図書館ブログ
2011年12月8日
熊谷図書館 資料展「マヤ文明と終末思想-マヤ暦から世界の終末思想まで-」
一説によると、2012年には世界が滅びるそうです(^_^;) それを真に受けて「滅びる前に展示しちゃえ!」というわけでもないですが、せっかく話題になっているので、今回は「マヤ文明」をとりあげてみました。
今回は特に「マヤ暦」について詳しく解説してみました。マヤ暦には大きく分けて「ツォルキン」「ハアブ」そして「長期暦」というものがあり、それぞれが関連することで歴史的な事実を記録することができるようになっています。
これがツォルキンです。
13までの数と2 0種類の日を組み合わせて、260日で1巡します。20種類の曜日がある1ヶ月13日のカレンダーと考えると、イメージしやすいかも知れませんね。
われわれのカレンダーに一番近いのが、このハアブです。
1ヶ月20日間で、19ヶ月で1年になります。19月だけが5日間で終わって、全部で365日。閏年はありません。
実際には、ツォルキンとハアブは組み合わされて使われることが多く、これを「カレンダー・ラウンド」といいます。
こうすると、ある日から数えて、ツォルキンとハアブがまったく同じ日が来るのは、約52年後。十干十二支で「丙午(ひのえうま)」の年(60年に1回)が回ってくるようなものでしょうか。
そして、今回「マヤ終末予言」として最も注目を集めている暦がこの「長期暦」。左の例は「5バクトゥン4カトゥン3トゥン2ウイナル1キン」と読みます。「バクトゥン」とか「カトゥン」というのは、われわれの数字で言う「億」とか「万」みたいな桁のことです。ちなみに、この日は紀元前3144年8月13日から数えて749,921日目を示します。大体2,053年後ですから、これでもまだ紀元前1091年ごろ。気が遠くなりますね...。
マヤの長期暦は一番上の桁の「バクトゥン」が13になった時に終わるとされており、その日(「13.0.0.0.0」と書きます。)が西暦では2012年12月23日ごろ。というわけで、マヤ文明への神秘幻想とこの暦が重なって、「2012年12月に世界滅亡」という話になります。
果たして本当に滅亡が来るのか、神ならぬ一図書館屋にわかる筈もありませんが、だからと言ってパニックに陥ったりするような無様な真似は避けたいものです。
「たとえ明日世界が滅びようと、私は今日リンゴの木を植えよう。」(マルティン・ルター)
資料の保存と提供に徹しつつ、世の中の動向をじっと見守る図書館にとっては、この姿勢が一番しっくりくるように僕には思えます。
もし気が向いたら、見に来てください。お待ちしています。
・展示期間:平成23年11月26日(土)
~平成24年2月23日(木)
・会場:埼玉県立熊谷図書館 2階ロビー
担当:(熊谷)ふじ
2011年12月6日
パネル展示 本を治す
久喜図書館では、パネル展示「本を治す ~震災からの小さな復興~」を開催しています
東日本大震災により、図書館では多くの本が落下しました。
震災後は、散乱した本を元の場所に戻すため、職員が復旧作業にあたりました。
(並べ直しながら棚に戻します)
落下の衝撃に耐えられず、壊れてしまった本もたくさんありました。
(背が割れてしまいました)
今回の展示では、久喜図書館の被災資料に多くみられた症状から、壊れた本の特徴と、実際に図書館で行っている修理方法を、パネルでご紹介します。
実際に使用している材料や道具も展示していますので、あわせてご覧ください。
(主な材料&道具類)
修理は、コツコツと地味で地道な作業。
時間はかかりますが、一冊ずつ丁寧に心を込めて仕上げています。
修理をすれば、壊れて利用できない本も、またよみがえらせることができます
(表紙がとれた本を修理中。未来に残すために...)
展示期間は12月27日(火)までです
皆さまのご来場を心よりお待ちしております。
2011年12月1日
図書館資料の「装備」について
こんにちは。
浦和図書館資料整理担当です。
11月9日の当ブログにて資料収集担当から、資料を集めている様子の紹介(http://libprefsaitama.seesaa.net/article/234324408.html)がありましたが、集められた資料はそのまま閲覧室の書架に並べられるわけではありません。資料収集担当が集めた県立図書館3館分の図書(外国語図書は除く)は「整理」の作業をして各館に送られることになります。
「整理」の作業には、資料が円滑に検索され利用されるように目録データを作成する作業と、資料に蔵書印を押したりバーコードを貼る等の図書館の資料として管理するための「装備」の作業があります。
今日はその「装備」の作業を紹介します。
主な「装備」用品です。
「装備」の基本的な作業には、「押す」「貼る」「覆う」の三つの作業があります。
まずは「押す」からです。
図書館の所蔵資料であることを表す「蔵書印」を奥付に押します。
「小口印」を資料の「地」の部分に押します。
次に「貼る」です。
貸出・返却時にスキャンする「バーコード」を「館名シール」と組み合わせて、資料の表紙または裏表紙の左下部分に貼ります。
資料の所在位置を表す請求記号を印字した「ラベル」を背表紙の下の部分に貼ります。
最後に「覆う」です。
図書館の資料を永く良好な状態でご利用いただくために、利用の多い資料には透明なフィルムでコーティングします。
そのほかに正誤表の貼付や付録の添付の作業が加わることもあります。
11月9日のブログで紹介されたように「埼玉資料」の場合、通常の形態の図書ではない資料も数多く受け入れています。
リーフレットやホッチキス止めの資料、これらをこのまま書架に並べたのでは他の資料の中に埋もれたり、傷んだりしかねません。このような資料は通常の図書とは違った装備をします。
リーフレットは封筒に入れます。
封筒の端にタイトルを印字したシールと請求記号ラベルを貼ります。
ホッチキス止めの資料はフラットファイルに綴じます。
図書館の資料は、資料の形態に応じて「装備」されて書架に並ぶことになります。
皆様のご利用をお待ちしています。
2011年11月30日
「健康・医療」な日々(1)
久喜図書館自然科学・技術資料担当です。当館の「健康・医療情報コーナー」に新しい図書が増えていることにお気づきでしょうか。久喜図書館では、国平成22年度の補正予算「住民生活に光をそそぐ交付金」(知の地域づくり)を活用して健康・医療関係の図書の充実を図っています。今まで購入できなかった入門書や専門書が増えています。
たとえば、こんな本や
こんな本も・・・。
11月末時点で、約1,500冊の図書が受入されて棚に並べられています。今後は闘病記の本なども受入予定です。是非一度手にとってご覧いただき、必要な資料が見つからない場合は、案内・相談カウンターの職員に声をおかけください。
さて、こうした図書受入の裏側(!)について少しだけご紹介します。健康・医療関係の図書約1,500冊。厚さにすると何cmだと思いますか?1冊が仮に1cmだとして(もっと厚い本もたくさんあります)、1,500cm。ということは15mになりますね。 これだけの本を新たに棚に配置すると、それまであった古い図書は書庫にしまうことになります。たとえば、旧版(第3版が受入されれば、第2版など)や、利用の落ちた図書など。
システムの処理をし、書庫のラベルを貼り、いざ書庫へ。県立図書館では久喜がいちばん新しく建設されましたが、それでも開館後31年が経過しています。当然書庫も満杯に近い。そこで・・・。
書庫本のうち、古い本は範囲を決めて例外的に別の場所へ。あまりやりたくない作業ですが、背に腹は代えられない。棚が少し空いたところへ今回書庫入れすべき本を分類記号どおりに収めていきます。
県立図書館では、基本的に古い本でも廃棄はしないので、新しい本が増えるということは、こうした作業が日々発生するということになります。 さてさて。「健康・医療情報コーナー」には、今回ご紹介した図書の他にも、雑誌や担当が作成した資料、医療機関のパンフレットなど、お持ち帰りいただける資料も併せて皆様をお待ちしております。
来年1月28日(土)には、食と健康に関する講演会を開催します。是非皆さんご参加ください。
健康・医療に関する資料のことなら、まず久喜図書館へお問い合わせください。
担当一同、お待ちしています。
2011年11月24日
布絵本 あれこれ
久喜図書館の子ども読書推進担当から、今回は、布絵本についてご紹介します。
あまり知られていませんが、県立図書館では、障害をもつ子どもたちへのサービスのひとつとして、
触って楽しめる 布絵本 を貸出しています。
布絵本ってなあに?
布を主な素材とした絵本です。
ひもやファスナー・ボタン・スナップなどが使ってあり、
はめる・あわせる・ほどく・むすぶなど
絵を動かして、指先の訓練をしながら遊ぶことができます。
たとえば、どうぶつの顔をパズルのように組み合わせたり
『どうぶつパズルII』のぐちみつよ作
誰もが知っている童謡に絵にあわせて、動きをつけたり
『うたのえほんII』のぐちみつよ作
様々なハンディキャップをもつ子どもたちが、
それぞれの力にあわせて、達成感をもちながら楽しめるよう工夫されています。
だれが作っているの?
久喜図書館で所蔵するほとんどの布絵本は、
布絵本製作ボランティアのグループ「つくし」のみなさんが、1点1点、丁寧に製作したものです。
手作業で作るので、1年間に作れるのは、3~4タイトル(各4~5冊)くらいです。
「つくし」のみなさんは、月に2回の活動日に、地道に製作を続けるほか、
年に1度、スキルアップ講座「ボランティア養成手作り布絵本講座」に参加して、
技術の研鑽にはげんでいます。
真冬なみの寒さと激しい雨の11月11日(金)に開催
講師には、布絵本をつくるボランティア「ぐるーぷ・もこもこ」の相談役であり、
オリジナル布絵本作家でもある野口光世先生をお迎えしました。
被災地の子どもたちにたくさんの布絵本や布おもちゃを届ける活動を続けていらっしゃる先生の熱意と
チャーミングな笑顔に触れ、ますます製作に熱の入るみなさん。
どうやって障害をもつ子どもたちに届くのでしょう?
布絵本は、埼玉県内の特別支援学校(学級)や児童福祉施設に団体貸出しています。
希望のあったタイトルを段ボールに箱詰めして、郵送でお届けします。
1つの団体で1回につき、8点まで、貸出期間は3か月以内です。
授業などで活用していただいたあと、また郵送で返送してもらいます。
メンテナンスが大事
普通の本よりも、もっと傷みやすく、汚れも気になる布絵本。
返ってきたら、細かいパーツが全部そろっているかを点検します。
壊れたところがあれば、「つくし」のみなさんに治してもらいます。
続いて洗濯。
水を使わない洗濯機(オゾンのエア・ウォッシュ)で除菌・消臭します。
さあ、これで次の貸出の準備が整いました。
このようにして、布絵本は繰り返して利用され、障害をもつ多くの子どもたちに喜ばれています。
まだ、活用したことのない特別支援学校や児童福祉施設で働く職員のみなさん、
ぜひ一度使ってみてはいかがでしょうか?