図書館ブログ
2024年2月7日
素話の勉強会「こぶたの会」についてご紹介します
こんにちは。久喜図書館の子ども読書推進担当です。
今回は、素話(すばなし)・ストーリーテリングの勉強会「こぶたの会」についてご紹介したいと思います。
まず、素話とは、語り手が昔話などの物語を覚え、語り聞かせることです。絵本の「読み聞かせ」や本の「朗読」とは異なり、おはなしや昔話を覚えて語るという手法です。児童サービスを行ううえで欠かせない技術であり、子どもたちに向けたおはなし会で素話を語るためにこの勉強会を行っています。
変則勤務の多い図書館の現場では、職員が同じ時間に勉強をする機会がなかなかありません。そこで、月に1度の館内整理日のお昼休みを利用して希望者を募り、素話の勉強会を行っています。この会のことを久喜図書館では、「こぶたの会」と呼んでいます。
会場は当館3階にあるおはなし室です。大きな白くまさんがいます。
まず、ろうそくに火を灯します。
火が灯ったら、いよいよ素話の始まり。
語り手はイスに、聞き手は敷かれた絨毯の上に座ります。
1月のプログラムは次の通りでした。
♪「妖精のぬりぐすり」(『イギリスとアイルランドの昔話』 福音館書店より)
♪「魔法のかさ」(『おはなしのろうそく30』 東京子ども図書館より)
ベテランの方々の語りはとても落ち着いていて、おはなしの世界に引き込まれました。
最後は通常のおはなし会と同じように、みんなでお願い事をしてから、ろうそくの火を消します。
終了後、参加者は今日の語りについて感想を書き、後日、取りまとめたノートを回覧することで学びを深めます。
他の職員の語りを聞き、自身の学びとする機会は私たち職員にとって、大切な時間です。学んだことを子どもたちに届けていきたいと思います。
「こぶたの会」は、2月も行う予定です。どんなおはなしが聞けるのでしょうか。楽しみです。
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久喜図書館では、以下の日程で子どもたちに向けたおはなし会を行っています。
【大きい子向き】 毎週土曜日の14時から14時30分
・絵本の読み聞かせ・紙芝居・素話 など
・工作会(毎月第4土曜日)
【ちいさい子向き】 毎月第2水曜日の11時から11時20分、毎月第4水曜日の11時から11時30分(親子ふれあい講座)
・手遊び・絵本の読み聞かせ など
詳細はこちらから→ 埼玉県立図書館 こども室のお知らせ・イベント
是非いらしてくださいね。職員一同、お待ちしています。
2024年2月6日
こんな本あります!―久喜図書館の書棚から―
こんにちは。久喜図書館です。
このコーナーでは、所蔵する図書を図書館職員がご紹介します。
さて、今月は...
■No.1■
『お菓子の日本語文化史』
(前田富祺著 和泉書院 2023)
<所蔵館:久喜図書館 814/オカ >
私達の生活を楽しく彩ってくれるお菓子。そのお菓子を言葉の面から深堀したのがこの本である。お菓子は五十音順の項目で配列されているので、気になる項目をつまみ食いするのもよし、完食して蘊蓄を深めるのもよし。
文中に引用されている文学作品名が巻末にまとめられているので、お菓子が登場する文学作品を食してみるのも楽しいかもしれない。
表紙や口絵のイメージに比べて中身は濃厚なので、早食いせずにゆっくりと味わいたい。
(紹介者:M.O)
■No.2■
『必勝法の数学』
(徳田雄洋著 岩波書店 2017)
<所蔵館:久喜図書館 417.2/ヒツ>
ゲームに必ず勝てる方法はあるのだろうか? この本は、必勝法の研究に没頭した20世紀の科学者たちが明らかにした原理を紹介するものである。
主に扱うのは2人で対戦するタイプのゲームで、山くずしやオセロ、サッカーのPKなど、さまざまなものを数学的に解説している。読めばゲームで負けなしになれるかもしれない。
本書によると、子どもが2人のチェスチャンピオンと同時に対戦して、片方には負けない方法があるそうだ。どんな理論か気になった方は、ぜひ手に取って確かめてみてほしい。
(紹介者:T.K)
■No.3■
『百』
(色川武大著 新潮社 1982)
<所蔵館:久喜図書館 イ>
色川武大(1929-)には、阿佐田哲也名義で『麻雀放浪記』などの作品もあるが、『百』は色川武大名義の作品である。
弟の事故から始まる「連笑」、父が母を突き飛ばしたという話から始まる「百」、退役軍人だった父の老いを描いた「ぼくの猿 ぼくの猫」、「耄碌した」父を病院に入れるかどうかという「私」の葛藤が描かれる「永日」が収録されている。
表題作「百」では、老いた父親が見る幻や幻聴が、作品の終わりに置かれている。紙おむつの話など現実的な描写が続いていたはずなのに、読後には、不思議と幻想的な余韻が残る。静かで、短くて、美しい小説だと思う。
(紹介者:Y.M)
それでは、次回もお楽しみに。
2024年1月31日
【 にほんに ひっこしてきた みなさんへ 】 にほんの ひとと ともだちに なろう
こんにちは!
くまがやとしょかんです。
きょうは、ほかの くにから にほんに ひっこしてきた みなさんに むけて おはなしします。
にほんじんの ともだちは できましたか?
みなさん、にほんの せいかつには なれて きたでしょうか。
にほんじんの ともだちは できましたか?
「つかう ことばが ちがう ひととは、なかよく なるのが むずかしい」
と おもう かもしれないですね。
でも そんなとき、つかう ことばが ちがう ひとたちが、なかよく なれる ものが あります。
それは なにかと いうと・・・
なんねんか まえの おはなし
わたしは、なんねんか まえ、ほかの くにから きたばかりの ひとと、すぐに なかよく なった ことが あります。
つかう ことばが ちがったのですが、
わたしは そのひとが いた くにの どらまを みていました。
それを つたえたくて、どらまで ながれる おんがくを うたったんです。
すると、かれは すぐに なんの どらまか きがついて、いっしょに うたって くれました。
それが きっかけで、なかよく なれたんです。
わたしたちが なかよく なれる もの
わたしたちが なかよくなれる ものは なんでしょうか?
それは、しゅみ です。
すきな ほん、うた、えいが など・・・
おなじ しゅみの ひとに あえた ときは、とても たのしいですよね。
ことばが わからなくても、「しゅみの ことを はなしたい」という きもちで、がんばれます。
* * *
みなさんは、にほんの どんなもの、どんなことが すきですか?
にほんの わたしたちに、その すきな きもちを おしえてください!
しゅみの ことは みんな、だれかと おはなし したいと おもっています。
また、わたしたちも、みなさんの くにの いろいろな たのしいことを しりたいと おもっています。
そうやって、みなさんと わたしたちが、どんどん ともだちに なれたら いいな! と おもいます。
よんでくれて ありがとう ございました。
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2023ねん 12がつ 7にち(もくようび)~2024ねん 2がつ 25にち(にちようび)
さいたまけんりつ くまがやとしょかん 2かい ろびー
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2024年1月9日
「図書館と県民のつどい埼玉2023」を開催しました
こんにちは! 埼玉県図書館協会事務局です。
12月10日(日)に桶川市民ホール・さいたま文学館にて「図書館と県民のつどい埼玉2023」を開催しました。2019年以来の会場開催、図書館と本に関わる企画でいっぱいの当日の様子をお届けします!
作家 中島京子さん記念講演「図書館で夢を見る」
直木賞作家である中島京子さんをお招きしてご講演いただきました。埼玉との繋がりや、御著書と図書館のこと、執筆のきっかけや裏話など、様々なエピソードを楽しく柔らかくお話しいただきました。ご講演の終了後には、著者のサイン会を開催しました。
中学生のビブリオバトル決勝
ビブリオバトルとは、おすすめの本を持ち寄って5分間で本を紹介し、一番読みたくなった本「チャンプ本」を参加者の投票で決定するという、スポーツのような書評ゲームです。
県民の日に予選会が行われ、22校34名の参加がありました。決勝では予選会の各班で「チャンプ本」を紹介した5名が、それぞれの本の魅力を熱く紹介。さいたま市立馬宮中学校の熊谷陽仁さんが紹介した、『空白小説』(著:氏田雄介 小狐裕介 水谷健吾/イラスト:小林ラン/ワニブックス刊)が最多票を集めて「チャンプ本」に選ばれました。
さまざまな図書館展示
公共図書館、高校図書館、大学図書館などの図書館が、活動や蔵書を紹介する展示を行いました。県内各所の公共図書館で連携した中島京子さんの著作展示や、それぞれの図書館の特徴的なコレクションなどの紹介がずらりと並びます。展示のほかにも、埼玉や図書館に関連したゲームを体験できる「図書館で楽しむボードゲーム」、大学の次世代ラーニングコモンズで提供されているレーザーカッター等の機器の体験ができる「図書館でモノづくり!?」など実際に触れて試すことの出来るコーナーも複数あり、沢山の人が楽しそうに参加していました。
こども読書活動交流集会
公益財団法人東京子ども図書館理事(元公共図書館職員)の杉山きく子さんをお招きしての「絵本の読み聞かせ講座」、東京学芸大学附属世田谷小学校学校司書の金澤磨樹子さんをお招きしての「学校図書館講座」の2講座を開催。こども読書に関わる参加者の皆さんが、実践を踏まえた講義やワークショップに取り組みました。
もちろん大人向けの講座だけではありません。おすすめ本を展示した「こどもの本のひろば」では、おはなし会と工作会を実施しました。こどもたちも夢中になって取り組んでいました。
久しぶりの会場開催でしたが、多くの参加者にご来場いただき、無事に終了することが出来ました。御参加いただいた皆様、御協力いただいた皆様、本当にありがとうございました。
なお、記念講演とビブリオバトル決勝は後日配信を予定しています。配信時には埼玉県図書館協会のウェブサイト(https://www.sailib.net)でお知らせいたしますので、ぜひそちらもご覧いただければ幸いです。
2023年12月26日
こんな本あります!―久喜図書館の書棚から―
こんにちは。久喜図書館です。
このコーナーでは、所蔵する図書を図書館職員がご紹介します。
さて、今月は...
■No.1■
『ムシの考古学』
(森 勇一/著 雄山閣 2007)
<所蔵館:久喜図書館 457.8/ムシ >
遺跡から出土するのは石器や土器ばかりでない。本著では、日本各地の遺跡で発見された昆虫化石の種を特定し、その昆虫の生態から、当時の社会や生活環境を復元する。
例えば、鎌倉時代の遺跡からいくつも発見された謎のかたまり。これは土と大量の畑作害虫で構成されており、当時の人々が畑に大発生した虫を採って集めて穴に埋めて処分したのである。
昆虫化石からは、文献史料などでは分からない、当時の人々のリアルな暮らしを窺い知ることができる。
(紹介者:C・K)
■No.2■
『世界を変えた6つの「気晴らし」の物語 』
(スティーブン・ジョンソン/著 朝日新聞出版 2017)
<所蔵館:久喜図書館 502/セカ>
動物は生存のための技術向上に力を入れるが、人間はなぜかそれ以外の技術や事柄に力を入れることがある。
この本では生存には必要のないはずの人間の気晴らしが技術や産業へ与えた影響を紹介する。
例えば人間は古代より音楽を楽しむための技術を熱心に磨いた。この熱意は最初のコンピュータが作成される千年も前にはプログラミング可能な水力オルガンを作成する。また中世の女性達の服のへの気持ちが百貨店という新しい買い物スタイルを生み出していく様子を紹介する。
(紹介者: T・O)
■No.3■
『食べる西洋美術史「最後の晩餐」から読む』
(宮下規久朗/著光文社 2007)
<所蔵館:久喜図書館 702.3/タヘ>
宗教画というと近寄り難さを感じるかもしれないが、食事風景といえば印象はがらりと変わる。
著者は、ルネサンス期から近代までの西洋美術を「食」という視点から見つめ直していく。食に傾ける情熱では引けを取らないはずの日本や中国では、なぜ近代になるまで食事風景が描かれなかったのか。粗食を善としながら晩餐の光景を繰り返し描くのはなぜなのか。
西洋美術史のみならず、キリスト教文化の入門にもおすすめしたい一冊である。
(紹介者:R・M)
それでは、次回もお楽しみに。