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展示

2021年7月17日

ミニ展示「獅子・狛犬」のご紹介

熊谷図書館2階閲覧室では、令和3年7月25日(日)までミニ展示「獅子・狛犬」を開催しています!

皆さんは「狛犬」と聞いてどんなものか思い浮かべることはできますか?
狛犬は動物のイヌ科の仲間ではなく、実在しない想像上の生き物です。
主に社寺の入り口や本殿の両脇に二頭一対で配置され、神仏を守る役割を担っています。

箱田神社

熊谷図書館付近の箱田神社でも見つけることができました。

箱田神社の狛犬(吽) 箱田神社の狛犬(阿)

日本の暮らしの中で目にする機会も多い狛犬ですが、彼らは一体いつどこで生まれたのでしょうか。
今回のミニ展示では、そんな狛犬の秘密に迫るための資料を集めました!

ミニ展示「獅子・狛犬」展示風景1 ミニ展示「獅子・狛犬」展示風景2

狛犬のルーツを知る

175.5/コマ『狛犬誕生』(塩見一仁著 澪標 2014)
175.5/コマ『狛犬事典』(上杉千郷著 戎光祥出版 2001)
175.5/コ『狛犬学事始』(ねずてつや著 ナカニシヤ出版 1994)

狛犬のルーツは古代オリエントのライオンにまで遡るとされています。
力強く美しいライオンの姿は、古代エジプトや西アジアでは王の権威を示すシンボルでした。
やがて仏教が誕生すると、ライオンは仏を守る獣としての役割も担うようになります。
こうした文化がシルクロードを通じて中国に伝わり、元々あった思想と融合し霊獣としての「獅子」が生まれます。
この獅子が仏教と共に日本へ渡来して今日の狛犬の原型になりました。

狛犬を見る

750.87/シシ『獅子と狛犬』(MIHO MUSEUM編 青幻舎 2014)
714/ザ『The狛犬!コレクション』(三遊亭円丈著 立風書房 1995)
S175/サイ『埼玉の狛犬』(埼玉の狛犬製作委員会編 さわらび舎 2020)

平安時代の室礼や調度を記した『類聚雑要抄』には「左獅子 於色黄 口開」「右胡摩犬 於色白 不開口在角」という記述が見られます。
獅子の来日をきっかけに生まれた狛犬ですが、こうして異なる霊獣をセットで配置するようになったのは平安時代からと考えられてます。
しかし二頭の違いの認識は時代が下るにつれて薄れていき、最近では獅子の姿をした狛犬も多く見られます。
また石像のイメージが強い狛犬ですが、古くは木彫りや陶製の狛犬も造られていました。

神社を知る

521.81/ニホ『日本100の神社』(日本交通公社出版事業局 1988)
S175/カン『関東の美しい神社』(戸部民夫著 エクスナレッジ 2019)

狛犬を神社の構成要素の一つとして捉え、全体から眺めてみることも魅力を探る手段の一つです。
テーマに関連する資料として、日本に無数に存在する神社の中から代表的なものが紹介された資料も展示しています。

神使を知る

387/セ『石仏十二支・神獣・神使』(森山隆平著 弘生書林 1983)
163.1/トウ『動物信仰事典』(芦田正次郎著 北辰堂 1999)

神道の世界では、神の意向を人々に伝える役目をもった動物を「神使」と呼びます。
全国的には稲荷神社の狐が、埼玉県内では三峰神社(秩父市)の狼や調神社(さいたま市浦和区)の兎などが神使として有名です。
こうした神社では以下の写真のように、狛犬に代わってそれぞれの神使を模した像が置かれていることもあります。

三峰神社の狼像 調神社の兎像

狛犬とシーサー

D/383.9/オ『沖縄の屋根獅子』(大塚清吾写真・文 葦書房 1984)
「特集「沖縄の石獅子」」(『民芸 2019年3月』 日本民芸協会 2019.3)

沖縄のシーサー(獅子)は狛犬と同様、古代オリエントのライオンにルーツをもつ霊獣です。
ところが沖縄の街並みを見てもわかるように、シーサーは狛犬とは異なる独自の発展を遂げてきました。
狛犬とシーサーどのような違いがあるのか、ぜひ資料を使って比べてみてください。

シルクロードを知る

292/コ『狛犬のきた道』(鈴木英著 本阿弥書店 1990)
220/シル『シルクロードを知る事典』(長澤和俊編 東京堂出版 2002)

古代オリエントのライオンが獅子として日本に伝わるまでには長い道のりがありました。
資料を通じて、狛犬の祖先が渡り歩いてきたシルクロードの歴史や文化にも触れてみてはいかがでしょうか。

以上、ミニ展示「獅子・狛犬」のご紹介でした。
ここに挙げた資料は展示資料の一部です。
完全版の資料リストは「ナラベル」(外部サイトへ移動)で公開していますのでぜひご活用ください!

2021年7月8日

資料展「埼玉音楽紀行 歌い継がれるふるさとの心」開催中です

アジサイ_s.jpg

出梅も近づく頃、目に染みる新緑の葉も少しずつ落ち着いた色合いを帯びはじめました。

空を覆う雨雲の群れも、高まる夏の気配を抑えきれず、鮮やかな色彩に包まれた季節が訪れようとしています。

青葉を濡らし田畑をうるおすこの季節の雨を、かつての俳人は「青梅雨」と名付けました。



青梅雨の金色世界来て拝む

水原秋櫻子



こんにちは。熊谷図書館 視聴覚資料・図書館振興担当です。

さて、みなさんは夏の音といえば、何を想像しますか?

風鈴の音色や盛大な花火など、人によって思い起こされるものはさまざまだと思いますが、

やはり夏といえば楽しげな祭り囃子ではないでしょうか。

風情豊かに奏でられる太鼓や笛の音には、つかの間耳にしただけで私たちの記憶を鮮やかに蘇らせる、そんな力をもっています

現代のわたしたちの暮らしに音楽が欠かせないように、かつての人々にとっても音楽は生活に密着した存在でした。

ここ埼玉にも数多くの歌が残されており、当時の生活を知る手がかりとして役立っています。



県立図書館では資料収集の一環として、地域に関する視聴覚資料を収集しています。

今回、それらの資料をまとめて紹介する資料展「埼玉音楽紀行 歌い継がれるふるさとの心」を2階ロビーで開催しています。

資料展2.jpg

開催期間は202161日(火)から202181日(日)までとなっています。


資料展4.jpg資料展5.jpg

川越の船頭たちによって唄われた「川越舟唄」や、厳しい農作業の合い間に唄われた「麦打ち唄」など、県内に伝わる民謡を図書資料と視聴覚資料によって紹介しています。

興味を引かれた資料は館内の視聴ブースでお聴きいただくことができ、また展示ボードとスライドショーにて民謡が生まれた時代背景や当時の情景についてもご覧になることができます。

今回の資料展は民謡や神楽以外にも市町村のイメージソングや、デジタル化され生まれ変わった埼玉資料など、埼玉ゆかりの音楽が一堂に会した展示となっております。

皆さまもふるさとを彩る歌声に耳を傾けてみませんか?

2021年5月7日

ミニ展示「埼玉の偉人 渋沢栄一を知る」開催中です。

熊谷図書館 地域行政・資料担当です。

NHK大河ドラマ「青天を衝け」がはじまり、埼玉の偉人、渋沢栄一がいま注目を集めています。
渋沢栄一といえば、令和6年から使用される新一万円札の肖像にも採用されることが決まっていますが、彼の業績が非常に多岐に渡っていることをみなさんご存知でしょうか。

今回のミニ展示「埼玉の偉人 渋沢栄一を知る」はそんな彼の功績を知るのにうってつけの展示となっています。前期「入門編」と後期「社会事業家として」の2部構成ととなっており、4月24日から後期展示がはじまっています。前期では入門編として多岐にわたる功績や人物像について解説した資料を中心にご紹介しました。

前期展示2階の画像

▲前期展示2階ロビーの様子

前期展示3階の画像1前期展示3階の画像2

▲前期展示3階埼玉資料室の様子

日米関係が緊張した大正末年から昭和初期にかけて、渋沢が中心となって民間レベルで平和友好関係を築いた日米人形交流が行われました。後期展示では、外交面だけでなく、福祉・医療・教育など渋沢の社会事業家としての姿に注目した資料をご紹介しています。

後期展示2階の画像1後期展示2階の画像2

▲後期展示2階ロビーの様子

後期展示3階の画像

▲後期展示3階埼玉資料室の様子

渋沢は、企業の利益追求の基盤に、しっかりと道徳を置き、営利活動と道義が一致する社会の実現を終生追い求めました。「道徳経済合一論」呼ばれる考え方です。
2階ロビーでは、当館所蔵資料『肉声で聞く渋沢栄一の思想と行動』より講演「道徳経済合一論」を再生しています。渋沢栄一83歳当時の肉声をぜひお聞きください。

2階ロビー渋沢栄一の講演を再生している画像

▲渋沢栄一の肉声を聞くことができます(2階ロビー)

埼玉資料室では、渋沢栄一関連図書コーナーもございますのでこちらも併せてお楽しみください。

渋沢栄一関連図書コーナーの画像

ちなみに、「埼玉の偉人 渋沢栄一を知る」という展示は実は2009年にも一度開催しています。
資料展示目録はこちらです。
12年の時を経て、当館の渋沢栄一関連資料も増大しました。新しいお札の顔になると決まった2019年以降出版された図書のうち県立図書館の資料として受け入れたものはどれくらいになるのか調べてみました。結果はこちらから、ご確認ください。

前期・後期の資料展示リストは下記からご確認ください。

前期「入門編」資料リスト

後期「社会事業家として」資料リスト

みなさまのご来館をお待ちしております。

※埼玉資料室の資料はすべて館内利用(貸出不可)です。館内で複写サービスをご利用いただけます。同一資料が県立久喜図書館または外部書庫にある場合は、取り寄せのうえ貸出ができます。お気軽にカウンターまでお尋ねください。

ミニ展示「埼玉の偉人 渋沢栄一を知る」 後期「社会事業家として」

開催期間:令和3年4月24日(土)~5月30日(日) (図書館休館日を除く)
開催場所:埼玉県立熊谷図書館 2階ロビー及び3階埼玉資料室

2020年12月24日

資料展「いろはで発見!郷土かるたに見る埼玉名物」のお知らせ(県立熊谷図書館)

県立熊谷図書館地域・行政資料担当です。

県立熊谷図書館では11月末より2階ロビーで令和2年度第4回資料展「いろはで発見!郷土かるたに見る埼玉名物」を開催していましたが、残念ながら臨時休館の運びとなりました(県の新型コロナウイルス対策本部会議の決定により、令和2年12月24日(木)から令和3年2月8日(月)まで臨時休館しています)。館内ではご覧いただくことができません。

そこでこのブログでは、みなさんが自宅にいながら資料展の雰囲気を感じられるように、展示の様子を写真付きでご紹介します!

◆資料展の概要
令和2年度第4回資料展「いろはで発見!郷土かるたに見る埼玉名物」

開催期間:令和2年11月28日(土)~令和3年2月25日(木)
※図書館休館日を除く。

この資料展は、令和2年5月に埼玉県立図書館ウェブサイトで公開したウェブ版資料展「いろはで発見!郷土かるたに見る埼玉名物」をベースにした展示です。ウェブ版資料展と異なり、図書館で開催する資料展では、かるたに読まれた題材についてその場で資料を使って調べることができます。
展示ケース1 「郷土かるた」とは?/埼玉のシンボル
「郷土かるたとは?」展示風景 「埼玉のシンボル」展示風景
(1)「郷土かるた」とは?(写真1枚目)
埼玉県教育委員会によって制作された最初の郷土かるたは『さいたま郷土かるた』(1982年)でした。このコーナーでは『さいたま郷土かるた』の制作に関連する、当時の『埼玉新聞』の複製記事を展示しています。新聞記事を見ると、読み札の募集開始からかるたの完成までにはおよそ7ヵ月かかったことがわかります。
その後20年を経て新たに制作されたのが、本展示で紹介する『彩の国21世紀郷土かるた』です。

(2)埼玉のシンボル(写真2枚目)
このコーナーでは県章や埼玉県のシンボルにもなっている動植物が読まれたかるたを展示しています。埼玉県のマスコットキャラクター「コバトン」「さいたまっち」のモデルとしてお馴染みのシラコバトはもちろん、世界でも熊谷市の元荒川上流部にしか生息していない県の魚「ムサシトミヨ」などもかるたに読まれています。

展示ケース2 埼玉の歴史
「埼玉の歴史」展示風景
時の鐘やさきたま古墳群、平林寺など、埼玉の歴史を感じさせる11の場所やモノが読まれたかるたを展示するコーナーです。歴史上特に重要・貴重とされる建造物や史跡などは国・県・市区町村によって「文化財」に指定されますが、埼玉県には県指定のものだけで693の文化財が存在しています(「埼玉県内の国・県指定文化財」より)。

展示ケース3 埼玉の偉人/祭/伝統

「埼玉の偉人・祭・伝統」展示風景1 「埼玉の偉人・祭・伝統」展示風景2

(1)埼玉の偉人(写真上段)

『彩の国21世紀郷土かるた』には埼玉にゆかりのある偉人のうち、代表的な7名が登場します。中でも渋沢栄一は、新一万円札の肖像になることが決まり、令和3年放送予定のNHK大河ドラマのモデルにもなるなど、県内外から注目が集まっています。ほかにも武蔵武士から宇宙飛行士まで、様々な時代と分野で活躍した偉人がかるたには読まれています。


(2)埼玉の祭(写真1枚目下)
埼玉県内に数多く存在する祭のうち、郷土かるたには5つが読まれています。踊りや演奏のように、人々の暮らしの中で生み出され継承されてきた無形の民俗文化もまた、貴重な財産として「文化財」に指定される場合があります。
残念ながら令和2年は新型コロナウイルスの影響で、多くの祭が中止・規模縮小となってしまいましたが、一部の祭の過去の様子は「さいたまつり」といったウェブサイトでもご覧いただけます!

(3)埼玉の伝統(写真2枚目下)
このコーナーでは「伝統」をキーワードに、職人たちの高い技術力によって生産される工芸品や、200年以上続く「小鹿野歌舞伎」などが読まれたかるたを展示しています。埼玉には人形や木工品、和紙など、県知事から指定される30品目もの「伝統的手工芸品」が存在しています。

展示ケース4 埼玉の自然
「埼玉の自然」展示風景
埼玉には利根川・荒川といった日本有数の河川が流れ、秩父山地を擁するなど雄大な自然が備わっています。また桜や蓮、曼殊沙華など四季に応じて色とりどりの景色を各地で楽しむこともできます。このコーナーでは、そんな県が誇る自然にまつわるかるたを展示しています。

展示ケース5 埼玉の新名所

「埼玉の新名所」展示風景

最後は昭和後期から平成初期にかけて誕生した、2002年当時の埼玉の新しい名所が読まれたかるたの展示です。2021年東京オリンピックのサッカー競技会場となる「埼玉スタジアム2002」や、現在もビジネス・ショッピングの拠点としてにぎわう「さいたま新都心」もこの頃完成しました。

『彩の国21世紀郷土かるた』の発行から間もなく20年が経過しようとしている今、皆さんはどんな場所を「新名所」に思い浮かべるでしょうか。

以上、令和2年度第4回資料展「いろはで発見!郷土かるたに見る埼玉名物」のご紹介でした。
県立図書館ウェブサイトでは、埼玉県が発行した郷土かるたのデジタル画像も公開していますので、年末年始をおうちで過ごされる時にぜひご覧になってみてください!

2020年11月6日

資料展「SFクロニクル」開催のお知らせ(県立久喜図書館)

こんにちは。久喜図書館の芸術・文学資料担当です。
突然ですが、みなさんは下記のような文章を見たことがありますか?

第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また何も手を下さずに人間が危害を受けるのを黙視していてはならない。
第二条 ロボットは人間の命令に従わなくてはならない。ただし第一条に反する命令はこの限りではない。
第三条 ロボットは自らの存在を護らなくてはならない。ただしそれは第一条,第二条に違反しない場合に限る。

これは「ロボット工学三原則」といって、作家アイザック・アシモフが、自らの小説の中でロボットが従うべきと定めた原則です。
この法則が生まれる前のSF小説では、フランケンシュタイン・コンプレックスと呼ばれる、ロボットが人間を破滅させるお話が主流となっていました。それらと一線を画すロボット工学三原則の登場は、のちのSF作品に大きな影響を与えました。
今年2020年は、ロボット工学三原則を生み出したアイザック・アシモフの生誕100周年に当たります。
それを記念し、県立久喜図書館では、アシモフの作品を含めたSF作品の資料展示を行っています。

タイトルは「SFクロニクル」!

クロニクルとは年代記のことで、最初のSF小説と言われている『フランケンシュタイン』から、今話題の『三体』まで、各年代の代表的なSF作品約200点を展示し、SF小説の軌跡をたどります。

また、今年の6月に三週連続でテレビ放映され話題となった「バック・トゥ・ザ・フューチャー」1~3や、宇宙人と人間の子どもの友情と別れを描いた名作「E.T」など、映像資料も展示中です。こちらは貸出は行っておりませんが、館内でご視聴いただけます。

展示している資料の一覧は、「SFクロニクル」展示資料リスト(PDF:1.8MB)からご覧いただけます。

2020年は数多くのSF作品を日本で出版してきたハヤカワ文庫SF(創刊当時はハヤカワSF文庫)の創刊50周年でもあります。SFにとってアニバーサリーイヤーの今年、あなたもSF作品に触れてみませんか?



資料展「SFクロニクル
期間 10月17日(土)~11月26日(木)※図書館休館日を除く
場所 埼玉県立久喜図書館 2階 公開図書室