図書館ブログ
2018年8月22日
「がんと活(い)きる」講演会にかける想い
こんにちは。自然科学・技術資料担当です。
健康・医療情報サービスの担当部署である我々は、この夏に開催するがん関連のイベント準備に熱い毎日を過ごしています。
久喜図書館では毎夏、がん関連講演会と関連資料展、がん患者会パネル展示、図書館でがん相談、という沢山のがん関連イベントを行っています。
今年の講演会のテーマは、「AYA(あや)世代」AYA世代の年齢については、定義によって若干の幅がありますが、がん患者のうちおおむね15~39歳ごろの方が、AYA世代にあたると言われています。この年代は、小児がんと成人がんの中間に位置し、様々なライフイベント(進学、就職、結婚、出産等)がある世代にも関わらず、全体から見れば患者数が少ないこともあり、患者さん自身だけでなく、一般、医療関係者にも十分な情報があるとは言えない現状があります
講演会担当の私たちの部署も、おおむね(!)AYA世代。とても身近な話題です。
今回の講演者は、がん保険のCMでも素敵な笑顔を見せているNPO法人がんノート代表理事の岸田徹さんです。がんノートは、がん経験者によるがん患者のためのインタビューWeb番組で、がん患者のリアルな情報をインターネットを通じて発信しています。
インターネットでの配信なので、入院中の患者さんもベッドの上から見ることができます。
岸田さんは、25歳のときと27歳のときにがんを経験されました。事前に拝見した体験談によると、治療で貯金を使い果たし、1日1食だったときもあるといいます。
今年の講演会の講師に岸田さんのお話をぜひお願いしたいと思ったのは、ウェブサイトで拝見した岸田さんの活動の様子が、本当にイキイキしておられたからです。
講演会を行う際には、タイトルを決めなければならないのですが、岸田さんが来てくださることになった時、すぐにタイトルが頭に浮かびました。「がんと生きる」ではなく「がんと活きる」。
「生きる -人・動物などが命を保つ。生存する。」
「活きる -そのものがもっている本来の機能・能力が発揮される。有効に働く。」
(『大辞林 第三版』三省堂)
講演会担当の私は自問します。私は、自分の人生を、命を、「生きて」いる? それとも「活きて」いる? 「活きています」と胸を張っていえるといいなあ・・・、そんなことを考えながら、岸田さんのお話を伺うことのできる講演会を心待ちに今日も準備にはげみます。
ぜひ皆さんも、25日岸田さんのお話を一緒に聞いてみませんか? ご来場こころよりお待ちしております。
2018年8月17日
障害者サービス用資料の展示・体験会
みなさんこんにちは 障害者サービス担当です。
私たちは活字による読書が困難な方へ、点字・録音資料の貸出や、対面朗読などのサービスを行っています。
「ああ。目の見えない方へのサービスか。」と思った方、✋ちょっと待ってください。目が見えていても、視野が狭い、文字がゆがんで見えてしまうなど、本をそのままでは利用しにくい方もサービス対象です。文字を読むことができなくても、例えばマルチメディアデイジー(耳で音声を聴きながら画像やハイライトされた文字を目で追う)で読書をすることもできることを、多くの人に知っていただきたいと思っています。
そういうわけで機会があると障害者サービス用資料の展示・体験会を行っています。7月27日の埼玉県学校図書館研究大会でも会場前スペースをお借りして、多くの学校図書館関係者へPRをさせていただきました。
展示ではマルチメディアデイジーのほか、こんな資料をご紹介しました。
- リーディングトラッカー(両隣の行を隠したり線を表示したりして、読みたい行に集中できる読書補助具。)
- LLブック(やさしく読める本。写真やアイコン、短い文章で書かれている。)
- ユニバーサル絵本(点字つき絵本。見える人も見えない人も一緒に楽しめる。)
- 布絵本(ひもやファスナー、ボタンなどで絵を動かしたりはずしたりできる。)
どの資料も「知っているけれど見るのは初めて」「こんな便利なものがあるとは知らなかった」「学校でも使えそう」といった反響があり、児童・生徒が「読書」を楽しむのに、少しはお役に立てる情報が伝わったかなと自負しています。
今回ご紹介した資料は、個人で利用するには障害者サービスの登録が必要だったり、学校などの団体への貸出のみだったりするものもあります。ご興味がありましたら、ぜひ図書館までお問合せください。誰もが「読書」を楽しめるよう、図書館もお手伝いをしたいと日々願っています。
2018年7月25日
ビジネスライブラリカフェ2018を開催しました。
こんにちは、ビジネス・産業支援担当です。
7月8日(日曜日)、アズ熊谷6階にあるクマガヤプレイスホールで「ビジネスライブラリカフェ2018 どうすればベトナム人材・企業の良さを引き出せるか 訪越経験豊かな専門家から学ぶベトナム経済」を開催しました。海外進出先として人気の高いベトナムについて楽しく学ぶカフェスタイルの講座は昨年度につづき2回目。政策研究大学院大学教授の大野健一先生から23年の経験から見たベトナム経済や人々についてお話しを伺いました。
埼玉県国際交流協会からお借りした、アオザイを着用し挨拶をするカフェオーナー(館長)
参加者はベトナム人ボランティア1名を含む22名。南北に細長いベトナムを天秤棒に例え、ハノイとホーチミンとその他都市の特徴のなど概略から始まり、1995年頃から現在までのベトナムの様子、日系企業の直接投資の流れ、事業環境、さまざまな問題を解決してきた日越共同イニシアティブの話し、そして優良な工業団地の例など、、、中小企業の立場に立った具体的な進出のポイントを解説してくださいました。ハノイの地価が東京郊外と同じくらいになっていることは驚きでした。
また、大野先生撮影の写真をたくさん拝見し、いくつかの育成機関の標語や厳しい訓練の様子が印象に残りました。「ベトナムが勤勉・低賃金で成長する時代は終わりつつある」とし、アジア経済全体・世界経済全体から見据えた大野先生ならでは視点から、ベトナムの光と影をうかがい知ることができました。もっと聴きたい!と思うあっというまの90分でした。
1995年のベトナム(大野健一先生撮影)
2018年のベトナム(大野健一先生撮影)
休憩時間には、隣接のカフェ「プレイスコーヒー」様のご協力で、ベトナムのコーヒー、エチオピアのコーヒー、ベトナムのお茶やお菓子を試飲・試食。
スペシャリティコーヒーを説明するプレイスコーヒーの梅澤店長。
続いてのワークショップでは、3-4人のグループでの交流の時間。時間が押してしまい十分な時間がとれませんでしたが、各グループから1問ずつのご質問に大野先生から回答していただきました。
最後に、埼玉県立図書館のビジネス支援サービスと海外資料サービスについての説明をさせていただきました。ご参加の方へのアンケートによると、回答者(14人)のうち、2人が県立図書館に行ったことがない、7人がビジネス支援サービスについて知らなかった、9人が海外資料サービスについて知らなかった、と回答していらっしゃいました。今回図書館を飛び出して、サービスをPRしたかいがありました。
会場後方では、大野健一先生の著作やベトナム経済を知る本、ビジネス日本語を学ぶ本、コーヒーやお茶についての本、データベース紹介パネルを展示しました。
図書館のビジネス支援室でも関連ミニ展示を実施していましたが、カフェ終了後の7月10日からは、会場後方で展示していた資料の一部を追加して、7月29日(日曜日)まで、「多様性が拓く企業の未来」を開催しております。どうぞごらんください。
埼玉県立熊谷図書館1階のビジネス支援室では、世界800万社の会社情報を収録する「コンパス企業情報検索サービス」、
海外進出企業などを調べられる「東洋経済デジタルコンテンツ・ライブラリー」、日本経済新聞など、新聞記事で海外展開の最新情報を得たい場合に便利な「日経テレコン21」などが、無料で使えます!
埼玉県立図書館にビジネス支援サービスについてもっと知りたい方は「ビジネス支援サービス」のご案内をごらんください。
埼玉県立図書館の多文化サービスについてもっと知りたい方は「海外資料サービス・海外資料コーナーのご案内」をごらんください。
当日ご参加の皆様、運営にご協力の皆様、ありがとうございました。
2018年6月19日
16mm映写機技術講習会を開催しました!
こんにちは。県立熊谷図書館視聴覚資料・図書館振興担当です。
去る6月3日(日)、6(水)に平成30年度「16mm映写機技術講習会」が開催されました。
今回のブログでは講習会の様子を紹介するとともに、そもそも16mm映写機とは? 16mm映画フィルムとは? なぜ講習会が必要なのか? といったことにも触れてお話できればと思います。
みなさまは16ミリフィルム、16mm映写機と聞いてすぐその姿を思い浮かべることができるでしょうか。
参考に下に写真を載せておきます。
▲映写機はこちら(北辰X280)
▲フィルムがこちら(『半落ち』のフィルム。120分のものは大リール三本にもなります)
じゅうろく・ミリ【十六ミリ】一六ミリメートル幅の映画・写真フィルム。また、それを使用する撮影機・映写機。
[広辞苑 第7版 2018年1月12日発行より引用]
広辞苑 第7版にはこのように記されていました。8ミリフィルムや32ミリフィルムと同じように幅が16ミリのフィルムを16ミリフィルムといい、それ専用の映写機があるというわけです。
▲幅が16ミリなので16ミリフィルム
家庭用再生機がビデオデッキからDVDやブルーレイディスクプレイヤーに変わり、映画館での上映もほぼデジタルに変わったと聞きます。
しかし、団体が非営利かつ来場者から入場料を徴収せず映画会を開こうという場合、16ミリフィルムほど有効な視聴覚資料は他にないと思われます。なぜなら、上映を目的として制作され、権利者の許諾を得ている資料だからです。(ちなみに個人所有のDVDやレンタルショップで借りたDVDなどで無断で映画会をすると著作権侵害とみなされる可能性があります。ご注意を!)
なお、県立図書館の16ミリフィルムの所蔵は4000本以上あり、劇映画、郷土資料、子ども向けアニメーションなどさまざまなジャンルのフィルムを所有しています。図書館でもDVDの貸出を行っていますが、それはあくまで個人への貸出のみが認められた資料であり、団体に貸出すことができ、かつ上映が可能なものというとまだまだ充実しているとはいえないのが現状です。
このような事情があり、フィルムの製造そのものが終了した現在においても、16ミリフィルムの需要はまだまだあるのです。今年度は図書館や公民館、幼稚園などさまざまな団体の方が受講してくださりました。二日間の受講者の合計は27名。例年、非常に多くの応募があり、受講できない方がいらっしゃいましたが、今年は定員を12名から24名と倍増することができました。
講習会を無事修了した方には、県立図書館所蔵の16ミリフィルムや映写機、あるいは各視聴覚ライブラリー所蔵のフィルムを借りて上映会ができる「16mm映写機技術講習会修了証」が交付されます。
映写機やフィルムは高価かつ繊細なもので、その扱いには注意が必要です。(過去には映写技師と呼ばれる職業もありました。)誤った使い方をすると上映中にフィルムが切れる、フィルムに傷をつけてしまう、映写機が壊れるといったことが十分に起こりえます。
こうしたトラブルが起きないように、あるいは問題が発生したときに適切な対処ができるような知識を身に付け、無事に映画会を開いてもらうための講習会が、今回の16mm映写機技術講習会というわけです。
前置きが長くなってしまいましたが、果たして、受講者の皆様は無事に講習会を終え、修了証を獲得することができたのでしょうか。
講師は北辰映像株式会社 樋口一雄様にお願いしました。
最初の一時間は、実際の映写機の操作に入る前に、フィルムに関することや映写機の構造・操作についてお話を頂きました。
▲実際の映写機を用いて、映写機の構造や映写の原理について説明して頂きました。受講者の皆様も回りに集まって熱心に説明を聞いています。
その後は実習に入ります。グループごとに各一台の映写機を用いて、実際にフィルムを装填して映写の練習です。
フィルム通路の清掃、空転試写、フィルムの装填、映写、映写後のフィルムの巻き取りなど覚えることが多く、皆様最初は四苦八苦していらっしゃるようでした。
▲目合わせつまみで、フィルムがしっかり映写機に装填されているか確認しています。映写中のトラブルを防ぐための大事な操作です。
実習の途中では、フィルムが切れた時どうするのかというお話もあり、実際に切れたフィルムをつなぐ練習も行いました。
▲セロハンテープではなく、フィルム用の特殊なテープを使います。
昼休みを挟み、グループ同士相談しながら回数を重ねていくと徐々に操作になれてきた様子でした。
しかし、この後にテストを控えており、テストでは何も見ずに1人で全ての工程をこなさなくてはなりません。合格点は90点以上です。
▲テストの様子です。グループごとに受講者同士が採点しあいます。
実習中は慣れていた人も工程の抜けがあったり、思わぬミスをしてしまうのがテストです。みなさま、修了証を無事に持ち帰ることができるように、緊張感を持って最後まで取り組んでいました。
その結果、無事に二日間とも全員テストに合格し、修了証をお渡しすることができました。
受講者のみなさま、大変お疲れ様でした。
16mm映写機技術講習会は来年度も同時期に開催する予定です。映画会を開いてみたい団体様のご応募をお待ちしております。
2018年6月13日
資料展「平成を振り返る。」開催中!(熊谷図書館)
こんにちは
熊谷図書館 人文・社会科学資料担当です。
最近は曇りや雨の日も多く、本格的に入梅という感じになってきましたね
今年は5月から暑い日が続き、熊谷では30度を超えることもありました。そして、梅雨が明ければいよいよ夏の到来です
今年の夏の暑さが、今から思いやられます......
ですが、今年の夏が少し特別なのは、暑さだけではありません。
そう、何と言っても今年の夏は「平成最後の夏」です
先日、天皇陛下の生前退位を認める特例法が参院本会議で可決されました。これに伴い、来年の2019年5月1日に元号が改められます。つまり、「平成」の時代は1年も残されていません。あなたがこのブログを見てくださっている今日の日も、来年には「平成」31年ではなくなっているのです
あなたは、平成の時代にやり残したことはありませんか?
この30年間のこと、きちんと思い出せますか?
現在、熊谷図書館では、資料展「平成を振り返る。」を開催しています
平成が終わると聞いてどきりとしたあなた、この機会に是非、図書館で平成の時代をタイムトラベルしてみませんか
さて、長かった前置きも終わり、ここからは展示の紹介です。
早速ですが、担当イチオシのコーナーを紹介しますよ
こちらは、本展示の目玉コーナー、「平成ベストセラーコレクション」です
ここではその名の通り、平成元年(1989年)から平成29年(2017年)までの年間ベストセラー本が一堂に会しています。
ベストセラー本は、いわばその年を象徴する本です。ずらりと並んだその本たちは、「平成」という時代の流れそのものと言っても過言ではありません。
どうですか? 表紙を見ているだけで懐かしい気持ちになりませんか?
でも、懐かしの資料はこれだけじゃないんです
埼玉県立図書館で所蔵しているのは、図書だけではありません
話題になったアーティストのCDや映画・ドラマ化された小説、時代を映し出す雑誌や新聞など、あらゆる方向から「平成」を象徴する資料を集めたコーナーもあります。
担当自身、「うわぁ懐かしい!」と言いながら資料を並べておりました
でも、平成の時代は、決していい出来事ばかりではありません。
多くの事件や自然災害に見舞われた時代でもありました。
そして今でも、その爪痕は至る所に残されています。
これらの事件・事故は、時代が変わっても決して忘れてはいけないものです。
1日も早い復興や今後の対策を考えるためにも、あの日のことを資料と共に振り返りましょう!
このように、本展示は平成の時代を懐古しながら、未来への展望も深められる展示となっております
終わると思っていなかった、いつまでも続くような気がしていた「平成」の時代。
もちろん、まだ実感は湧きづらいかもしれません。
しかし、夏は気だるい暑さと共に、間違いなくやってきます。夏が終われば秋が来て、冬が来て......。
やがて季節は巡り、「平成の終わり」がやってきます。
「平成」をきちんと見送るためにも、「平成」を未来に語り継ぐためにも、ここで1度立ち止まって「平成を振り返って」みませんか?
資料展「平成を振り返る。」
期間 5月26日(土)~7月29日(日)※図書館休館日を除く
場所 埼玉県立熊谷図書館 2階ロビー
皆様の御来館をお待ちしております