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資料紹介

2022年12月20日

こんな本あります!―久喜図書館の書棚から―

こんにちは。久喜図書館です。
このコーナーでは、所蔵する図書を図書館職員がご紹介します。

書架の様子.jpg

さて、今月は...

■No.1■
『英文サインのデザイン』(小林章著 ビー・エヌ・エヌ新社 2019)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:727/エイ>

多言語での案内板を街中で見かけることが多くなってきた。この英語で作られた案内板は日本人にとってはわかりやすいが、本当に英語話者に通じているのだろうか?例えば、日本語の「」を英語の""に置き換えた文章がある。日本人は「」内を強調したいだけだが、""は皮肉を込めた強調と受け取られ、要らぬ誤解を招く。この本はどのような文章・フォント・記号を使えばよいかを教えてくれる。この本を読んだ後は街中の多言語案内板をまじまじとみつめてしまうことになるだろう。

(紹介者: T・O)

■No.2■
『「悩み」の正体』
(香山リカ著 岩波書店 2007年)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:493.7/ナヤ>

「「悩み」の正体」書影.jpg

時代によって人々の「悩み」は変わっていく。現代社会においても現代特有の様々な悩みを抱え日々生活をしている。著者もまた、「悩み」の中身が時代によって変化してきているのだと述べている。従来なら悩みにならなかった問題が、悩みになってしまっている。 私たちは今抱えている悩みをどう解消すればいいのか?様々なケースから悩みの背景を丁寧に解きほぐし、「悩みの正体」を見極める。本書には何かしらのヒントが集まっている。

(紹介者:ET)

■No.3■

『正解は一つじゃない 子育てする動物たち』
(齋藤慈子ほか編 東京大学出版会 2019)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:481.78/セイ>

「正解は一つじゃない」書影.jpg

カッコウの托卵は育児放棄?いやいや、子孫を残すために最適な方法を、長い年月をかけて模索してきた結果なのだ。メスのワンオペ、オスの授乳。様々な動物の驚きの育児方法は、どれも正解であり、また発展途上の形態でもある。動物の子育てを知り、自分自身の最適な育児を探っていくための参考書となる楽しい一冊。なんと執筆者は全員(人間の)子育て経験者だ。 人間はどのように子育てすべきか...それももちろん、正解は一つじゃない。
(紹介者:山本)


それでは、次回もお楽しみに。

2022年11月1日

こんな本あります!―久喜図書館の書棚から―

こんにちは。久喜図書館です。
このコーナーでは、所蔵する図書を図書館職員がご紹介します。

書架展示写真.jpg

さて、今月は...

■No.1■
『蜜蜂と遠雷』(恩田陸著 幻冬舎 2016)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:913.6/オン>

2週間に及ぶ国際ピアノコンクールのすべてを、4人の主要コンテスタントの視点で描いた、音楽小説・青春小説の大作。
全編に渡り「音が聴こえる」。クラシック音楽を知らない人も、それぞれのコンテスタントがどんな音楽を表現しているかがイメージできる。主要コンテスタントに加え、選考委員やステージマネージャーなどの脇役も個性的で存在感がある。
決して最後のページを最初に見ないように。第156回直木賞受賞作品。

(紹介者: 佐藤)

■No.2■
『スヌーピーと生きる -チャールズ・M・シュルツ伝』
  (リタ・グリムズリー・ジョンスン著 朝日新聞社 2000)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:726.1/スヌ>

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今年、生誕100周年となる漫画家・チャールズ・M・シュルツ。
スヌーピーなど個性的なキャラクターが登場する漫画『ピーナッツ』の生みの親である。
本書は、彼の生い立ちや人物像、『ピーナッツ』の誕生から歩みまで、本人や友人などの取材から迫っていく。
彼の晩年の絵には、線の震えがある。心臓の手術後、手の震えの症状が出てからも漫画を描き続けたのである。その線の震えもまた味わい深さが感じられるので驚きである。

(紹介者:A・S)

■No.3■

『すばらしい人体 あなたの体をめぐる知的冒険』
  (山本健人著 ダイヤモンド社 2021)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:491.3/スハ>

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人の体がいかに精巧で素晴らしい機能を持っているか。
何気ない生活の中でそのことになかなか気づけないが、体の中では常に当たり前のようにすごい仕事をこなしている。
本書は、外科医である著者が人体の仕組みや病気、健康の常識や医学史について、ユーモアを交えて分かりやすく解説している。自分の体ってこんなにすごいのかと、知れば知るほど驚きの連続!
専門知識がなくても気軽に読め、健康な今の自分の体に感謝したくなる1冊。

(紹介者:E・H)


それでは、次回もお楽しみに。

2022年9月28日

こんな本あります!―久喜図書館の書棚から―

こんにちは。久喜図書館です。
このコーナーでは、所蔵する図書を図書館職員がご紹介します。

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さて、今月は...

■No.1■
『夢の明るい鏡 編集後記集1970.7~1981.12』(三浦雅士著 冬樹社 1984)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:914.6/ユ>

編集後記に惹かれ、詩誌「ユリイカ」のバックナンバーを集めていたことがある。
本書は、著者が1970年代に携わった「ユリイカ」及び「現代思想」(ともに青土社刊)の編集後記を再録したものである。
20代の若さで編集長を任された三浦は、75年から「現代思想」に移り、その後活躍の場を文芸評論、舞踊批評等へ広げていく。
本書の版元で、かつて文学関係の優れた出版物を刊行した冬樹社も今はない。しかし、本書及び「ユリイカ」「現代思想」はいずれも、県立図書館で手に取ることができる。

(紹介者: 蓮見 博)

■No.2■
『ことばの地理学 方言はなぜそこにあるのか』(大西拓一郎著 大修館書店 2016)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:818/コト>

「ことばの地理学 方言はなぜそこにあるのか」.jpg

ある地域で言葉がAからBへと変化する時、そこにはどんな背景があるのだろうか。
例えば、方言の東西差の一つに、東日本のナイと西日本のンなどの動詞否定辞があるが、甲府盆地では孤立して西日本の方言が話されている。その由来とは?
本書は奥深い方言の世界を、日本各地特有の文化や地形など、地理学との関係から探求する。
身近な人との対話の中でも、ふと気づく言葉の違いに、地域と言葉の関係性が見えてくるかもしれない。

(紹介者:丸山)

■No.3■

『「美の標準」(「柳宗悦全集 著作篇 第8巻」所収)筑摩書房』(柳宗悦著 佼成出版社 1890)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:750.8/ヤ>

「美の標準」.png

昨年度の柳宗悦の記念展「民藝の100年」に、柳の美の基準を知ることができる著作として紹介されていた。
収録本を探したが中々見つからない。
それもそのはず。焼き物や書など種の工芸品2点を比べて批評する雑誌連載は、「美しからざるもの」とされた高名な芸術作品の「所蔵家の迷惑を考え」1年で中止に。再録もされなかったという。世間的な価値を物ともしない辛口批評は実に面白い。
無銘の実用品である「民芸」の美の秘密を知りたい方は、是非。

(紹介者:小西)


それでは、次回もお楽しみに。

2022年7月27日

こんな本あります!―久喜図書館の書棚から―

こんにちは。久喜図書館です。
このコーナーでは、所蔵する図書を図書館職員がご紹介します。

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さて、今月は...

■No.1■
『教養の日本美術史』(古田亮編著 ミネルヴァ書房 2019)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:702.1/キョ>

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日本美術のこれまでの歩みを考えた時、それは常に文化であり、政治であった。

作品は時代を映す鏡であり、作者は作品の中で生き続ける。本書は日本美術史の通史を時代ごとに詳細に解説した入門書である。美術史と言うと覚える事が多いと思いがちであるが、本書は読者がその関心に応じて各作品への興味を広げられるような構成となっている。

豊富な図鑑と分かりやすい解説で、日本美術史の魅力を存分に味わうことのできる一冊!

(紹介者: 尾崎)

■No.2■
『極光のかげに(冨山房百科文庫1)話』(高杉一郎著 冨山房 1977)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:916/キ>

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1945年8月9日、ソビエト(現ロシア)は日ソ不可侵条約を破棄し旧満州に侵攻した。その後、約57万5千人の日本兵等を強制的にシベリアに抑留し、鉄道建設などの労働を課した。

これは、極寒の地イルクーツク捕虜収容所での体験記である。当時のスターリン社会主義体制を背景に政治局員、将校やロシア人女性との交流を内面から描いている。

著者は4年後に復員したが、5万5千人が死亡した。戦争がもたらすものは何かを問いかける。

(紹介者:前野)

■No.3■
『蓬州宮嶋資夫の軌跡』( 黒古一夫著 佼成出版社 2021)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:910.268/ミヤ002>

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あとがきや年譜を読んでみてほしい。1930年、宮嶋資夫(1886-1951)は臨済宗本山天龍寺に入門する。

45歳。妻子もいて、週刊誌や文芸誌、新聞で小説や随筆を、「赤い鳥」では童話を発表し、ファーブル昆虫記の刊行に翻訳者として関わるような「流行作家」の宮嶋は、なぜ出家したのか。

著者はこの問いに焦点を当てながら、1人の作家の戦いを浮かび上がらせている。読めばわかる。この評伝は、誠実な仕事だ。


(紹介者:YM)

それでは、次回もお楽しみに。

2022年7月5日

こんな本あります!―久喜図書館の書棚から―

こんにちは。久喜図書館です。
このコーナーでは、所蔵する図書を図書館職員がご紹介します。

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さて、今月は...

■No.1■
『明治生まれの日本語』(飛田良文 著 淡交社 2002)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:810.26/メイ>

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言葉は時とともに移り変わる。本書では、現在使われている日本語の中から「東京」「ぽち」「家庭」など明治時代に造られた新語を取り上げ、その事情や背景を紹介している。

言葉の誕生は、物事のはじまりとつながっている。『太政官日誌』などの史料や当時の辞典を引用した解説により、事物起源を知る読み物としても楽しめる。

さて、「恋愛」の項にはなんとあるだろう。答えは本書の中に。

(紹介者: 関)

■No.2■
『日本の名随筆 別巻70 電話』(中野翆 編 作品社 1996)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:914.6/ニ>

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最近、仕事以外であまり電話していないなあと思って、手に取ったのがこの1冊。

本書は、電話を切り口に集められた、35編の随筆集である。文筆家やイラストレーター、俳優に電話相談員など、様々な職業の方の電話との関わり方が短い文章で書かれており、テンポよく読み進めることができる。

編者が意図したわけではないのに、電話嫌いの心情をつづったエッセイが大半になってしまったというのが可哀想で面白い。

(紹介者:T)

■No.3■
『楽しい美術本ガイド』(美術手帖編集部 編 美術出版社 1994)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:703.1/タ>

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「美術の好きな読書家のために」―表紙にはそう記されている。

当時、今よりもっと「美術の好きな読書家」であった私は、偶然この本と出会った。それからもうすぐ20年近く。今もこの本は、自宅の本棚にある。

大学教授や美術の専門家による「推し」の美術本紹介の部に加え、美術史の各時代やジャンルごとの基本図書など、情報量もたっぷり。すでに絶版の本もあるけれど、ぜひとも図書館を利用して沢山の美術本と出会っていただきたい。

(紹介者:吉田)

それでは、次回もお楽しみに。