用する資料を一箇所に集めます。資料を集めたら、どの資料にキャプション(説明文)をつけるかを考えます。資料の中身を見て、展示資料について理解することも重要です。
4 キャプション(説明文)の作成
展示では、ただ資料を並べただけではテーマやその資料を展示した意図が見ている人に伝わりません。テーマやどういう資料なのかを示すキャプション(説明文)を作成する必要があります。
展示のテーマを示すキャプションや資料について説明するキャプション、資料のタイトルや著者名などを示すキャプションなど、キャプションにも色々あります。どのようなキャプションを作るのかは担当者次第です。のり付きのパネルに貼って展示すると、見栄えが良くなります。
5 広報
県民のみなさんに展示について広報することも重要な仕事です。広報媒体としては、図書館のウェブサイトやTwitter、ブログなどがあります。記者発表をすると、県政ニュースにも掲載されます。ちらしや資料リストを市町村立図書館や関係機関に送ったりもします。資料展「君に社史あれ!」のウェブサイトはこちらをご覧ください。
6 展示
いよいよ実際に資料やキャプションを展示ケースに並べます。頭の中で資料の配置をイメージしていても、実際に手を動かして並べてみないとわからないことも多いです。
資料を開いて展示したり、表紙が見えるようにしたり、本を並べて背表紙を見せたり。本を置くときに角度をつけると見やすくなります。空間の使い方や資料の見せ方などを考えなければならず、展示はただ並べるだけではないことを実感します。
資料を並べたら、キャプションやポスターを配置して完成です。
ここまで、資料展が開催されるまでの過程を見てきました。このブログを読んで、資料が展示されるまでには多くの「見えない仕事」があることを知ってもらえたら嬉しいです。
資料展「君に社史あれ!」は10月10日(日)まで開催しています。見て楽しめるような展示になっていますので、ぜひご覧ください。シャチくんたちもみなさんを待っていますよ!
2021年7月17日
ミニ展示「獅子・狛犬」のご紹介
熊谷図書館2階閲覧室では、令和3年7月25日(日)までミニ展示「獅子・狛犬」を開催しています!
皆さんは「狛犬」と聞いてどんなものか思い浮かべることはできますか?
狛犬は動物のイヌ科の仲間ではなく、実在しない想像上の生き物です。
主に社寺の入り口や本殿の両脇に二頭一対で配置され、神仏を守る役割を担っています。
熊谷図書館付近の箱田神社でも見つけることができました。
日本の暮らしの中で目にする機会も多い狛犬ですが、彼らは一体いつどこで生まれたのでしょうか。
今回のミニ展示では、そんな狛犬の秘密に迫るための資料を集めました!
狛犬のルーツを知る
175.5/コマ『狛犬誕生』(塩見一仁著 澪標 2014)
175.5/コマ『狛犬事典』(上杉千郷著 戎光祥出版 2001)
175.5/コ『狛犬学事始』(ねずてつや著 ナカニシヤ出版 1994)
狛犬のルーツは古代オリエントのライオンにまで遡るとされています。
力強く美しいライオンの姿は、古代エジプトや西アジアでは王の権威を示すシンボルでした。
やがて仏教が誕生すると、ライオンは仏を守る獣としての役割も担うようになります。
こうした文化がシルクロードを通じて中国に伝わり、元々あった思想と融合し霊獣としての「獅子」が生まれます。
この獅子が仏教と共に日本へ渡来して今日の狛犬の原型になりました。
狛犬を見る
750.87/シシ『獅子と狛犬』(MIHO MUSEUM編 青幻舎 2014)
714/ザ『The狛犬!コレクション』(三遊亭円丈著 立風書房 1995)
S175/サイ『埼玉の狛犬』(埼玉の狛犬製作委員会編 さわらび舎 2020)
平安時代の室礼や調度を記した『類聚雑要抄』には「左獅子 於色黄 口開」「右胡摩犬 於色白 不開口在角」という記述が見られます。
獅子の来日をきっかけに生まれた狛犬ですが、こうして異なる霊獣をセットで配置するようになったのは平安時代からと考えられてます。
しかし二頭の違いの認識は時代が下るにつれて薄れていき、最近では獅子の姿をした狛犬も多く見られます。
また石像のイメージが強い狛犬ですが、古くは木彫りや陶製の狛犬も造られていました。
神社を知る
521.81/ニホ『日本100の神社』(日本交通公社出版事業局 1988)
S175/カン『関東の美しい神社』(戸部民夫著 エクスナレッジ 2019)
狛犬を神社の構成要素の一つとして捉え、全体から眺めてみることも魅力を探る手段の一つです。
テーマに関連する資料として、日本に無数に存在する神社の中から代表的なものが紹介された資料も展示しています。
神使を知る
387/セ『石仏十二支・神獣・神使』(森山隆平著 弘生書林 1983)
163.1/トウ『動物信仰事典』(芦田正次郎著 北辰堂 1999)
神道の世界では、神の意向を人々に伝える役目をもった動物を「神使」と呼びます。
全国的には稲荷神社の狐が、埼玉県内では三峰神社(秩父市)の狼や調神社(さいたま市浦和区)の兎などが神使として有名です。
こうした神社では以下の写真のように、狛犬に代わってそれぞれの神使を模した像が置かれていることもあります。
狛犬とシーサー
D/383.9/オ『沖縄の屋根獅子』(大塚清吾写真・文 葦書房 1984)
「特集「沖縄の石獅子」」(『民芸 2019年3月』 日本民芸協会 2019.3)
沖縄のシーサー(獅子)は狛犬と同様、古代オリエントのライオンにルーツをもつ霊獣です。
ところが沖縄の街並みを見てもわかるように、シーサーは狛犬とは異なる独自の発展を遂げてきました。
狛犬とシーサーどのような違いがあるのか、ぜひ資料を使って比べてみてください。
シルクロードを知る
292/コ『狛犬のきた道』(鈴木英著 本阿弥書店 1990)
220/シル『シルクロードを知る事典』(長澤和俊編 東京堂出版 2002)
古代オリエントのライオンが獅子として日本に伝わるまでには長い道のりがありました。
資料を通じて、狛犬の祖先が渡り歩いてきたシルクロードの歴史や文化にも触れてみてはいかがでしょうか。
以上、ミニ展示「獅子・狛犬」のご紹介でした。
ここに挙げた資料は展示資料の一部です。
完全版の資料リストは「ナラベル」(外部サイトへ移動)で公開していますのでぜひご活用ください!