2012年6月14日
陸前高田市立図書館 資料救済ボランティアに参加しました
お久しぶりです。久喜図書館の神原&佐竹です。
6月3日(日)~6月5日(火)、盛岡に行ってきました。
陸前高田市立図書館の郷土資料救済支援活動のためです。
陸前高田市立図書館は、東日本大震災による津波で建物が全壊し、蔵書約8万冊が全損、全職員が犠牲となりました。
現在、被災した資料の中から郷土資料を救済する活動が続けられています。
この支援活動は、陸前高田市教育委員会の要請を受けて、岩手県立図書館が実施しています。
第1期の活動として、今年3月、陸前高田市立図書館から郷土資料約500冊が運び出され、さらに購入や寄贈による再入手が不能なもの約260冊が選別されました。
(参考)第1期活動記録
被災地支援レポート3「陸前高田市立図書館資料レスキュー活動に参加して」(日本図書館協会Webサイト)
私たちが参加した第2期の目的は、第1期で選別された郷土資料に対して、応急処置(乾燥・ドライクリーニング・殺菌)を施し、今後の作業につなげることです。
第2期は、盛岡大学、国立国会図書館、日本図書館協会が協力しました。
神原と佐竹は、日本図書館協会Help-Toshokan図書館支援隊の修理ボランティアとして参加しました。
作業は、岩手県立博物館の車庫前の屋外スペースをお借りして行いました。

〈岩手県立博物館・正面〉

〈同館・車庫前〉
■被災資料の状況
津波被害から1年以上が経過してもまだ湿り気があり、泥汚れ、カビ、変形・破損など、劣化がみられました。

〈汚れと傷みが激しい〉

〈カビが発生〉
■作業前の準備
カビを吸い込まないように、防塵マスク、防塵メガネ、防塵服、キャップ、手袋等を装着。
万全の対策をして作業にのぞみます。
晴天のもと、完全防備での作業は息苦しく、暑く、根気がいるものとなりました。
カビアレルギーや体調がすぐれない人は、作業に従事できません

〈暑い...。〉
■作業の内容
カビが発生した資料を扱うため、作業は充分換気できる風通しのよい屋外で行います。
作業時間は、1日目現地到着後11:00~17:00、2日目9:00~17:00、3日目9:00~16:00となりました。
簡単に作業の内容をご紹介します。
(1)乾燥
本文ページのところどころに吸水紙を挟み込み、風がページに当たるようにして乾燥させます。

完全に乾ききる前に貼りついたページを1枚ずつ丁寧に開きます。

〈無理に剥がさないように〉
(2)ドライクリーニング
ほとんどの資料には、泥汚れがあり、のどに砂が詰まっていました。
のどの砂を刷毛で払う。
こびりついた泥をへらやスポンジなどで落とす。
クロスで全体を拭く。
この手順を1ページずつ繰り返します。


〈のどの砂を刷毛で払う〉

〈クロスで拭き取り〉
《1ページずつ丁寧に》
(3)殺菌
消毒用エタノールを使用して殺菌し、最後はよく乾燥させます。

〈広範囲にカビが発生している場合〉

〈作業を終えた資料の一部〉
状態が著しく悪く復元が極めて困難な資料や新たに県内所蔵が確認できた資料を除く、約170冊に対し、以上の処置を施し、一時保管用の箱に入れて今回の作業は無事完了となりました。
次の作業まで、冷凍庫で保管されます。
〈一時保管用の箱に入れて終了〉
また、復元不能資料は、国立国会図書館で被災資料救済方法の研究用として活用されることになりました。
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1冊ずつ丁寧に。1ページずつ根気強く。地道な作業です。
市の刊行物、郷土史、小学校の文集。
作業中、少しずつ綺麗にするたび、本を作ったひとたちの想いが伝わってきました。
できることを少しずつでも続けていくことが次の一歩になる、と心を新たにした3日間でした。