2024年10月2日
こんな本あります!―久喜図書館の書棚から―
こんにちは。久喜図書館です。
このコーナーでは、所蔵する図書を図書館職員がご紹介します。
さて、今月は...
■No.1■
『カラヴァッジョの秘密』
(コスタンティーノ・ドラッツィオ著 上野真弓訳 河出書房新社 2017)
<所蔵館:久喜図書館 723.37/カラ>
表紙にご注目いただきたい。暗い背景から「聖マタイと天使」がぼうっと浮かび上がっている。17世紀に活躍したミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョの作品である。ローマの聖堂で実際にこの絵と対峙した時、強い光と影のコントラストと確かな写実性にその場に釘付けになった。
本書は、画家カラヴァッジョの生涯を、イタリア人美術キュレーターが豊富な歴史考証を元に、美術史初心者にもやさしい語り口で記している。
「喧嘩っ早く荒っぽい」が、画壇の批判にさらされようとストイックに新たな画法を追求したカラヴァッジョ。「バロックの幕を開けた」といわれる彼の足跡を、多くの作品写真とともに辿ってみよう。
(紹介者:S・I)
■No.2■
『小笠原諸島の混合言語の歴史と構造』
(ダニエル・ロング著 ひつじ書房 2018)
<所蔵館:久喜図書館 838/オカ>
日本語方言を専門とするアメリカ人研究者が日本語で著した大作。小笠原諸島に最初に住みついたのはポリネシア・ミクロネシア系と欧米系の人たちだという。ここにルーツを持つ島民が仲間内で使用する、日本語に英語を混ぜた独自の言語を研究したもの。またそれだけではなく、時代背景として小笠原諸島のあまり知られていない歴史や文化の変容、日本語方言との共通性と相違、入植者の家族史などが壮大なスパンで丹念に書かれているので、あたかも上質な歴史ドキュメンタリーのごとく読むことができる。
読了後、私には謎が一つ残った。それは・・・。
(紹介者:橋の下のトロル)
■No.3■
『イルカみたいに生きてみよう』
(小原田泰久著 大和書房 1997)
<所蔵館:久喜図書館 489.6/イル>
海を優雅に泳いだり水族館で華麗にショーを行ったりするイルカの姿を見て、イルカのように生きたいと思ったことがある人はどれぐらいいるだろうか。のんびりくつろぐ猫や無邪気に走り回る犬と比べると、イルカの生き方をイメージするのは難しい。
本書では、オーストラリアやバハマでイルカと出会い「無理せず、楽しく、いつもニコニコと」をモットーに生きる著者が、イルカが教えてくれた楽しく生きる方法を紹介している。悲しい気分の乗り越え方やどうしたら前向きに生きられるのか、イルカのようにのんびり楽に生きるには、といったことがイルカの生き方をとおして語られる。表紙や挿絵にいるイルカたちも可愛らしく、読む人の心を癒してくれる。
人間の世界に疲れイルカみたいに生きてみようと思ったときに、読んでみるかとこの本を手に取ってほしい。イルカはいるかと問いかけなくても、あなたの心にきっと寄り添ってくれるだろう。
(紹介者:小柳 直士)
それでは、次回もお楽しみに。