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資料紹介

2023年2月7日

書庫の雑誌たち(久喜図書館)

図書館の2階公開図書室には最新の雑誌が置かれています。一方で図書館の書庫には古い雑誌が何時でも利用いただける状態で並んでいます。

棚の写真1.jpg 棚の写真2.jpg

古いものでは1920~30年代の雑誌もあります。傷みがあるもの、雑誌の背がボロボロなものもあり、触るのに慎重になることがあります。特に傷みが激しい資料は封筒に入れて保存してあります。

古い雑誌1.jpg

古い雑誌2.jpg

県立図書館では多くの雑誌を受け入れています。これらは図書館で購入、または発行元や個人からの寄贈で手に入れています。そのほか、県立図書館ならではの入手方法もあります。それは市町村立図書館が廃棄する雑誌を県立図書館が引き取る方法です。例として、『anan』、『non-no』等の女性誌、『Carトップ』、『Kazi』などの乗り物の雑誌などをこの方法で入手しています。そのためこれらの雑誌は、1~5年程度経過して市町村立図書館での廃棄手続きののち、今度は県立図書館の蔵書として受入されます。

県立図書館の役割の1つに"資料を保存する"という機能があります。県立図書館では利用者が知りたいと思ったときにいつでも資料を利用できるように、どんなに古い資料でも保存しています。

また雑誌の長期的な保存のため、当館では直近2年以内の雑誌のみ貸出可能としています。古い雑誌は持ち運んだり、触ったりすることで少しずつダメージを受けます。このダメージが積み重なると、雑誌が壊れてしまう原因となります。そのため、古い雑誌は館外貸出をせず、館内のみの利用にさせていただき、長期間保存を続けられるようにしています。利用者の皆様にはご不便をおかけしますが、未来の利用者のための措置です。ご理解とご協力をお願いいたします。

県立図書館では雑誌を保存しているだけではありません。皆様にどんな雑誌があるかを展示や公式SNSなどで資料の紹介を行っています。

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先述のとおり、古い雑誌は個人貸出をしていません。しかしお近くの市町村立図書館に雑誌を取り寄せて、読むことはできます。県立図書館から遠い場所に住んでいる方でも利用できるように、県立図書館では市町村立図書館に本を届けるサービスを行っています。市町村立図書館に本を取り寄せる場合の受付窓口は各市町村立図書館となっています。利用する際は、お近くの図書館にお尋ねください。

(参考:「埼玉県立図書館の図書館協力ネットワーク(令和310月現在)」(https://www.lib.pref.saitama.jp/about/index-network.html 埼玉県立図書館))

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「自分の読みたい雑誌が古すぎて近くの図書館にない!」という場合でも、県立図書館では持っている可能性があります。県立図書館の蔵書検索システムで探したり、お近くの図書館職員にお尋ねください。皆様の「読みたい!」をかなえるために、お探しします!

2022年12月20日

こんな本あります!―久喜図書館の書棚から―

こんにちは。久喜図書館です。
このコーナーでは、所蔵する図書を図書館職員がご紹介します。

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さて、今月は...

■No.1■
『英文サインのデザイン』(小林章著 ビー・エヌ・エヌ新社 2019)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:727/エイ>

多言語での案内板を街中で見かけることが多くなってきた。この英語で作られた案内板は日本人にとってはわかりやすいが、本当に英語話者に通じているのだろうか?例えば、日本語の「」を英語の""に置き換えた文章がある。日本人は「」内を強調したいだけだが、""は皮肉を込めた強調と受け取られ、要らぬ誤解を招く。この本はどのような文章・フォント・記号を使えばよいかを教えてくれる。この本を読んだ後は街中の多言語案内板をまじまじとみつめてしまうことになるだろう。

(紹介者: T・O)

■No.2■
『「悩み」の正体』
(香山リカ著 岩波書店 2007年)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:493.7/ナヤ>

「「悩み」の正体」書影.jpg

時代によって人々の「悩み」は変わっていく。現代社会においても現代特有の様々な悩みを抱え日々生活をしている。著者もまた、「悩み」の中身が時代によって変化してきているのだと述べている。従来なら悩みにならなかった問題が、悩みになってしまっている。 私たちは今抱えている悩みをどう解消すればいいのか?様々なケースから悩みの背景を丁寧に解きほぐし、「悩みの正体」を見極める。本書には何かしらのヒントが集まっている。

(紹介者:ET)

■No.3■

『正解は一つじゃない 子育てする動物たち』
(齋藤慈子ほか編 東京大学出版会 2019)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:481.78/セイ>

「正解は一つじゃない」書影.jpg

カッコウの托卵は育児放棄?いやいや、子孫を残すために最適な方法を、長い年月をかけて模索してきた結果なのだ。メスのワンオペ、オスの授乳。様々な動物の驚きの育児方法は、どれも正解であり、また発展途上の形態でもある。動物の子育てを知り、自分自身の最適な育児を探っていくための参考書となる楽しい一冊。なんと執筆者は全員(人間の)子育て経験者だ。 人間はどのように子育てすべきか...それももちろん、正解は一つじゃない。
(紹介者:山本)


それでは、次回もお楽しみに。

2022年11月1日

こんな本あります!―久喜図書館の書棚から―

こんにちは。久喜図書館です。
このコーナーでは、所蔵する図書を図書館職員がご紹介します。

書架展示写真.jpg

さて、今月は...

■No.1■
『蜜蜂と遠雷』(恩田陸著 幻冬舎 2016)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:913.6/オン>

2週間に及ぶ国際ピアノコンクールのすべてを、4人の主要コンテスタントの視点で描いた、音楽小説・青春小説の大作。
全編に渡り「音が聴こえる」。クラシック音楽を知らない人も、それぞれのコンテスタントがどんな音楽を表現しているかがイメージできる。主要コンテスタントに加え、選考委員やステージマネージャーなどの脇役も個性的で存在感がある。
決して最後のページを最初に見ないように。第156回直木賞受賞作品。

(紹介者: 佐藤)

■No.2■
『スヌーピーと生きる -チャールズ・M・シュルツ伝』
  (リタ・グリムズリー・ジョンスン著 朝日新聞社 2000)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:726.1/スヌ>

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今年、生誕100周年となる漫画家・チャールズ・M・シュルツ。
スヌーピーなど個性的なキャラクターが登場する漫画『ピーナッツ』の生みの親である。
本書は、彼の生い立ちや人物像、『ピーナッツ』の誕生から歩みまで、本人や友人などの取材から迫っていく。
彼の晩年の絵には、線の震えがある。心臓の手術後、手の震えの症状が出てからも漫画を描き続けたのである。その線の震えもまた味わい深さが感じられるので驚きである。

(紹介者:A・S)

■No.3■

『すばらしい人体 あなたの体をめぐる知的冒険』
  (山本健人著 ダイヤモンド社 2021)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:491.3/スハ>

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人の体がいかに精巧で素晴らしい機能を持っているか。
何気ない生活の中でそのことになかなか気づけないが、体の中では常に当たり前のようにすごい仕事をこなしている。
本書は、外科医である著者が人体の仕組みや病気、健康の常識や医学史について、ユーモアを交えて分かりやすく解説している。自分の体ってこんなにすごいのかと、知れば知るほど驚きの連続!
専門知識がなくても気軽に読め、健康な今の自分の体に感謝したくなる1冊。

(紹介者:E・H)


それでは、次回もお楽しみに。

2022年9月28日

こんな本あります!―久喜図書館の書棚から―

こんにちは。久喜図書館です。
このコーナーでは、所蔵する図書を図書館職員がご紹介します。

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さて、今月は...

■No.1■
『夢の明るい鏡 編集後記集1970.7~1981.12』(三浦雅士著 冬樹社 1984)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:914.6/ユ>

編集後記に惹かれ、詩誌「ユリイカ」のバックナンバーを集めていたことがある。
本書は、著者が1970年代に携わった「ユリイカ」及び「現代思想」(ともに青土社刊)の編集後記を再録したものである。
20代の若さで編集長を任された三浦は、75年から「現代思想」に移り、その後活躍の場を文芸評論、舞踊批評等へ広げていく。
本書の版元で、かつて文学関係の優れた出版物を刊行した冬樹社も今はない。しかし、本書及び「ユリイカ」「現代思想」はいずれも、県立図書館で手に取ることができる。

(紹介者: 蓮見 博)

■No.2■
『ことばの地理学 方言はなぜそこにあるのか』(大西拓一郎著 大修館書店 2016)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:818/コト>

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ある地域で言葉がAからBへと変化する時、そこにはどんな背景があるのだろうか。
例えば、方言の東西差の一つに、東日本のナイと西日本のンなどの動詞否定辞があるが、甲府盆地では孤立して西日本の方言が話されている。その由来とは?
本書は奥深い方言の世界を、日本各地特有の文化や地形など、地理学との関係から探求する。
身近な人との対話の中でも、ふと気づく言葉の違いに、地域と言葉の関係性が見えてくるかもしれない。

(紹介者:丸山)

■No.3■

『「美の標準」(「柳宗悦全集 著作篇 第8巻」所収)筑摩書房』(柳宗悦著 佼成出版社 1890)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:750.8/ヤ>

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昨年度の柳宗悦の記念展「民藝の100年」に、柳の美の基準を知ることができる著作として紹介されていた。
収録本を探したが中々見つからない。
それもそのはず。焼き物や書など種の工芸品2点を比べて批評する雑誌連載は、「美しからざるもの」とされた高名な芸術作品の「所蔵家の迷惑を考え」1年で中止に。再録もされなかったという。世間的な価値を物ともしない辛口批評は実に面白い。
無銘の実用品である「民芸」の美の秘密を知りたい方は、是非。

(紹介者:小西)


それでは、次回もお楽しみに。

2022年7月27日

こんな本あります!―久喜図書館の書棚から―

こんにちは。久喜図書館です。
このコーナーでは、所蔵する図書を図書館職員がご紹介します。

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さて、今月は...

■No.1■
『教養の日本美術史』(古田亮編著 ミネルヴァ書房 2019)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:702.1/キョ>

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日本美術のこれまでの歩みを考えた時、それは常に文化であり、政治であった。

作品は時代を映す鏡であり、作者は作品の中で生き続ける。本書は日本美術史の通史を時代ごとに詳細に解説した入門書である。美術史と言うと覚える事が多いと思いがちであるが、本書は読者がその関心に応じて各作品への興味を広げられるような構成となっている。

豊富な図鑑と分かりやすい解説で、日本美術史の魅力を存分に味わうことのできる一冊!

(紹介者: 尾崎)

■No.2■
『極光のかげに(冨山房百科文庫1)話』(高杉一郎著 冨山房 1977)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:916/キ>

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1945年8月9日、ソビエト(現ロシア)は日ソ不可侵条約を破棄し旧満州に侵攻した。その後、約57万5千人の日本兵等を強制的にシベリアに抑留し、鉄道建設などの労働を課した。

これは、極寒の地イルクーツク捕虜収容所での体験記である。当時のスターリン社会主義体制を背景に政治局員、将校やロシア人女性との交流を内面から描いている。

著者は4年後に復員したが、5万5千人が死亡した。戦争がもたらすものは何かを問いかける。

(紹介者:前野)

■No.3■
『蓬州宮嶋資夫の軌跡』( 黒古一夫著 佼成出版社 2021)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:910.268/ミヤ002>

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あとがきや年譜を読んでみてほしい。1930年、宮嶋資夫(1886-1951)は臨済宗本山天龍寺に入門する。

45歳。妻子もいて、週刊誌や文芸誌、新聞で小説や随筆を、「赤い鳥」では童話を発表し、ファーブル昆虫記の刊行に翻訳者として関わるような「流行作家」の宮嶋は、なぜ出家したのか。

著者はこの問いに焦点を当てながら、1人の作家の戦いを浮かび上がらせている。読めばわかる。この評伝は、誠実な仕事だ。


(紹介者:YM)

それでは、次回もお楽しみに。