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2016年8月21日
いまは昔の移動図書館ものがたり

こんにちは、図書館協力担当です。

今年3月、熊谷図書館はリニューアルオープンしましたが、それに合わせて、事務室も大移動が行われ、図書館協力担当は新たに建てたプレハブの事務棟に移りました。その引越しの中、かつて県立図書館でも運行していた移動図書館の資料が出てきましたので、その活動をご紹介したいと思います。



埼玉県立図書館の移動図書館は、昭和25年に運行を開始しました。これは、千葉県に続き、全国で2番目となるものでした。
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トラックを改造した「むさしの」1号(左上写真)は浦和にあった県立図書館を起点に全県下54か所を巡回。秩父の方まで巡回するとなると、日帰りは無理で3泊4日、4泊5日コースもあったとのことです。また移動図書館には映写機も積んで行き、夜は映画会を行ったそうです。


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昭和45年に県立熊谷図書館が開館すると、サービスエリアが分かれ、熊谷図書館から「さきたま」号
(右上写真)が巡回をはじめました。その後、川越図書館から「はつかり」号久喜図書館から「みずほ」号が巡回を始めることになり、図書館のない市町村をくまなく巡回することとなりました。


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また、昭和47年には、浦和図書館に大型のバスを改造した1日図書館(左上写真)が登場。団地を訪れ、文字通り1日中駐車して、サービスを行いました。

この車両は全国的にも珍しいもので(唯一か?)、廃車後に図書室として使用されたこともありましたが、日本の図書館史の遺産として保存されなかったことが惜しまれます。(ちなみに瀬戸内海の島々を巡回していた船による移動図書館「ひまわり号」は現在も保存されています。)



昭和60年代以降、それまで図書館のなかった市町村にも続々と図書館が建設されるようになりました。それに伴い、県立図書館の移動図書館は徐々に縮小することになります。4館で行っていた移動図書館業務は、やがて熊谷図書館に集約されました。

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最盛期には、県立各館がそれぞれ2台の移動図書館を運行していましたが、熊谷図書館の1台のみとなり、平成17年度末をもってその役割を終えました。


巡回先は地域の集会施設や小学校などが主でしたが、その他に神社や消防署、商店の駐車場の一角をお借りする場合もありました。巡回先だった小学校の中には、閉校となってしまったところもあります。当時の生徒のみなさんの記憶には残っているでしょうか。




※「むさしの1号車」「一日図書館」の写真は、『埼玉の移動図書館 30周年記念 1980』より転載