2024年8月2日
こんな本あります!―久喜図書館の書棚から―
こんにちは。久喜図書館です。
このコーナーでは、所蔵する図書を図書館職員がご紹介します。
さて、今月は...
■No.1■
『『竹取物語』から「かぐや姫」へ:物語の誕生と継承』
(斉藤みか著 東京堂出版 2020)
<所蔵館:久喜図書館 請求記号:913.31/サイ122>
日本最古の物語とされる『竹取物語』。中学校の国語の教科書に採録されていることから、その冒頭部分を知っている人は多いだろう。本書は、現代人に取っても身近な古典文学作品の一つである『竹取物語』が人々にどのように受け継がれ受容されてきたのか、様々な観点から考えていく。絵巻や漫画、映画等々、『竹取物語』は今もなお進化を続けている。日本最古だが最新の物語である『竹取物語』の魅力が詰まった一冊!
(紹介者:S.O)
■No.2■
『おわらない音楽 私の履歴書』
(小澤征爾著 日本経済新聞出版社 2014)
<所蔵館:久喜図書館 請求記号:762.1/オワ>
文章に滲む人柄にさえ素朴さと愛嬌を感じた。機会があれば躊躇わず飛び込む。人を頼るのが上手で、謙虚で、感謝を忘れない。なるほどこれが成功の秘訣か、と思ったが、著者は成功するためにそうしていたわけではない。ただ大好きな音楽をずっと続けたいという一心である。その飾らなさもまた小澤征爾という人間の魅力だった。
本書は指揮者・小澤征爾の自伝である。冒頭で「指揮者という商売は、自分一人ではどんな音だって出せない。(略)宿命的に人の力がいるのだ」とあるとおり、本書には家族をはじめとして多くの人物が登場する。
好きなことをまっすぐ追い求める姿は何歳になっても美しい。最後まで音楽への探求心に溢れた本書は、挑戦しようとする読者の背中を優しく支える一冊になることと思う。
(紹介者:R.M)
■No.3■
『和菓子おもしろ百珍』
(中山圭子著 淡交社 2001)
<所蔵館:久喜図書館 請求記号:588.36/ワカ>
季節感や花鳥風月のさまざまなモチーフが表現される和菓子。目で楽しみ、舌で味わい、お茶と一緒に味わう。心和むひとときをもつことができる。
本書では今でも多くの人々から愛され、親しまれている菓子だけではなく、消滅したものも紹介されている。消滅した和菓子には、名称を知らないものが多い。しかし、和菓子に込められた人々の気持ちや、和菓子への慈しみが伝わる作者の文章に導かれながら、和菓子=低カロリーのイメージを覆す「腹太餅」や、スキャンダルを元にした「和国餅」など、当時の人々のユーモアにくすっとさせられたり、商魂の逞しさに驚かされるお菓子にも出会うことができる。
材料も多岐にわたることから、現代に復活するものもあるのでないか。甘いものが好きな私は、密かに期待している。
(紹介者:A.M)
それでは、次回もお楽しみに。