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資料紹介

2022年9月28日

こんな本あります!―久喜図書館の書棚から―

こんにちは。久喜図書館です。
このコーナーでは、所蔵する図書を図書館職員がご紹介します。

書評展示写真2.jpg

さて、今月は...

■No.1■
『夢の明るい鏡 編集後記集1970.7~1981.12』(三浦雅士著 冬樹社 1984)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:914.6/ユ>

編集後記に惹かれ、詩誌「ユリイカ」のバックナンバーを集めていたことがある。
本書は、著者が1970年代に携わった「ユリイカ」及び「現代思想」(ともに青土社刊)の編集後記を再録したものである。
20代の若さで編集長を任された三浦は、75年から「現代思想」に移り、その後活躍の場を文芸評論、舞踊批評等へ広げていく。
本書の版元で、かつて文学関係の優れた出版物を刊行した冬樹社も今はない。しかし、本書及び「ユリイカ」「現代思想」はいずれも、県立図書館で手に取ることができる。

(紹介者: 蓮見 博)

■No.2■
『ことばの地理学 方言はなぜそこにあるのか』(大西拓一郎著 大修館書店 2016)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:818/コト>

「ことばの地理学 方言はなぜそこにあるのか」.jpg

ある地域で言葉がAからBへと変化する時、そこにはどんな背景があるのだろうか。
例えば、方言の東西差の一つに、東日本のナイと西日本のンなどの動詞否定辞があるが、甲府盆地では孤立して西日本の方言が話されている。その由来とは?
本書は奥深い方言の世界を、日本各地特有の文化や地形など、地理学との関係から探求する。
身近な人との対話の中でも、ふと気づく言葉の違いに、地域と言葉の関係性が見えてくるかもしれない。

(紹介者:丸山)

■No.3■

『「美の標準」(「柳宗悦全集 著作篇 第8巻」所収)筑摩書房』(柳宗悦著 佼成出版社 1890)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:750.8/ヤ>

「美の標準」.png

昨年度の柳宗悦の記念展「民藝の100年」に、柳の美の基準を知ることができる著作として紹介されていた。
収録本を探したが中々見つからない。
それもそのはず。焼き物や書など種の工芸品2点を比べて批評する雑誌連載は、「美しからざるもの」とされた高名な芸術作品の「所蔵家の迷惑を考え」1年で中止に。再録もされなかったという。世間的な価値を物ともしない辛口批評は実に面白い。
無銘の実用品である「民芸」の美の秘密を知りたい方は、是非。

(紹介者:小西)


それでは、次回もお楽しみに。

2022年7月27日

こんな本あります!―久喜図書館の書棚から―

こんにちは。久喜図書館です。
このコーナーでは、所蔵する図書を図書館職員がご紹介します。

TenjiFukei20220727.jpg

さて、今月は...

■No.1■
『教養の日本美術史』(古田亮編著 ミネルヴァ書房 2019)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:702.1/キョ>

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日本美術のこれまでの歩みを考えた時、それは常に文化であり、政治であった。

作品は時代を映す鏡であり、作者は作品の中で生き続ける。本書は日本美術史の通史を時代ごとに詳細に解説した入門書である。美術史と言うと覚える事が多いと思いがちであるが、本書は読者がその関心に応じて各作品への興味を広げられるような構成となっている。

豊富な図鑑と分かりやすい解説で、日本美術史の魅力を存分に味わうことのできる一冊!

(紹介者: 尾崎)

■No.2■
『極光のかげに(冨山房百科文庫1)話』(高杉一郎著 冨山房 1977)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:916/キ>

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1945年8月9日、ソビエト(現ロシア)は日ソ不可侵条約を破棄し旧満州に侵攻した。その後、約57万5千人の日本兵等を強制的にシベリアに抑留し、鉄道建設などの労働を課した。

これは、極寒の地イルクーツク捕虜収容所での体験記である。当時のスターリン社会主義体制を背景に政治局員、将校やロシア人女性との交流を内面から描いている。

著者は4年後に復員したが、5万5千人が死亡した。戦争がもたらすものは何かを問いかける。

(紹介者:前野)

■No.3■
『蓬州宮嶋資夫の軌跡』( 黒古一夫著 佼成出版社 2021)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:910.268/ミヤ002>

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あとがきや年譜を読んでみてほしい。1930年、宮嶋資夫(1886-1951)は臨済宗本山天龍寺に入門する。

45歳。妻子もいて、週刊誌や文芸誌、新聞で小説や随筆を、「赤い鳥」では童話を発表し、ファーブル昆虫記の刊行に翻訳者として関わるような「流行作家」の宮嶋は、なぜ出家したのか。

著者はこの問いに焦点を当てながら、1人の作家の戦いを浮かび上がらせている。読めばわかる。この評伝は、誠実な仕事だ。


(紹介者:YM)

それでは、次回もお楽しみに。

2022年7月5日

こんな本あります!―久喜図書館の書棚から―

こんにちは。久喜図書館です。
このコーナーでは、所蔵する図書を図書館職員がご紹介します。

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さて、今月は...

■No.1■
『明治生まれの日本語』(飛田良文 著 淡交社 2002)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:810.26/メイ>

書影2(明治生まれの日本語_関).jpg

言葉は時とともに移り変わる。本書では、現在使われている日本語の中から「東京」「ぽち」「家庭」など明治時代に造られた新語を取り上げ、その事情や背景を紹介している。

言葉の誕生は、物事のはじまりとつながっている。『太政官日誌』などの史料や当時の辞典を引用した解説により、事物起源を知る読み物としても楽しめる。

さて、「恋愛」の項にはなんとあるだろう。答えは本書の中に。

(紹介者: 関)

■No.2■
『日本の名随筆 別巻70 電話』(中野翆 編 作品社 1996)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:914.6/ニ>

書影(電話).jpeg

最近、仕事以外であまり電話していないなあと思って、手に取ったのがこの1冊。

本書は、電話を切り口に集められた、35編の随筆集である。文筆家やイラストレーター、俳優に電話相談員など、様々な職業の方の電話との関わり方が短い文章で書かれており、テンポよく読み進めることができる。

編者が意図したわけではないのに、電話嫌いの心情をつづったエッセイが大半になってしまったというのが可哀想で面白い。

(紹介者:T)

■No.3■
『楽しい美術本ガイド』(美術手帖編集部 編 美術出版社 1994)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:703.1/タ>

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「美術の好きな読書家のために」―表紙にはそう記されている。

当時、今よりもっと「美術の好きな読書家」であった私は、偶然この本と出会った。それからもうすぐ20年近く。今もこの本は、自宅の本棚にある。

大学教授や美術の専門家による「推し」の美術本紹介の部に加え、美術史の各時代やジャンルごとの基本図書など、情報量もたっぷり。すでに絶版の本もあるけれど、ぜひとも図書館を利用して沢山の美術本と出会っていただきたい。

(紹介者:吉田)

それでは、次回もお楽しみに。

2022年6月16日

除菌した布絵本をお届けします!

文字を読むのが苦手な子どもにも、絵本を楽しんでほしい。

楽しく遊びながら、手先の訓練もしたい。

子ども一人でも読める絵本があったらいいな。

そんなお悩みをお持ちの先生方、「布絵本」を使ってみませんか。

布絵本は、フェルトなどの布で作られた手作りの絵本です。

やさしい手触りはあたたかみがあり、あざやかな色使いで目にも楽しいだけでなく、ひもやファスナー、ボタンなどを使って""を動かしたり、取り外したりすることができるのが特徴です。

指先を使った作業などを通し、遊びながら創造力・観察力・動作能力が培われるので、さまざまな障害のある子どもたちに喜ばれています。

障害のある子どもたちに、読書の楽しみを伝えるため、県立久喜図書館では、特別支援学校(学級)や障害児(者)福祉施設に、布絵本の団体貸出を行っています。

(個人の方への貸出は行っておりません)

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さて、この素敵な布絵本ですが、布絵本は返却ごとにオゾンで消毒しています。

今年度、布絵本の消毒用BOXを新調いたしました!

こちらです。

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大きい!これはたくさん入りそうです。

紫外線照射後、オゾンで除菌してくれます。

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箱の中に布絵本を、広げて、広げて。可愛いおばけがこっちを見ていますね。

ふたを閉めて、スイッチオン!

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100分後、除菌完了!

心なしか、おばけもすっきりした顔をしています。

毎回パーツが揃っているかを確認し、キレイに除菌してからお送りするので、安心して利用してくださいね。

布絵本の貸出は無料で、貸出期間は3ヶ月です。

県内全域をカバーする図書館協力車によって、お近くの市町村立図書館までお届けいたします。

詳しくは、「手作り布絵本貸出案内・布絵本リスト」のページをご覧ください。

https://www.lib.pref.saitama.jp/guidance/spnd/nunoehon-annai.html



おまけ

よいしょ

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ぼくには ちいさかったみたい

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2022年5月27日

こんな本あります!―久喜図書館の書棚から―

こんにちは。久喜図書館です。
このコーナーでは、所蔵する図書を図書館職員がご紹介します。

書評コーナー画像

さて、今月は...

■No.1■
『歴史に気候を読む』(吉野正敏 著 学生社 2006)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:451.8/レキ>

「歴史に気候を読む」の画像

歴史を変えてきたのは、いったい何だろうか。偉人か英雄か。それとも戦争や革命か。もちろんそれらは間違いないが、気候もまた歴史を変える大きな要因となる。

本書では、気候の変化が歴史にどのような影響を与えたのか、孫子の兵法や北欧のヴァイキング、日本では川中島の合戦など、古今東西16の事例を挙げ紹介している。

当時の自然環境を想像してみるのも、歴史の新しい楽しみ方かもしれない。

(紹介者: 小林)

■No.2■
『語感トレーニング』(中村明 著 岩波書店 2011)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:810/コカ>

「語感トレーニング」画像

昨今、文字だけのやり取りが多くなった。表情や声色で微妙なニュアンスが伝えられないからこそ、伝え手も受け手も言葉のセンスと感受性が問われる。本書は、55個の問題を通じて学びながら、日本語における似て非なる言葉の意味やニュアンスの微妙な違いなど、思いを正しく授受するための「語感」を研ぎ澄ますための本である。例えば、「快調」「順調」「好調」一番調子がいいのはどれ?メール、SNSが当たり前の今、必読の1冊。

(紹介者:東)

■No.3■
『暮らしのなかの左右学』(小沢康甫 著 東京堂出版 2009)

<所蔵館:久喜図書館 請求記号:404/クラ>

暮しのなかの左右学

朝顔は右巻き、スイカズラは左巻き。植物の蔓の巻き方は遺伝的に決まっているという。エスカレーターの立ち位置は地域により左右が異なり、衣服の襟の重ね方は時代で変遷している。

本書は様々なジャンルの「左右」について、豊富な資料に基づいて考察している。自然現象から文化まで、「左右」が決まるのに多くの理由があって興味深い。身の回りの「左右」について、誰かに話したくなる一冊。

(紹介者:大島)

それでは、次回もお楽しみに。